日々の泡。

popholic diary

2024年4月6日~12日の話。

2024/4/6

8時起床。朝食は卵のホットサンド。平日はトーストだけだが、休日は卵をつける。ちょっとした贅沢ですよ。朝のうちに少し日記を書いて京都まで。角田さんの「蛤御門のヘン」をradikoで聴きながら京都駅から四条まで歩いて京都シネマへ。

まずはオ・セヨン監督「成功したオタク」を観る。ある男性K-POPスターの熱狂的ファンで、TV共演まで果たした「成功したオタク」だったオ・セヨン。だがある日突然、推しのK-POPスターが性加害で逮捕される。成功したオタクが犯罪者のファンになってしまうのだ。ただファンだっただけなのに、犯罪者を応援していた自分は何なのかと苦悩するオ・セヨン。そして自らカメラを抱え、同じように「犯罪者のファン」になってしまった同志たちに話を聞きに行く。推しが犯罪者になったことで、自分もまた加害の責任があるんじゃないかと悩む者、二度と人前に現れるなとかっての推しに怒りをぶつける者、もう誰かを推すことはできないと心を閉ざす者…監督もまた被害者と同じ女性として性加害で逮捕された推しを許せないでいる。だが、様々な推しグッズを捨てられずにいる。そこには確かに楽しく幸せだった時間の記憶が宿っているからだ。かっての自分、推しへの想い、今自分はどう考えているのかを監督との会話の中で言葉にしていく中でそれぞれが苦悩から解き放たれていくよう。監督のセヨンをはじめ出てくる「オタク」たちは皆、個性的でユーモラスで話している内容はシビアながら、そのやりとりはどこかユーモラスでほのぼのと楽しい。韓国と日本の違いなのか、皆、性加害に対して非常に厳しく、いくらかっての推しだといっても容赦なく断罪する。加害者に甘く、むしろ被害者を責めるような日本の雰囲気とは違ってそこはとても健全に思える。

radikoで「爆笑問題カーボーイ」聴きながら烏丸通を歩いて京都駅まで向かう。途中、少し遅い昼食はやっぱりなか卯で親子丼。安定過ぎて泣ける。で京都駅を通り過ぎてイオンのTジョイ京都へ。

本日2本目、ショーン・ダーキン監督「アイアンクロー」を観る。「鉄の爪」アイアンクローを必殺技にプロレス界でのし上がったフリッツ・フォン・エリック。彼はプロレスラー、プロモーターとして成功をおさめ、自分の4人の息子をレスラーとして育てる。映画は次男、ケビンの目を通してフォン・エリック家の運命を描く。絶対君主として一家を率いる父、フリッツ。幼い頃長男が亡くなり、次男ながら兄弟の長として弟たちを守ろうとするケビン。人一倍真面目で家族想い、だが父には頭が上がらずレスラーとしてもイマイチ華がない。そんなケビンに様々な試練が降り注ぐ。家族の中でも一番の長身で父からも期待をかけられる三男デビッドが日本での巡業中に急死。そこから一家の歯車が狂いだす。4男ケリーはデビッドに変わり念願のNWAチャンプになるも事故で足を失い、鎮痛剤とクスリを手放せなくなりやがては…。5男マイクも兄に倣いレスラーになるも試合中に肩を負傷し後遺症に悩まされた末に…その度に心を閉ざし、どんどん落ちてゆくケビンがもう不憫で不憫で…。父の強権の下で泣くことすら許されなかった男。自らを罰するようにトレーニングに励み、マッチョに体を鍛えあげながら心にはいくつもの深い傷がある。「フォン・エリック家の呪い」に囚われ彼はますます孤立を深めていく。「家族」が彼を縛り付け傷つけていく。だが、呪いを解き、彼を救ったのもまた「家族」だった。妻と二人の息子が彼を救う。子供たちの前で初めて涙を流せたとき、彼は男らしさの呪縛から解放されるのだ。いやーもう泣けた。ケビンを演じたザック・エフロンの名演がとにかく素晴らしい。歌って踊れるミュージカル俳優のイメージだったが、筋肉ムキムキの身体から醸し出されるレスラー独特の悲哀。見事なレスラー俳優ぶり。なんでオスカーにノミネートされなかったの?というぐらい。

フリッツ・フォン・エリックの息子たちが日本でデビューした80年代初頭は「プロレススーパースター列伝」を愛読し熱心にプロレスを観ていたので彼らのことは憶えている。フリッツ・フォン・エリックはリアルタイム世代じゃないが「プロレススーパースター列伝」で原田久仁信先生が描いたリンゴを握りつぶしてジュースにする姿が刷り込まれてるなー。息子たちは当時はアイドル的な人気で、印象としては線が細く強いレスラーという感じではなかったかな。デビッドの死は日本での急死ということもあり当時新聞でも報道され結構ショッキングなニュースだった。あと映画にも登場したNWAチャンピオンのハリー・レイスとかリック・フレアーが懐かしい。リック・フレアーは子供心にいけ好かないレスラーやなぁと思ってたな。のらりくらりとしてすぐリングアウトに持ち込んでちゃっかり防衛する卑怯者って感じで。映画はしっかりと人間ドラマなのでプロレス知らなくても全然OKだけど、知ってるとそれはそれで面白い。ま、とにかく大傑作であった。

2024/4/7

朝から妻と買い物。焼きそばの昼食。日曜の昼はうどん、焼きそば、パスタだねという感じでかわりばえしない。もう何100回と作ってるので手慣れたもんだ。基本休日のご飯はここ20年ぐらいほぼ作っているような気がする。

「マルコポロリ」観てから、妻と散歩がてら花見。天孫神社から長等公園、三井寺界隈と桜の名所を梯子。天気も良く桜も見ごろで人出も多い。妻とお喋りしながら2時間たっぷり歩いた。すっかり初老夫婦の休日だな。

NHK坂本龍一のドキュメンタリー。静かで壮絶な記録。言葉がない。まさに全身音楽家、涙無しには見られなかった。自分はあんな風に死を迎え入れることができるだろうか。

2024/4/8

昼から雨。春先はどうも体調がすぐれない。

2024/4/9

朝、NHKBSで過去の朝ドラ再放送「オードリー」を見てる。リアルタイムでは観てなかったので新鮮だが、かなり変なドラマ。藤山直美の天才ぶりが際立っている。

2024/4/10

朝と昼の温度差が凄い。身体がついていかない。しかし平日はほぼ書くことがないな。というか仕事の話はさすがに書けないのでそうなると平日のプライベートってまぁほぼ何もしてないに等しい。7時過ぎに家に帰りつき、ご飯食べて風呂入ってぼんやりテレビでも見て9時。1時間ばかり部屋で音楽聴いたりYouTube観たり。最近は10時過ぎには布団に入って11時には就寝。眠りが浅くて夜中に2、3度目を覚まし睡眠時間のわりに疲れは取れずの繰り返し。しかし、何でもないようなことが幸せなのだ。たぶん。

2024/4/11

夜、水道橋博士町山智浩の生配信。青柳拓監督も加わり、博士の選挙戦とその後を追ったドキュメンタリー映画について。当選した時点で一度完成したものの、その後博士は鬱病を発症。議員辞職となり休養の後、復活という現在までを追加撮影したのだという。町山さんから感想を問われ、涙をこらえ話すことができなくなる博士。公開はまだ先になるようだが、砂を掴んで立ち上がる博士の姿を見届けるしかない。倒れても倒れても、まだ始まっちゃいないさと立ち上がる。それこそが「たけしイズム」だろう。

2024/4/12

パク・ボラム死去の報。オーディション番組出身で2014年デビューのシンガー。近年ではOST歌手としても人気だった。今年デビュー10周年、まだ30歳。デビュー盤もすぐ買ったし、2017年のミニアルバム「ORANGE MOON」もよく聴いたな。死因などはまだわからないとのことだけど、K-POP好きになって10年以上になるが何人見送らなけりゃならないんだと切なくなる。

オーディション番組時代から30Kg減量しデビューという逸話を反映させたデビュー曲。溌溂としていて、人懐っこい魅力があってすぐに気に入った。


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まさかこんなに早く…。自分より若い人の死はこたえる。

2024年3月30日~4月5日の話。

2024/3/30

土曜。いい天気。今日は妻と1日デート。貰い物の京阪電車の県内乗り放題チケットが3月末までということで。最寄りの島ノ関から「光る君へ」ラッピング電車に乗ってまずは坂本まで。

駅で降りたのはほとんどが外国人観光客。滋賀の中ではまぁまぁの名所ではあるがよくピンポイントでここに観光へ来たな。良く調べてるんだなと感心。駅から湖岸へ向けて歩きつつ和菓子屋でよもぎ餅を買ったりして坂本城跡まで。目当てにしていた昨年発見された石垣跡は近隣住民の要望もあり今は隠されているとか。そこからまた松ノ馬場駅まで歩いてソフトクリームを食べたり、老舗パン屋でドーナツなどを買ってランチは古民家薬膳料理の店へ。直前に団体客が入ったらしくご飯が一人分しかなくなっちゃったとかで一杯のかけそば的に一杯のグリーンカレーを妻とシェアして。続いては山科まで行って駅前を散策。少し買い物してまた電車に乗って石山まで戻って妻の実家へ。向かいの神社で桜まつり。たこ焼き食べて、肌寒くなってきたので石場まで。そこから歩いて家まで帰る。電車も乗ったがそれ以上によく歩いた。実に28000歩。マンションに戻るとドアの前にゴミ袋が。荒手の嫌がらせか、引っ越~せ~と思われてるのかと妻とビビってたら、家の中から娘が出てきた。湖岸で友達とBBQして持ち帰ってきたゴミだと。

2024/3/31

年末に亡くなった祖母の法事。妻と京都のお寺へ。叔父、叔母夫婦、母、兄、いとこ、皆で納骨式。お寺の幼い娘さんが鈴を鳴らしたりちょこまかとお手伝い。微笑ましく和む。そのまま実家へ行って食事。兄と僕、いとこ兄弟の4人は年も近く子供の頃から正月やらお盆に祖母の家に集まってはよく遊んだ。当時は東京で働いてた叔父は盆と正月には帰ってきてよく僕らを遊びに連れてってくれた。叔父はもう80歳を越えているし僕らもみんな50代。なんかしみじみとする。先日喜寿を迎えた母は相変わらず元気で一人喋って、ご飯の用意やらなんやと忙しない。そんな姿を見て母の兄と姉である叔父、叔母が「ホンマによー喋るなー。ついていかれへんわー」だって。世の中にはいろんな家があるが、僕はホント家族や親せきには恵まれたなと思う。皆、ちょっと呑気でギスギスとしたところがない。もちろんここに至るまでは紆余曲折あったものの年とっても皆でこうして集まって笑っていられる。ありがたいことだ。

行き帰りの車中では「東野幸治のホンモノラジオ」。映画や配信、漫画とインプット量が半端ない。あれだけの忙しさでよくそんなにインプットしてるなと感動。

2024/4/1

4月。新年度。またハードな一年が始まる…。夜NHK+でドラマ「ケの日のケケケ」を観る。感覚過敏と共に生きるあかね。入学した高校には、部活動への入部を強制する校則が存在した。音や光、あらゆることに過敏で日常生活もままならないあまねにとってはそれはとても難しく、自ら「何もしない」を掲げた「ケケケ同好会」設立に動き出す。「感覚過敏」を「治してあげよう」と大人たちは自分たちの当たり前を押し付ける。主人公は理解して欲しいという境地からとっくに降りている。自分は自分の機嫌を取るべく過ごすからそっとしといてねというだけのことが許されない。寛容を求めてるんじゃなくてただ自由にさせて欲しいと訴える主人公。許す許さないじゃないし、そもそもなぜ許す/許さないのジャッジをマジョリティ側に握られなきゃならないのか。わかってくれなくて結構、わかり合えないことをわかってくれよということ。物語は柔らかく進むが中身はシビアでハード、マイノリティ側の血の滲むような叫びだ。

2024/4/2

NHK+で「未解決事件/下山事件」ドラマ編を観る。占領期だった1949年7月、国鉄下山定則総裁が突然失踪し、礫死体で発見された「下山事件」に迫る。韓国の社会派映画のような雰囲気。俳優陣の積み重ねていくような演技で昭和最大の不可解な事件を描く。事件を追う検察、ジャーナリスト、真相はすぐそこにというところでストップがかかる。反共の名の下、仕掛けられる陰謀に翻弄され、時の権力によってうやむやに。70年以上前の事件でありながら、過去の事件という気がしない。全く同じ構造で今もまだ同じようなことが繰り返されている。それもどんどん処理が雑に稚拙に劣化した状態で行われ、もはや隠そうともせず開き直った態度で繰り返されている。ドラマはあえて今の時代にぶつけてきたんだろう。この国の検察やジャーナリズムにはっきりとメッセージを送っている。だが、皮肉なことは今、最も骨抜きにされ権力の暴走の共犯者と成り下がっているのがNHKだということだ。

2024/4/3

会社帰りに本屋で「文春WOMAN」爆笑問題・太田さんの松本人志についての文章を読む。的確な松本人志論であり、お笑い論。水道橋博士さん言うところのNSCという「新しい学校のリーダー」から「新しいお笑いのリーダー」になったことで生まれた権力構造。この事件に関してマスコミ、特にTVがもはや身動き取れなくなっている原因がそこにある。しかし問題発生後の松本人志の対応は全部間違っている感があるな。自ら自分の首を絞めに行って、復帰の芽を摘んでるとしか思えない。芸人としては間違いなく天才だ。少しでも心当たりがあるのなら、謝罪すべきところは謝罪し、弁明すべきところは弁明すればいい。もうTVに出ることがなくなったって、ライブでも配信でもなんだってできるし、今以上のカリスマ性も収益も得られるだろう。

夜「水曜日のダウンタウン」。松本人志が居なくなってもTVは毎日穴が開くことなく放送される。世間はもう松本人志がいないTVにすっかり慣れてしまっているし、SNSの中以外は誰も話題にしていない。残酷だけどこうして進んできた。

2024/4/4

水道橋博士×角田陽一郎×コトブキツカサによるライブ『博士と教授と寿司(コトブキ)と』配信にて視聴。角田陽一郎さんが語った某出版社社長の最低最悪な振る舞いに呆れる。自分をもっと褒めろ!と局に乗り込み、怒鳴りつけ謝罪を要求する。漫画に出てくるクソ権力者そのものの振る舞いじゃないか。人としてクソダサいなー。そしてそこに付随するヒットメイカーの態度も酷い。角田さんが言うように「薄っぺらい」。角田さんとは同年代だし、そのヒットメイカーが芸能界を席巻していく様はずっと観てきた。だが、その人が作り出すものに一度も心を動かされたことはない。「薄っぺらい」はまさに言えて妙で、もう「薄っぺらい」としか言いようがない。それは彼がヒットメイカーとして一世を風靡した理由でもあるし、僕の心にまるで響かない理由でもある。角田さんと僕の共通点があるとすればムーンライダーズファンということ。ヒットメイカーがおニャン子で芸能界を席巻していた頃、こっちはムーンライダーズの音楽に痺れ、慶一さんや博文さんの詞に胸を鷲掴みにされ心酔していたのだからそりゃ「薄っぺらい」と感じるわな。ヒットメイカーが手掛けた数多くの詞は確かに巧い。時代を捉え絶妙な匙加減で感情を撫でる。だけど「薄っぺらい」。まるで心には響かない。

とまぁそんな発言が飛び出したりのスリリングなライブ。角田教授に負けず劣らず危険球を投げ込む博士。二人の間ですべてを拾い、受け、返し、トークショーとしてエンタメ化していくコトブキツカサさんの腕の良さにも感動した。プロの技、素晴らしかった。

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2024/4/5

朝ドラ「虎に翼」。日本初の女性弁護士を伊藤沙莉が演じるってもうそれだけで面白そうだが、実際に素晴らしい滑り出し。OPも軽やかで良いね。

仕事で京都へ。桜も見ごろで祇園あたりは観光客でごった返している。春が来たなー。新しい年度が始まる春は昔から苦手だった。臆病だから学生時代からクラス替えは恐怖だったし新しい環境に慣れるのに時間がかかってしまうたちだ。もうさすがに慣れてもいい年齢というか、慣れなきゃおかしい年齢なんだが、いまだにそうなんだから呆れる。サラリーマンになってからも持ち前の器用貧乏さが災いし、やたら異動の多い人生だった。さすがにこの春は異動ということはないが、新たな体制で人を率いていかなければならない。ただのクソサブカルおじさんとしては気が重ぇーなー。

2024年3月23日~29日の話。

2024/3/23

8時起床。午前中はradikoで角田龍平の「蛤御門のヘン」スタン・ハンセン、ゲスト回聴きながら日記を書く。5歳の角田龍平君がTVを観て思わず「お母さん!ハンセンが、ハンセンが全日に~」と叫んだという、全日本プロレスにハンセンが初めて現れた日のことは僕も鮮明に覚えている。ザ・ファンクスVSブロディ・スヌーカ組の世界最強タッグ公式戦。ブロディ・スヌーカ組のセコンドとして現れたのがテンガロンハットをかぶったスタン・ハンセンだった。新日のエース外人だったハンセンが全日に!の衝撃。そしてその後の試合で起こった衝撃の事件。場外に落ちたテリーにハンセンのラリアットが炸裂する。ファンクスを応援していた11歳の僕は「ハ、ハンセンなんてことをっ!おいっ、ジョー樋口!なんで見てないねん!」と怒りの矛先をジョー樋口レフェリーに向けていた。同い年のマキタスポーツさんやプチ鹿島さんもこの試合のことをいまだに熱く語られているが、当時のプロレス少年たちにとってどれだけの衝撃だったかということだ。いまでもブラウン管に映った信じられない光景を兄貴と二人で大騒ぎして観た興奮がふっと胸に蘇る。53年生きてTVもかなり見てきたが、今も忘れられないNo1の衝撃だったなー。でそんなスタン・ハンセンが「蛤御門のヘン」に登場。全日本プロレスに登場!よりも衝撃的で意外性がある。竹内義和先生が長年語ってきた「ハンセンとアンドレが肩を組んで映画を見に来ていた!」という眉唾物の目撃談。真実なのか幻なのか、ついにその答えが明かされる。それにしても涙の塩味が付いたパンをかじっていたあのハンセン(「プロレススーパースター列伝」より)が「蛤御門のヘン」で角田さんと喋っているとは。事実は小説より奇なり。まさに出会いの天才、角田さんに舞い降りた奇跡であり、星座が繋がった瞬間だった(ONO談)

昨日の残りカレーの昼食を食べ、雨の中歩いてユナイテッドシネマまで。ドゥニ・ヴェルヌーヴ監督「DUNE 砂の惑星Part2」を観る。惑星デューンを巡る全宇宙をも巻き込む壮大な物語である。ギュッと要約すると「ティモシー・シャラメが頑張る話」となる。骨伝導イヤホンみたいなのを鼻に付けて、鳥取砂丘みたいな惑星でごっついウツボの親分みたいなのに乗って、ティモシー・シャラメがてんやわんやの大騒ぎ。あのヒロインもいいね。名前なんだっけ、ほらサイゼリヤみたいな…そうそう、ゼンデイヤがまたシュッとしてて最高。以上、世界一アホな「DUNE 砂の惑星Part2」の感想でした。

夜、配信で「水道橋博士 VS 東野幸治 with 吉田豪 Vol.3」を観る。3回目ということで3人の息もぴったり。サクサク、トントンと話が進んで…行くわけもなく、Deepな芸能界裏面史を時に寄り道、さらに深堀りしながらレシーヴ、トス、スパイクそしてアタックと決めていく。そして中盤に登場したのがスペシャルゲスト、ガダルカナル・タカ。テレビでは封印した限りなくブラックに近いグレーな話を振り下げていく。過去最もDeepな内容ながら東野幸治ガダルカナル・タカと長年TVの一線で活躍する華のある二人のショーアップされた語り口でPOPに昇華。ダークな内容もいつしかロマンとファンタジーに溢れた夢物語に。面白かった!

twitcasting.tv

2024/3/24

夜中、何度となく目が覚めてスマホ観たり音楽聴いたりで睡眠が不十分。

いつものごとく妻と買い物。スーパー、ホームセンター、ドラッグストアを梯子。蕎麦の昼食の後、少し昼寝して「マルコポロリ」「黒田有生前葬」「旅猿」とTVで東野幸治3本立て。夜も早々に寝る。

2024/3/25

今日も雨。気圧の関係か、すこぶる調子悪し。なんとか仕事は乗り切るが倦怠感に覆われる。夜は早めに布団に入りradikoタイムフリーで「東野幸治のホンモノラジオ」。どんだけ東野幸治を追っかけてるのか

2024/3/26

今日も雨。

2024/3/27

今日は晴れ。

2024/3/28

年度末で諸々忙しい。営業マンの辛いとこは3月末でどうにかこうにか目標に辿り着いたところで、一夜明けて新年度に入った途端、新たな目標に向けて走り出さなければならないところだ。一時も休む間がない。数字を背負って競争社会の前線に立つことのストレスやプレッシャーはかなりきついものがある。自分は性格的につくづく営業に向いてないし、その苦しみで時に気が狂いそうになる。早く営業から卒業したいと頑張ってきたのだが、その頑張りが裏目に出て、どんどんどんどん前線に追いやられ、気づけば営業を率いる立場だ。今もなおもがき苦しんでるから、下の者たちにその苦しみを与えたくないと思ってしまう。はい、愚痴は以上にしとこう。考えるとシリアスになり過ぎてしまうから。

2024/3/29

朝ドラ「ブギウギ」最終回。今作はとにかく主演の趣里が良かった。これにつきる。彼女は観れば観るほど魅力的な顔をしている。笑い顔、泣き顔、真顔、ころころ変わる表情、歌って踊る姿は見ていて楽しく惹きこまれた。

で仕事片付け、とにかく今年度は終了。会社帰りに「オッペンハイマー」だ。

ということでユナイテッドシネマでクリストファー・ノーラン監督「オッペンハイマー」を観る。3時間の長丁場ながらしょっぱなからフルスロットル。早口でまくし立てるようなスピードと圧でオッペンハイマーの物語が描かれる。町山さんの解説を参考に、事前予習をしていたのでなんとかぎりぎりついて行けた感じだが、感情が感想に置き換わる前に次のシーン次のシーンと進んでいく。その天才性ゆえに、周りの人や言葉に目をくれることもなく「原爆を作る」ということに猛進していく男。ついに原爆は完成するが、その先に待ち受けていたものは。出来上がった原爆を使う判断をするのはお前じゃないと国に召し上げられ、はじめて自分の罪を知る。当然ながらこれは英雄譚ではないし、原爆出来て良かったねなんて話ではない。オッペンハイマー罪と罰、科学者たちの葛藤、そして国を巻き込んだ出し抜き合い、男の嫉妬が生む醜悪な陰謀と盛りだくさんの人間ドラマが強烈な音と映像、ドアップで映し出されるオッペンハイマーの顔といっしょに一気に脳内に注ぎ込まれる。とにかくまだ感想が追い付かない。凄まじい映画だったとしか言いようがない。

帰宅しすぐに「不適切にもほどがある」最終回。楽しく観終わる。しかしまー賛否巻き上がったドラマだったな。自分にとってはやっぱりそれはノイズになってしまった。様々な感想があるのは当然だし、批評も批判も絶賛もいいのだが…。クドカンの最高傑作とまでは思わないけど、最終回では「転校生」や山田太一オマージュなんかもあって同い年のクドカンが描く世界はやっぱり楽しかった。一部で言われたような昭和万歳、コンプライアンスくそくらえ!なんて話では全然ないタイムトラベル人情噺であり根底には人間賛歌を感じたけどな。登場人物たちは愛すべき正しくない人たちだが、彼らが少しずつ学びながら、未来の為に、子供たちの子供たちの子供たちの為に何ができるかを考える話だと思った。あと自分の状況もあり、父と娘の物語としてぐっとつかまれた部分もある。これも僕の個人的な感想だけどね。認識の甘さや勉強不足、弱者への配慮の無さなど批判すべき点はあるし僕もそれを感じる部分はあったが、物語の行間に勝手な解釈をつけ足し拡大解釈して、作者であるクドカンその人を邪悪だと断罪、悪意をもって描かれたドラマだとするのはさすがに言い過ぎだと思う。ま、どっちにしろ目に入ってくるドラマを巡ってのSNSでの対立には相当気が滅入ったので、やはりSNS断ちすべきだな…とブログに書く矛盾よ。

2024年3月16日~22日の話。

2024/3/16

8時起床。朝から昨日観られなかった「不適切にもほどがある」観る。やっぱり面白い。キョンキョン最高。

日記を少し書いてから京都へ。JRも地下鉄も人が多い。時間を読み間違えてランチの時間をとれないまま京都シネマへ。イ・ソルヒ監督「ビニールハウス」を観る。少年院にいる息子の帰りを待つムンジョンはビニールハウスで暮らしている。引っ越し資金を稼ぐために盲目の老人テガンと認知症の妻ファオク夫妻の訪問介護をしている。貧困にあえぎながら懸命に働くムンジョンだったがある日ちょっとした事故でファオクを死なせてしまう。そして人生はさらに悪い方に転がっていく。近年まれにみるどんより映画で、最後の最後までもうこれでもかというぐらいに救いがない。社会の底辺でもがき苦しむ者に振りかかる不幸のつるべ落としに心もすっかりどんより。ムンジョンを演じるキム・ソヒョンの名演がさらにどんより度を増す。しかしこの容赦の無さはさすが韓国映画という感じで、徹底して描いてやるという強さを感じる。映画を観てスカッとしたい人にはお勧めしませんが、どんよりしたい人には自信をもってお勧めします!

15分のインターバルでもう一本。井上淳一監督「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」を観る。1980年代初頭、映画監督・若松孝二が名古屋に映画館を立ち上げる。「シネマスコーレ」と名付けられた映画館の支配人に抜擢されたのは、ビデオカメラのセールスマン、木全。そして映画館には映画を夢見る若者たちが集う。映画監督を夢見ながら「女」であることで一歩をなかなか踏み出せないで鬱屈していく金本法子、若松孝二に弟子入り志願し一歩を踏み出したものの、才能の無さを自覚させられ挫折を味わう井上淳一。映画に青春をジャックされたコインの裏と表のような二人。朴訥と凶暴でやさしい若松孝二監督、飄々としつつも熱い木全。悶々として過ごす夜、一歩を踏み出す衝動、熱く、切なく、かっこ悪い。立ち上がるために転ぶ彼らの過ごした日々がユーモアとともに描かれる。映画に青春をジャックされ、一歩を踏み出す若き青年は僕であり、あなたである。何かに胸を焦がし、でも一歩を踏み出す勇気を持てずに夜を過ごす。だがある日突然一歩を踏み出す瞬間がやってくる。ドラマチックじゃなくたって振りかえってみればそんなことがあったことに思い当たるだろう。かって若者だった人なら映画を通して誰もが「あの頃の自分」と出会うだろう。

止められるか、俺たちを」に続いて若松孝二を演じるのは井浦新(最高)、木全を演じるは東出昌大(これまた最高)、その嫁がコムアイで井上青年は杉田雷麟、バーのママ役でいい味出すのが田中麗奈と「福田村事件」俳優班がこぞって出演も楽しい。それにしても映画は故・若松孝二監督への心からの感謝状のよう。井上青年が見ていた背中。エンドクレジットの最後に「脚本・監督 井上淳一」と出た時、ふいに涙が出た。まさかそんなところで泣かされるとは。

昨日久しぶりの呑んだ前の会社の先輩たちと過ごした日々と「青春ジャック」を重ねながら京都駅までゆっくり歩いて帰る。僕にとっての一歩は今へと続くラジオ局への転職だったな。

2024/3/17

夜中、2度3度と目が覚める。眠りが浅いのが悩み。7時過ぎに目覚めるも、二度寝で9時起き。妻と草津近鉄まで買い物。なんというか意思疎通がうまくいかず、険悪な雰囲気に。向こうもそうだろうがこっちも気分悪い。ま、長く結婚しているとそんな日もある。

2024/3/18

NHK+で「漫勉」水木しげる回観る。元アシスタントの池上遼一森野達弥とともに浦沢直樹がその「絵」の凄さに迫る。その生き方や考え方を取り上げられることが多い水木しげるだが、漫画家としての技術の高さ、独自のタッチがどう生まれたのかを考察していく。緻密に描かれる背景、ベタの効果、線がもたらす躍動感や揺らぎ。妖怪という日本的なモチーフを描き続けながら、その絵にはアメコミの影響があったりと知れば知るほど面白い。見応えあり。

2024/3/19

用事で娘と出かけた帰りに近くの美味しいと評判のパン屋へ。もう4時過ぎだったのでパンは売り切れてたが美味しそうなチーズケーキが焼かれてたので買って帰る。まだ温かい焼き立てのチーズケーキを娘と食べる。至福の時だなー。

2024/3/20

休日。昼、京都駅近くの店でランチ。兄、母、妻と娘夫婦とともに。さらっと言うけど娘、結婚しました。ま、1年以上前から同棲していて先日入籍だけ済ませた状態。我が家からは徒歩2分の距離で暮らしててしょっちゅう来てるからあまり変わらないけど。ただ入籍した途端、娘にちょっと病気が見つかって入院、手術と先月は怒涛。治療はしばし続くがまずは一段落。今日は兄貴が娘の結婚祝い兼退院祝い兼母の喜寿のお祝いということで店を予約してくれた。皆で豪勢なカニ尽くしランチ。刺身、焼きに天ぷら、鍋からの雑炊とお腹いっぱい。

帰宅して家で娘夫妻とコーヒーなど飲みつつまったりと。娘が生まれた時、200%の愛情をもって育てようと思った。娘からは口うるさいなと思われてたかもしれないが自分としては精いっぱいやったし子育てに悔いはない。娘は大学も出て、ちゃんと仕事もして、今は夫と二人で生活してる。俺なんかよりずっと立派によくやってると思う。正直、娘が結婚するとどんな気持ちになるかなと思ってたが、さみしいは一切なくって、嬉しいしかない。心配事はもちろん尽きないが、とにかく誰よりも大切な娘が幸せになるのなら、そこには嬉しいしかないし、これからもその為ならなんだってする。

なんてことを想う今日この頃である。

2024/3/21

しかしXはいよいよ地獄の様相だな。差別や分断がここまで進んでるのかと嫌な気持ちになる。ニュースを観れば呑気な報道の裏で政治が腐り続けている。もはや悪臭が漂うレベルだが、それでも鼻をつまんで我慢するってんだから狂ってる。どこの独裁国家だよと思ってしまう。子供たちの未来が金に汚い小悪党どもに奪われてる。

2024/3/22

午後、時間休をとって病院。もはや最近こればっか。薬を処方してもらって帰宅。久しぶりに普通のカレーを食べたくなって作る。こくまろカレー、美味しい。

夜は「不適切にはほどがある」観る。確かにこりゃつっこまれるわなという雑な部分はあるのだけれど、ドラマとしては単純におもろい。残念なイケメン役がはまる中島歩がいい。映画ではすでに残念なイケメン枠の第一人者だが、ついにTVでも。なんせこの人、日藝の落研出身、高田文夫先生直系の後輩でビバリスト。クドカン脚本との相性いいに決まってるし、本人が嬉々として演じてるのがわかる。

2024年3月9日~15日の話。

2024/3/9

あんバタートーストの朝食。あんこはいつ食べても美味しい。朝のうち少し日記を書いて、京都へ。アップリンク京都にて塙宜之監督「漫才協会 THE MOVIE 舞台の上の懲りない面々」を観る。浅草、東洋館を活動拠点とする漫才協会の個性あり過ぎる芸人たちを追うドキュメンタリー。事故で右腕を無くしながらもリハビリに励み芸人復帰を果たす大空遊平は飄々としながらも芸人としてしか生きられない、生きていくしかない男のかっこ悪いかっこよさがある。離婚後も同居し同じ布団で寝、コンビとして舞台に立つはまこ・テラコのカラッとした明るさには芸人の逞しさがある。会費だけを払い続けながら誰もその存在を知らない謎の芸人。薄暗い団地の踊り場で塙監督と対話するもさらに謎が謎を呼ぶ展開で笑った。若手・ドルフィンソングは漫才協会入りのきっかけとなった水道橋博士主催のイベントを配信で観ていたので頑張ってるなーという感じで微笑ましい。なにより二人をあのチャーミングな声で紹介するキョンキョンのナレーションが素晴らしい。そのほか映画に登場する面々は今どきの人気芸人でもないし、そのほとんどはここで終わっていくであろう芸人だ。諦めが悪く、情けなく、かっこ悪い。でもそれが舞台の上ではすべてうらっ返る。しぶとく、たくましく、強く、明るく、笑い飛ばす。泣き笑いの傑作ドキュメントであった。

地下鉄で二条まで移動。はなまるうどんでかけうどんと竹輪天をさっと食べて本日の2本目。TOHOシネマズ二条で金子修介監督「ゴールド・ボーイ」を観る。完全にノーマークだったのだが、町山智浩さんはじめ多くの見巧者が激賞していたこともあり駆けつける。沖縄で大きく事業を手掛ける実業家の婿養子、東昇。事故を装いまんまと義父母を殺害。完全犯罪に思われたが、偶然殺害現場をカメラに収めた朝陽たち中学生が現れ…。原作は中国のベストセラー小説でドラマ化もされている作品。舞台を沖縄に移したリメイク作。いや、これがもうとてつもなく面白かった!何を言ってもネタバレになるので何も言えないが、天才的殺人者のサイコパス男と中学生。繰り広げられる邪悪な頭脳戦と心理戦。二転、三転の上に決着ついたと思ったら、そこからさらに粘り腰でダメ押しの展開へ。職人、金子修介監督が息の詰まるサイコパス対決に、淡い青春ジュブナイルな味わいをまぶし、切なくも忘れえぬ一夏を描く。サイコパス野郎を演じるのは岡田将生。あまりに美しい顔立ちが心の中の真っ暗な空洞を覆い隠し、得体のしれない不気味さと怪しさを際立たせる。絶品。対峙する少年を演じる羽村仁成が無垢な純粋さの裏側にさらにどっぷりと深い闇を漂わせる。とにかく見て!としかない面白さ。観たら絶対、面白いから見て!と誰かに勧めたくなる。見事な大傑作!一押しです。

夜はTVで「R-1」街裏ぴんく優勝。前に爆笑問題カーボーイでホラ漫談披露してたのがめちゃくちゃ面白かったので喜ばしい。

2024/3/10

玉子とチーズのホットサンドの朝食。いつものごとく妻と買い物行ってあとはぼんやり。午後の映画劇場はアマプラでロジャー・ロス・ウィリアムズ監督「カサンドロ リング上のドラァグクイーン」。メキシコのプロレス・ルチャリブレのスターレスラー、カサンドロの伝記映画。差別的な地でゲイとして生きることの困難さを身をもって味わいながらも、自分のままでいたいと願うカサンドロ。認めてもらいたいと願う父からは拒絶され、唯一の理解者である母も死んでしまう。それでも彼はルチャリブレに命を懸け、闘うことで自分自身の誇りを取り戻していく。エキソティコとよばれ通常は悪役や笑われ役になってしまうゲイのレスラーでありながら、華麗な技で人々の人気を集めていく。やがて国民的なルチャリブレの大スター、エル・サントとの対戦で多くの人々の心をつかみスターレスラーとして輝くのだ。まさに「ドーランの下に涙のカサンドロ」ってな物語であった。

2024/3/11

今日も今日とて外回り。遅めのランチは松のやでロースかつ定食。590円で食べられる美味しいとんかつ。夢はとんかつを裏切らない。とんかつは夢を裏切らない。

2024/3/12

雨の中、今日も外回り。会社に戻ってからもひたすら仕事してあっという間に退社時間。最近はもう早く寝たいという感じで11時には寝てしまう。

2024/3/14

大阪営業。いつもランチの時間を逃してしまう。結局3時頃に目に入った店でチキンカツカレーを食べる。いや、美味しかったしコスパもいいし別にいいんだけど、なんかもうちょっと丁寧にランチと向き合うべきだったかも。いや、十分に美味しかったんだけど。

2024/3/15

仕事の後、野洲まで出て珍しく飲み。以前勤めていた会社のT先輩、後輩のI君から誘われ、今から20数年前に毎日のように飲んでいた駅前の居酒屋へ。転職してはや20年とちょっと。以前勤めていた会社は新卒で入社して丸10年働いた。数年前にその会社は潰れてTさんもI君もそれぞれ違う会社の所属となっている。当時は皆30代だったが、今は全員50代。転職後、10年ほど前に一度会ったっきりだったので久々の再会。TさんI君とともに働いていた頃は朝8時には仕事をはじめ、夜10時までノンストップ。そのままこの居酒屋で12時まで飲んで、さらに近所のラウンジで深夜2時まで。そこから帰宅し、次の日も8時には働いているという…ま、それで精神的にも肉体的にもクタクタになり、転職を決心するわけだけど。とにかくハードコアな時代でよく働いたし、よく遊んだ。バイタリティに溢れお酒大好きで最後必ず説教酒になるT先輩にどれだけ説教されたかというのも今となってはいい想い出。飲みの誘いをいかに断るかをI君と相談してたんすよ!なんて話も笑って話せる。しかしそれも含めてあの地獄とも言えるような日々、共に過ごした仲間たちとの濃厚な日々は確かにあれはあれで「青春」だった。今も仕事の愚痴を書いてるけど、あの頃に比べたらなんてことない。余裕っすよ、ホントは。ビールを浴びるように飲んでいたT先輩も大病をして随分酒量が減ったようだ。当時は一番の若手で独身、恋に翻弄されていたI君もいまや2児の父親。僕もまぁそれなりに頑張ってきた。20年分の募る話は尽きることなく気が付けば4時間。またの再会を約束して終電で大津まで。いい夜だった。

2024年3月2日~8日の話。

2024/3/2

さてバタバタな2月が終わり3月へ。

友達の結婚式へ行く娘を駅まで送った後、京都まで出る。三条の「なか卯」で久々に親子丼。腹ごしらえを済ませMOVIX京都で映画。イ・サンヨン監督「犯罪都市 NO WAY OUT」観る。マ・ドンソクが剛腕刑事マ・ソクトを演じる痛快暴力アクションエンタメの第三弾。説明不要のマ・ドンソク映画。今回の悪役はイ・ジュニョク演じるイケメン悪徳刑事と青木崇高演じる日本から送り込まれた最強の殺し屋。悪役が強ければ強いほどマ・ドンソクの腕力が輝く構造。もはや物語に意味なんかありません。ただただ悪人をマ・ドンソクがぶっ飛ばす爽快感で2時間を突っ走る。青木崇高も日本刀振り回しての快演。これ役者冥利に尽きるだろうな。あのマ・ドンソクと殴り合いできるなんて楽しくて楽しくてしょうがないだろう。それが映画として残るんだから。あと個人的には前2作で班長を演じたチェ・グイファとの軽妙なやり取りが好きだったで、今回は部署が変わってチェ・グイファ不在なのが残念。その代わりと言っては何だがマ・ドンソクとコンビを組むのがキム・ミンジェ韓国映画ファンならお馴染みの顔でマ・ドンソクとの掛け合いも楽しい。暴力アクション同様、目一杯小ギャグが詰め込まれてるのが今シリーズの特徴でもある。東映セントラルアーツのTVシリーズ感がどこか懐かしいのだ。タカ&ユージの「あぶない刑事」と共演して欲しいな。浅野温子とマ・ドンソクの掛け合いとか絶対面白いに決まってんじゃん。

で15分のインターバル、同じスクリーンで三宅唱監督「夜明けのすべて」を観る。PMS月経前症候群)でイライラが抑えられなく藤沢。同じ職場で働くことになった新人・山添の無気力さにイラつき、きつく当たってしまう。だが山添がパニック障害を抱えていることを知り自身がPMSであることを告白する。他人には理解されにくい障害を抱えた二人は、適度な距離を保ちながらお互いの理解者になっていく。素晴らしかった。二人はべたついた関係には陥らない、ましてや恋愛感情もない。それでも同志として理解し合い、必要な時には手を差し伸べ合う。彼らとともに働く職場の人々にもそれぞれに事情がある。そう、すべての人は他人からは窺い知れない事情があり、悩みがあり、様々な想いを胸に抱えているのだ。でもどうしても一人では抱えきれない、はみ出してしまう部分がある。そのはみだした部分を誰かが見ていてくれている、理解してくれているというだけで心は少し軽くなる。上白石萌音松村北斗、主演二人の声が実に良い。トーン、大きさ、スピード、どこをとっても最適で素晴らしい。派手な映画ではないけれど、秀作であり良作。大切にしたい映画であった。

京阪電車で大津まで戻って、商店街で散髪。ちょっとすっきりする。義母お手製のちらし寿司の夕飯。

2024/3/3

8時30分起床。妻と買い物。代り映えしない毎日がいかに大切か、奇跡の上に成り立っているかについて考えるこの頃。蕎麦の昼食、「マルコポロリ」から「ytv漫才新人賞」観る。当然なんだが演芸界も世代交代してるなぁ。昔のように熱心に見ることも無くなった。こちらの感性が古臭くなって、ついていけてないのだ。

2024/3/5

YouTubeで限定公開された沢島忠監督1963年作「おかしな奴」を観る。田舎から出てきて落語家となり苦労の末に人気者になるが32歳の若さであっけなくこの世から去った天才落語家・三遊亭歌笑の一代記。寅さん以前の渥美清がこの落語界の異端児を演じる。若くて勢いのある渥美清の芸達者ぶりに見入る。兄弟子役のこれまた若い佐藤慶が素晴らしい。まだ戦争の残り香が色濃く残る時代だけに映画ははっきりと反戦を打ち出している。

そういえばと思い出し本棚の小林信彦著「おかしな男 渥美清」を引っ張り出す。「『おかしな奴』の失敗」というそのままの章があって読み返す。リアルタイムで歌笑を知る小林信彦歌笑評は「もの珍しいとは思ったが、面白いと思ったことは一度もなかった」と容赦ない。<正統派の芸へのコンプレックスと絶望感からくるやけっぱちのスリリングな魅力>で人気だった歌笑を<落語という古い伝統芸への反逆者>として描いたところで違和感が生まれ<不自然な人形のような主人公>とまで言っている。そして渥美清から電話がありそのことを伝えると、渥美清は<まるで「アラビアのロレンス」みたいな歌笑だろ>とともに笑い飛ばすのだ。二人の冷静さに凄味と怖さを感じる。

2024/3/6

水道橋博士YouTube「博士の異常な対談」ゲスト伊集院光を観る。まさに手の合う二人によるあっちこっちにどこまでも転がり続けるプロの雑談。一つの話が着地する前に道をそれ、さらに枝葉に分かれて勢いづいて転がっていく。それってお喋りのだいご味であり最高に楽しく面白いところだと思う。杉作J太郎さんがラジオで自分で喋りながら「何の話してましたっけ?」と話を見失うとこが最高に好きだ。話を見失うぐらいに転がってるって、それだけ盛り上がってる証拠でしょ。博士と伊集院さん、同じ時代を生きてきた芸人として、同志として、友達として、何より人としてお互いに敬意をもっていることがわかる。決して馴れ合いではなく、それぞれに別のところにいながらも視界の片隅に入っていて、気にしている。二人のお喋りは芸について、鬱について…と様々な方向に転がりながら、自分の思考、自分の場所を確認しあっているようにも聞こえる。二人がそれぞれ他の誰とも違う顔を見せあっている。とてもいいお喋りで嬉しくなる。


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2024/3/7

久々に仕事で大阪へ。朝のうちに2件の商談を終え、ランチは梅田で。事前に調べていた店で親子丼。とっても美味しかったが、いろんな店で親子丼を食べるたびに、いかに「なか卯」の親子丼が美味しいかが浮き彫りになるなぁ。

往復の電車でradiko。伊集院さんの「深夜の馬鹿力」で博士とのYouTube収録話、脱線していくトークについてたっぷり。「東京ポッド許可局」の「PERFECT DAYSおじさん論」、主人公・平山がピン芸人にしか見えないには笑った。最後の泣き笑い顔、今後観るたび爆笑してしまいそう。

2024/3/8

朝から病院。定期的に行っている検査。ここんとこ代休とっても全部病院という感じだ。午後からは会社に出てお仕事。夜、鳥山明さんの訃報。1970年生まれの僕は「ドラゴンボール」より断然「Dr.スランプ」。全18巻、コミックスは全て発売日に買っている。今でも大好きなギャグマンガ。漫画が大好きだったのでアニメ化された時、ちょっと複雑な想いになったのを覚えている。小学生の頃は絵を描くことが大好きで毎日毎日いろんな漫画の模写をして過ごしていた。とにかくその緻密かつ完璧に構成され完成された絵にどれほど感銘を受けたか。第一巻の表紙絵を一所懸命模写したなぁ。何回描いてもあんな風には描けなかったけど。

2024年2月の話。その2

ということで2月に観たもの聴いたもののその2です

S・J・クラークソン監督「マダム・ウェブ」を観る。マーベル初の本格ミステリーサスペンスと銘打ってるものの、普通にアクションエンタメ。救急救命士として働くキャシー・ウェブ。ある日、不意の事故に巻き込まれたことから未来を予知できる能力が覚醒する。ある日地下鉄で偶然乗り合わせた3人の少女、彼女たちが殺される未来を予知したことからその死を回避すべくキャシーは動く。ってなお話。性格もバラバラな3人の少女だが、それぞれに孤独を抱えている。彼女たちとキャシーは、戦いの中で連携を深めていく。それはまた彼女たちの未来であり使命だったのだ。キャシーを演じるダコタ・ジョンソンをはじめ3人の少女たちのキャラクターがはっきりとしていて繋がっていく感じにワクワクする。ヒーローたちの前日譚であり、未来に物語が広がっていくラストも気持ちいい。さすがにマーベルはお話拡がり過ぎててもはや途中から入るのが難しい状態だけどけど、こっち(ソニーピクチャーズ)のマーベル作品はまだなんとか単体でも楽しめる。ちょっと懐かしい雰囲気もあるヒーロー映画。

ミン・ヨングン監督「ソウルメイト」を観る。「少年の君」のデレク・ツァン監督のデビュー作「ソウルメイト/七月と安生」のリメイク。「ソウルメイト/七月と安生」は大好きな作品で、2021年のベストにも入れているほど。今作は舞台を韓国・済州島に移しミソとハウンの16年に渡る友情を描く。何事にも慎重で引っ込み思案なハウン。ある日転校してきた自由奔放なミソと出会い、時間を共に過ごす中で二人はかけがえのない友になる。だが大人になり、ある出来事から小さなわだかまりを抱えたままミソは島を出て二人は疎遠になる。島で自分を抑えたまま堅実に暮らすハウン。自由にだが時に破滅的にたくましく生きるミソ。ぶつかり合いながらも続いていく友情、そして反転していく二人の人生。オリジナルにはない「絵」というモチーフが実に効いている。徹底的に写実的な絵を描くハウン、自由な発想で描くミソ。ハウンの目に映るミソ、ミソの目に映るハウン、そして見つめ合う二人。泣けたー。オリジナル版でチョウ・ドンユイが演じた役を演じるのはキム・ダミ!悲しみも痛みも飲み込んで自由に羽ばたこうとするミソを見事に演じる。ミソと出会ったことで殻を壊し本当の自分を獲得していくハウンを演じるチョン・ソニもまた素晴らしかった。

YouTube「みんなのテレビの記憶」高田文夫先生編を観る。貴重なTVバラエティ史が、高田先生の爆笑トークで語られる。とにかく話のスピードが速くて、挟まれるジョークの数の多さ、当意即妙な受け応え、まさにトンチが効くトークで凄い。令和ロマンより回転早い70代!


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土田英生作・演出、MONO公演「御菓子司亀屋権太楼」観劇。和菓子屋「亀屋権太楼」を舞台に、10年の歳月を描く大河ドラマ。社長を継ぐ人格者の次男、それをよく思ってないいい加減な長男、叔父さんを慕うしっかり者のその娘、先代に恩義がある和菓子職人、10年バイトを続ける男、店を断ち直すために呼ばれた女性店長…10年の中で変わっていく彼らの関係性。ドラマチックなところは直接描かず、すっと時間の経過を示し変わっていく関係性を会話で見せていく。日常の中にある何気ない会話で物語を綴っていくMONOらしさは残しつつ、10年という長い期間、小刻みな舞台転換という新境地。シンプルでいながら工夫の凝らされた舞台装置、転換の仕方も面白い。そして物語の背景には、差別と偏見という社会問題や正しさとはという問いなどがとけ込んでいる。そのとけ込み具合が素晴らしい。全てではないがそれらは日常の一部であり、常にそこに潜んでいるのだ。さりげなくもチクリと胸に刺さる。ある種の残酷さもありながら、優しく、温かく、ちょっと切ない。MONO、最新作にして最高作だと思ったな。素晴らしかった。

MONO公演は新しくできた扇町の劇場で観たのだが、想えば90年代今は亡き扇町ミュージアムスクエアへ妻と一緒にMONOの公演をよく観に行った。恋人~新婚時代の話だ。今ではすっかり老夫婦となったが妻と二人、扇町でMONOの芝居を観る。それもまた良いね。

「不適切にもほどがある」を楽しみに観ている。このドラマに関してはネットなどを観てもいろいろ語られている。自分もまたモヤモヤがないわけじゃないけど、ちょっと思ったのはみんなクドカンに何もかも背負わせ過ぎじゃないか。そして「物語」が「物語」として受け入れられない時代なのかなとも思う。登場人物たちのセリフが全てオピニオンだととらえられ物語が語られない。クドカン高田文夫先生に憧れ、松尾スズキに師事した喜劇作家。どうしようもなく人間臭くて、くだらない人間の業を描く物語の書き手で、そこも含めて人間賛歌を描ける作家だと思っている。だから大目に見てよとは言わない。批判は必要である。でも物語はまだ途中だ。ドラマは5話で大きく転換。クドカンの真骨頂という感じ。阿部サダヲの繊細な演技が光る。そして河合優実がとてつもなく素晴らしい。映画界では既に注目の俳優だったが、一気に人気も高まるだろうな。

とここまで書いたが、自分でもまだまとまらない。正しさとエンタメ。様々な人が指摘する問題点もわかる。だけどめちゃめちゃ面白いと思ってる自分もいる。ま、急がずに考えたいね。

宗像明将著「72年間のTOKYO、鈴木慶一の記憶」読了。鈴木慶一が生まれてから現在までを語りつくすインタビュー本。ムーンライダーズ鈴木慶一さんのことを知ったのは10代の頃。その頃から僕はずっと「鈴木慶一になりたいボーイ」だ。でこの本では慶一さんが自身72年の人生を語りつくす。話は音楽のことだけに留まらない。その裏の裏までもが赤裸々に語られる。例えば90年代、メンバー全員で借金を背負うことになる痺れる話から、北野映画における監督とのヒリヒリする関係まで。もちろんムーンライダーズという稀有なバンドの変遷、慶一さんが果たした役割やメンバーへの想いなどもたっぷりと。日本ロック史の大通りと路地裏を行き来しながら、音楽を追い求め、したたかにしなやかに生き抜いてきた音楽人生。リスペクトあるのみ。