2015年8月版



レンデルもジェイムズの後を追うように………。邦訳の新刊は二十年ほど前の作品だが、ディスコミュニカティブな事態をシニカルに眺める意識は、たとえばハイスミス的な状況に翻弄される主体の変成ぶりを興趣に据えるのとは、確かに相容れないと思わせる。やっぱりレンデルの仮想敵みたいなのはハイスミスだったのかなー。『髑髏』はワタクシ的に、カーリイ作品の中では一番とっつきやすかったよ。まだ作者の造形する“悪”の質感を、つかみ損ねているんだな。『地球』は、何か不気味なものをどの話でも滲ませて、上手い出来。表題作とハンドブックと赤ん坊と博物館のハナシがツボです。


★★★★★…………面白い!
★★★★…………読み応えあり。
★★★…………一応、満足。


街への鍵 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

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★★★★


髑髏の檻 (文春文庫)

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★★★★


地球の中心までトンネルを掘る (海外文学セレクション)

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★★★★