日常整理日誌 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2017-09-07

[][][]召使

ジョゼフ・ロージ―監督、twitterで教えてもらった「恋」*1が面白かったので、もう一つ紹介してあったこちらも。ドス黒くて楽しめた。イギリスの、微妙にワキの弱いぼんぼんのところにやってくるソツのない召使。じわじわっとご主人を翻弄し始める。ご主人にややいけ好かない部分があるもので楽しんでみてしまう。ご主人と召使というクラシカルに感じられるような設定だけど、60年代らしさもあり、その混ざり具合が楽しめる。

昔の桐野夏生さんの本に漂っているような、日常に潜むコワさ、それをとても興味をひく感じで語る雰囲気、アンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督の「密告」*2で味わった気分とも似ているなと思った。

召使 [DVD]

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みたのはキングレコードから出ていたVHS

2017-07-31

[][][]狼と豚と人間

スラム街で育った黒木三兄弟。(三國連太郎高倉健北大路欣也)。長男は親を捨て進行ヤクザの幹部、次男はあらゆる悪事に手を染める一匹狼、三男は母親の死を看取ったあと、チンピラの群れに。(ビデオジャケットより)

リアル*1で、フィルムノワールな雰囲気の中、三男をとりまく連中の歌が、いきなりの感じもあるのだけど、これも味*2

ネットに「レザボア・ドッグス」はこれを参考にしているだろうとの意見あり。頷く。タランティーノの映画にも出てきそうな、キツネっぽい役の江原眞二郎に屈折したような妙な魅力を感じてしまう。江原氏、結構まじめっぽいのも見てきたけれど、この映画での姿は深作版の「ジャコ萬と鉄」*3で印象的だった「大阪」を思い出す、なにかこちらの心をくすぐる軟派的な魅力があった。

ヤクザと一匹狼、チンピラという階層の抗争が、好きだった「893愚連隊*4とも似た空気も持ち合わせている。(あちらも京都のゲリラロケ、こちらも渋谷と思われる場所*5のすごい撮影。「893〜」よりずっとこちらのほうがシリアスだが・・)

石橋蓮司氏、この映画でもまた人間の弱さをうまく演じておられる。

狼と豚と人間 [VHS]

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2017-07-22

[][]切腹

1962年小林正樹監督。勅使河原蒼風の題字もまがまがしく武満徹の音楽も緊張感に満ちシンプルな美術も目をひく、反骨精神みなぎる時代物。撮影宮島義勇。ラストの、シンプルだけど、美しい、武家の象徴そのものという感じの美術をバックの大立ち回り。「キル・ビル」にも通じるようなものを感じた。

現代にも相通じる「自己責任」の名のもとのサディスティックな断罪を連想させられるテーマ。心に深く刻み込まれる。

あの頃映画 「切腹」 [DVD]

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2016-11-13

[][][]出発

「早春」*1が心に迫ったイェジー・スコリモフスキー監督作品。

主人公マルクを演じるジャン=ピエール・レオ―が黒いタートルネックを着るファーストシーンで、これはスコリモフスキー監督による「大人は判ってくれない」*2の続編風というようにみえた。美容師の仕事をしているマルクはただただポルシェでラリーに参加したいがためにふらふらと詐欺や窃盗も含めて色々な手段を講じるが、とことんワルではなく、最低限の落とし前はつけていく。行き当たりばったりな感じで稚拙なんだけど、そこがまた「大人は〜」のアントワーヌの大きくなった姿にみえなくもなくて・・67年の作品ということで、ジャズの旋律*3、画の按配に時代の空気を感じる。ポルシェ目当てで近づく美容院の顧客、多分40代くらいのマダムのつけまつげ風のメイク、雰囲気、マルクがつきあう女の子ミシェル*4のウィッグファッションなどいい感じ。

出発 [VHS]

出発 [VHS]

*1http://d.hatena.ne.jp/ponyman/20160723/1469279558

*2http://d.hatena.ne.jp/ponyman/20121025/1351128451

*3:ポーランド出身のコンポーザー、クシシュトフ・コメダという方によるもの

*4:ゴダールの「男性・女性」で共演したばかりのカトリーヌ=イザベル・デュポールという女優さん

2016-10-18

[][]甘い罠

若松孝二監督生誕80年祭ということで、若松プロダクションのページで初監督作品の「甘い罠」が公開されている。

盟友足立正生監督や宮台真司氏等々のコメントも一緒に公開されているが、若松監督らしくない基礎の映画の文法に則って作られた作品とのことで、若松監督自身がフィルモグラフィーにこの作品をあまり加えたがっておられなかったよう。若松監督の作品、何本かしかみていないが、わたしは骨格がしっかりしている印象を持っている。そして、この作品もだ。

63年に作られたこの映画、渋谷円山町あたりと思われる風景が出てきて、その空気も満喫。ラスト近くの主演女優の凄味のある表情!彼女に起きた事件を描くにあたって彼女のプロフィールがとても丁寧に描かれているのでその基礎がきいている。おでん屋を営んでる主役の実家の人たちの住んでいる路地の佇まい、ボーイフレンドとのやりとり、会社での姿・・事件簿と称してそれを消費するつくりになっていながらその枠におさまらない刃を感じる。