Soup For All


三菱商事出身でSoup Stock Tokyoを築いた株式会社スマイルズ社長・遠山正道のインタビュー記事を発見した。これを読むとクリエイティビティ(想像力)豊富な商社マンは世の中を俯瞰し大衆化の臨界点を図る上で最強なのではないか、という気すらする。特に、

その昔、KFCやマクドナルドが日本に上陸した頃は、誰もが新鮮な驚きを持っていたと思います。ただし、改めてファーストフード業界を俯瞰して見ると、私には「どうしてこうなっちゃうの?」と疑問に感じる要素が沢山ありました。また、世のお母さんたちが「ファーストフードばかり食べてちゃダメ」とよく言うように、体に悪いものと見なされることも多かった。この世界を、従来の欧米型とは異なる、高感度かつ低投資による提案で、良きものに変えていく仕組みはないだろうか。というような思いが徐々にふくらんでいきました。そんなある日、レストランで友人たちと会食をしていた私の頭の中に、ふと「女性がひとり、お店の一角で、温かいスープをすすっているシーン」が浮かんできました。このイメージが、「Soup Stock Tokyo」の起業へとつながっていくことになりました。

http://job.goo.ne.jp/topics/interview/76/first1

都会で暮らす人たちのために必要なインフラになりたい。

といった言葉が心に刺さった。

また具体的にプラニングを進めるにあたって、

インスピレーションに従いながら、約3カ月をかけて、ひとつの企画書にまとめました。作成は1997年で、全体で22ページ、「1998年、スープのある 1日」と題した物語形式の企画書です。その内容は、無添加素材でつくられたスープをめぐる具体的なシーンから、お店や会社の将来像まで、多岐にわたっています。もう既にこの世界ができ上がっているかのような内容で、いわば未来のことを、さらに先の未来から振り返って過去形で書いてみたという。

このような「マイ予言の書」を事前に作り切り世界観を構築し、更に

「秋野つゆ」という架空の女性を設定し、彼女がつくるスープという想定をしました。彼女は、装飾性よりも機能性を好む。フォアグラよりもレバ焼きが好き。プールでは平泳ぎではなく豪快にクロールで泳ぐ。などなど、細かな彼女のプロフィールや属性情報を書き連ねました。その後、商品開発したり、店舗開発をしたりしていく中で、「これって、秋野つゆさんっぽくないよね」とか、擬人化させながら方向性を決めていったわけです。

このように擬似的な設定を通じて社内での空気の共有を図るという手法は、「消費者の、商品にまつわる物語性重視の傾向を汲み取る」という、もはや言い古された感すらある既存の手法に更に説得力を持たせるという観点からみてもスマートだと言える。商品と消費者の間にある世界(観)を構築するのであれば、その中に商品供給側の面々も含ませた方がより強固なものになるはずだという発想は単純だが力強い。