折原一『死仮面』(文藝春秋)レビュー

死仮面

死仮面



 相変わらず、滑稽で、怖いぞ。作者特有のいかがわしさが、B級ニュースから醸し出される現実のチープさからくるのか、人間の狂いっぷりの脱力さからくるのか、とにかくアリエナイと思いつつ読み進めて、それでもいつのまにかサスペンスの虜になっている……とここまでなら、いつもの折原劇場だけれども、本作のクライマックスは、いよいよカフカの領域に足を踏み入れているのではないか、とガチで思うのだ。