[]2014年2月12アルバム

2014年2月ベストです。今月は12アルバム。この時期はまだ昨年末の作品が日本に入ってきたり、まだ未聴のアルバムを聴いたりしていますので、2013年作品も数作入っています自分リスニングメモも兼ねているので入れてあります。それにしても2月、良作リリースばかりでした。


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12.Janek Schaefer『Lay-by Lullaby』〈12k〉2014

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●Janek Schaeferの新作が12kから。ロンドンの高速道路M3モーターウェイで録音された音に、霧のように曖昧に漂うアンビエントなサウンドをレイヤー。そのシルキーなサウンドは、Janek Schaeferの作品中でも極めて聴きやすい仕上がり。だが、反対に近年の12kにおいては、もっとも先鋭的な仕上がりともいえる。ここにある音楽は、まるで空気のように漂っており、いわば「聴く」という態度を特権化させていない。そしてそれが12k的ともいえるかもしれない。


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11.Machinefabriek『Attention, The Doors Are Closing!』〈fabriek〉2014

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●驚くほど多作なMachinefabriekの2014年盤は、ロシアのダンスカンパニーのための音楽。音の粒や持続がフィジカルに訴えるように構成・作曲されており、彼特有の実験性が外へと開放されているかのような出来栄え


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10.Francisco Meirino『An Extended Meaning For Something Meaningless』〈Auditory Field Theory〉2013

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スペインレーベルよりリリースされたスイス人サウンド・アーティストの作品。ジャケットアートワークそのものように、テープ音源やフィールド・レコーディングノイズ音響へとエディットした現代ミュージック・コンクレート。ガタガタカタカタというプリミティブな物音的な音が次第に持続的なノイズへと変換していく。2013年作品だが2014年になってから入荷したので聴けた。


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9.Camille Norment『Toll』〈PRISMA RECORDS〉2013

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●グラスハーモニカバイオリンより小型のノルウェイの民族楽器ハーディングフェーレ、エレクトリックギターアンサンブルによる現代音楽作品。グラスハーモニカの微細な音響からギターの轟音まで自在に変化していく構成が素晴らしい。2013年作品だが、2014年2月になって初めて知った。


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8.Michael Pisaro/Greg Stuart『Closed Categories in Cartesian Worlds』〈Gravity Wave〉2013

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●Michael Pisaroの2013年作品だが、今年2月になって初めて聴いた。非常に素晴らしかった。サイン波と打楽器クロテイルのための作品で、打楽器という言葉から全く想像ができないほどの静寂さ。サイン波(2000Hz前後の単一のサイン波)に、±200Hz前後の別のサイン波がレイヤー。そこにクロテイルという打楽器の微弱な音を重ねている。コンセプチュアルなサウンド・アート盤。


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7.Sunn O))) & Ulver『Terrestrials』〈Southern Lord〉2014

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●組み合わせは必然、仕上がりは予想を超えていた、そんなアルバムSunn O)))的な轟音は影を潜め、近年のUlver特有のダーク・アンビエントクラシカルムードの中、まるで森の中に燃える太陽のような音楽が生まれ出ている。聴くほどに拘り抜いた録音の数々を実感する。


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6.カフカ鼾『Okite』〈felicity〉2014

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1月リリース作品だが聴いたのは今月なのでここに。web ele-kingレビューを書かせて頂きました。ジム・オルーク現在即興音楽現在交錯する素晴らしい作品。詳しくはここ(http://www.ele-king.net/review/album/003626/)に書いたので読んで頂けると嬉しいです。


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5.LUCY『Churches Schools & Guns』〈Stroboscopic Artefacts〉2014

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●これは多分、コンセプチュアル・アルバムなのだろう。アルバムの始まりから終わりまで、ひとつの流れ(物語)がるように感じる。また、00年代以降の電子音響/エレクトロニカ技法もそこかしこで総活用されており、コンテクスト越境する完成度の高い作品となっている。

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4.BJ Nilsen『Eye of the Microphone』〈touch〉2013

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●touchから2013年12月に出た盤だがこれも聴いたのは2014年2月に入ってからなのでここに。フィールド・レコーディングされた素材を徹底的にエディットし、電子音レイヤーさせていくことで、見事な音響作曲している。そのダイナミックかつ緻密なサウンドエディットがもたらす空間性の生成は、フィールド・レコーディングにおける「作曲=構成」論としても注目に値する出来栄え


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3.Francisco López『Presque Tout (Quiet Pieces: 1993-2013)』〈LINE〉2014

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2014年LINE最初のランナップは、Francisco Lópezの音響データを計7時間ほど収録したDVDデータアルバム1993年から2013年までの20年におよぶトラック(WAVファイル)を網羅しており、Francisco Lópezクロニクルとしても有用ディスクとなるだろう。音と環境クリティカル考察の豊穣な結実がここにはあり、いわば「フィールド・レコーディング/サウンド・アートの20年」を考えるきっかけにもなるはず。また、このアルバムLINEからリリースされたことの意味は、2014年のサウンド・アートの動向を考える意味でも極めて重要意味を持つのではないか。時に徹底的な微音で、しかし、時に耳を大きく震わす音の質感の静寂と躍動。「聴くこと/聴こえないこと」をめぐる実験。近作になるほど、深い震動が増してくる。微かな音の発する震動の聴取が堪らない。2013年作の3時間に及びトラックをまず聴いて頂きたい。殆ど何も聴こえない3時間。しかし微かに、本当に微かな小さな震えは感じることができる。


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2.Nicolas Bernier『frequencies (a / fragments)』〈LINE〉2014

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●同じく2014年LINE最初リリース作品。音響アーティストNicolas Bernierの新作がLINEから音叉を使ったサウンド・アート作品の音源化だ。クリアな響きによる電子音響作品。アルバム1トラックの長尺(33分)だが、クリスタルな音質のサウンドが次第に生成変化を遂げ行くので聴いていて全く飽きない。その澄み切った音の震えが刺激的かつ快楽的だ。Nicolas Bernierは、Home Nomalなどからポストクラシカルアンビエント作品をリリースしていたアーティストだが、近年は、このシステムを用いた極めて硬質かつクリスタルエクスペリメンタル電子音響作品へと転身。昨年Entr'acteから出た別バージョンも良いので、そちらも必聴。raster-notonファンも是非。アルバムアートワーククール。因みに、先に挙げたFrancisco MeirinoらとBoldというインプロ・ノイズ・ユニットでの活動も行っており、そちらも実にユニークだ。


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1.竹村延和『Zeitraum』〈Happenings〉2014

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12年ぶりの新作?いや、そもそもそんな単一な時間の流れほど本作と無関係ものはないだろう。10年前も15年前も、つい昨日のように繋がっていると同時に、遥か未来、もしくは遠い過去からやってきたような新ノスタルジア楽曲の数々。なんという瑞々しさ。電子音楽楽器(多分、ソフトシンセか?)の音の隙間から普遍と実験の両方が同時に生成しつつ存在している鮮烈さ。思考からオトノカタチへ。そしてオトノカタチから時間への、複雑で単純な、そう、まさに「子供魔法」のような音楽。まるで童謡ヴェーベルンか。もしくは電子音楽になったアクサクマブールか。それとも2010年代の新しいレコメンミュージックか。これは途方もない傑作である。そして、この時間への意識は、やはり京都という街で生まれ育った人だからこそ持てるものではないかとも思う。自分のようなせせこましい時間感覚しか持ち得ない「東京田舎者」には持てない「時間」に対する距離と意識。羨望するしかない。ここにあるのは、ある独自の音楽メソッドで書かれた音楽である

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