[]Between(Simon Scott、Corey Fuller、Marcus Fischer、Tomoyoshi Date、Taylor Deupree)『Between』


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2013年新年あけましておめでとうございます2013年最初更新になります。本年も何卒、よろしくお願い申し上げます。

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木と水が柔らかな電子の音によって、深く深く共鳴するような音響連鎖、生成、持続。本作には、そんなアンビエント/アンビエンスが息づいている。

年も押し迫った12月中旬過ぎ、12kから2012年最後リリース作品『Between』がリリースされた(12を三回繰り返した!)。Simon Scott、Corey Fuller、Marcus Fischer、Tomoyoshi Date、Taylor Deupreeらのセッション録音のライブ作品である。本アルバムは、2012年に慣行された12kジャパンツアーにおいて、京都「きんせ旅館」で録音された音源を用いている。「きんせ旅館」とは、京都の島原にある築250年の木造の建物で、最初は「揚屋」として、その後、「旅館」に、そして今はカフェや文化交流のためのサロンとして運営されているという。

私は12kからライブ録音作品には外れがないという持論を持っているのだが、今回の作品もまたその持論を裏付ける(?)かのような素晴らしいアルバムであった。12k音楽家の面々によるセッション、日本(京都)という場所での録音ということもあり、他にない独特の静謐さが音の隅々から鳴っているようにも思えた。彼らの個性が「きんせ旅館」という長い時間が染み込んだ空間に、静かに、深く、呼応するかのようなミニマルアンビエント演奏である

この演奏が、どこまでコンポジションされていたのか、どこまでがインプロヴィゼーションなのかは分からない。が、即興の中で音が静かに、まるで落ち葉の音ように微かに繊細に生成していく様には深い感動を覚えた。アルバム録音作品でないがゆえの、音の距離感空間性がサウンドの質感。そこから生まれている独自の物質性(硬くて、柔らかいような。ある意味、木=木目のような?)。38分という時間の中で、まどろみと微かな覚醒が交互に訪れるようなサウンド・スケープが展開されているのである

アンビエントドローン化した12kは、極めて現代的な変化だった。それは「逃避」のための音楽という意味で、ある。逃避といってもそれは必ずしも悪い意味だけではない。そもそも世界はあまりにも厳しく残酷であり、経済原理競争主義が人を押し殺していく場所だ。だがそんな時代世界を生きている人も、時にまどろみのなかに逃避することもある。微かな光の、柔らかい暖かさの中で世界から浮遊すること。そう、眠りというループホールへ。覚醒睡眠の間の穏やかにしてハレーションする光のようなサイケデリックな持続と快楽。今の12k音楽は、世界からほんの少しだけ逃避する響きがまるで朝霧のように鳴っている。アンビエントドローン、それは、まどろみの音楽である。それは競争と狂騒を強要する世界への、微かな、本当に微かな抵抗。

本作は地味ながらも、そんな「アンビエントドローン化」した静謐な作品をリリースしてきた12kの、熟成された音楽音響を記録した貴重な作品として後世に伝えられることになるだろう。即興ライブ録音であるがゆえ、その音の気配を間近に感じられる。

残念ながらリミテッド盤ということだが、より多くのアンビエント・ファンに聴いて頂きたい逸品であるジャケットも特殊パッケージで「持っておきたい」、まさにフィジカルな魅力に満ちた作品だ。中には屏風型の木の模様がプリントされたブックレットが収まっており、パッケージ全体で、音楽雰囲気や空気を見事に表現している。是非とも手にとって頂きたい。


Between

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