我孫子武丸『裁く眼』(文藝春秋)レビュー

裁く眼

裁く眼



 異色の法廷ミステリーで、裁判進行の描写が必要最小限に留められているのがいい。裁判もののコクを求める読者には物足りないかもしれないが、物語の展開は予断を許さず、2時間ドラマを視聴するノリで一気読みするのが吉。物語の中心を占める、魔性の女みたいなキャラが、それっぽく伝わらないのは、むしろ物語の本質を表していてマル。