深木章子『交換殺人はいかが？ じいじと樹来（じゅらい）とミステリー』(光文社）レビュー

交換殺人はいかが？　じいじと樹来（じゅらい）とミステリー

　いやー、何というか、このホンモノ感。“本格”を読んだって感じさせる短編集ですよ、久々の。作者の短編における手触りが、乾くるみ的なソリッドさに通じるものがあるなんて、ちょっと意外でした。少年探偵という非現実的設定で、パズル的構築性に小説を傾注できたことを感じつつ、余剰の部分で孫との交流の情感を零して、潤いを与えている。全話ギミックが重層的だが、個人的ツボは交換殺人と双子のハナシ。