日常整理日誌 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2018-06-12

[][][][]サチコの幸

上村一夫原作 武田一成監督。昭和51年作品。

舞台は昭和26年頃の新宿二丁目

上村一夫の絵もとりいれられ、四畳半フォーク的な空気も濃厚。

浅香光代がサチコたちの住んでいるところの女将に扮しているが、猿を飼っていたり独特の空気をまとっている。

鈴木ヒロミツが中田という客に扮しているが、田中角栄を思わすような口癖、プロフィール設定がされている。

悠木千帆時代の樹木希林が同じところに住むリアリスティックな夜の女役。最近落ち着いた役ばかりみているので新鮮だったが、もともとこういうふくれっ面気味の演技されていたなあと懐かしい。

絵沢萠子がいつもよりおとなしめの役。

サチコの幸 [VHS]

サチコの幸 [VHS]

2018-05-29

[][][][]愛のさすらい

原題 「THE TOUCH」。1971年 イングマール・ベルイマン監督作品。

先日NHK玉三郎さんの「伝心」という番組で「阿古屋」の解説をされながら、ケレン味文学性の話をされていたが、最近よく言えばケレン重視のような映画を観続けていたので、久しぶりに、描かれた状況を観察し熟考する楽しさを味わう映画に出会えてとても満足。

理性の勝った人たちの理性ゆえの幻滅戸惑いなども細部が丁寧に描かれており、どこに落ち着くのだろうという、物語を味わう喜びもあり、よい時間を過ごせた。

机に飾られている花の色(黄色が中心で、赤の時のある。)、秋に黄色く色づく葉っぱ、その中の芽吹き・・静かに、でもどこか雄弁な気配でカメラが語っていく、とても贅沢な時間を過ごせた。

all cinema

2018-05-23

[][][][]鬼の詩

movie walker

冒頭 原作者藤本義一と笑福亭松鶴師匠の対談あり。ATGらしさ、70年代の香りも漂って堪能した。

伊勢大神楽の二十三代山本源太夫氏の名前も製作協力のところに。昨年1月にNHKでみた「疾走!神楽男子 伊勢大神楽の若き獅子たち」という番組を思い出す。(あの番組に出ておられたのは山本勘太夫だったよう・・)お話の中では主人公の育ての親が佐渡神楽の一員という設定になっていて福井、鯖江、河内を転々としたというような台詞があった。

片桐夕子演じる女房と主人公が門付の旅にでるところの三味線と義太夫?の音、そしてざらっとした旅の映像がとてもいい。やはり70年代の映画「森浦への道」*1や「股旅」*2にあるような彷徨の空気。

この日みた「歌行燈」*3の雷蔵も門付をしているのだけど、製作や年代によってこうも描き方が違うのだな。

音曲指導に豊竹和佐太夫、豊竹鶴玉というお名前。

この映画でも藤本氏の真摯な話のききかたが心に残り、昨今藤本氏の仕事が気になっている。

DVDはBOXのみ発売のよう・・

2018-04-16

[][][][]水俣 −患者さんとその世界−(1971年

ビデオジャケットより

水俣病をひき起こした公害企業チッソに対して立ち上がった、水俣病被害者たちのはじめての記録映画。一九七〇年代、公害問題の拡がりとともに全国で上映され、水俣病の裁判や運動への関心を集める大きな力となった。

一緒に貸してもらった「土本典昭フィルモグラフィー2004」という小冊子によると、土本の水俣とのかかわりは1965年「水俣の子は生きている」(日本テレビ)だが、本格的な取りくみは東プロ(のちの青林舎)のこの作品からだという。

鹿児島県出水市で、魚が売れなくなるからと市からの水俣病かくしがあったエピソードからこの映画ははじまる。こういう体質、問題、現代でもなおここかしこに息づいてると思う。

石牟礼道子さんの詩を引用しての運動、ごく最初の時期から石牟礼さんはかかわっておられたのだなと思った。

チッソの株を患者が所有することによって株主総会で患者のはなしをきいてもらおうとする一株運動、その運動と裁判とのかねあい、人が集まって何かをするときそれが永遠にはひとつの考えでつながるわけではないというのを暗示しているような気がした。

みたのはVHS上下巻

2018-02-28

[][][]森浦への道

1975年イ・マニ監督作品。

ふや町映画タウンの監督一覧をみていると、店主大森さんのふるいにかかった映画だけでも世の中にはまだまだ私の知らない監督や作品があるんだなあと感じさせられる。

この映画も、監督一覧でみつけて、どんな映画か検索したら好みの感じなので借りてみた次第。出会えてよかったととても感じた。

韓国映画ビデオ文庫のビデオジャケットより

仕事にあぶれた男、安酒場から逃げ出したあばずれ娘、刑務所帰りの中年男の三人が幻燈の田舎町をさすらう。現代人の孤独な魂を、あてどない放浪の旅に象徴した70年代を代表する名作。数々の名作を放った名匠イ・マニ監督の遺作。大鐘監督賞。

三人が歩く雪景色の美しさ、日本でいえば信州のような高い山が遠景にみえる。少し若い男はほらふき、もう一人の落ちついた男はムショ帰り、女も体を資本にやってきたこともあったという状況だけど、三人とも精神に卑しいところがなく、気持ちが良い。

リアリティのある間があったり、調子よくことが進まなかったりで、映画の運びも新鮮、安っぽい展開でないところがとても丁寧で心に残る。

タイトルの森浦は希望を象徴する架空の地名とのこと。

70年代の日本の作品とも重なるような洗練されきってないような魅力も大層感じる。三人が通りがかるお葬式での般若心経らしきフレーズや、また花を頭に載せたお祭りに、日本の行事(たとえば左京区久多の花笠など)も思い出し、近しい実感も。

あの三人に幸せになってもらいたいなとずっと心に残るような作品。