2010-03-09
■[経営]企業の栄枯盛衰って、意外に知ってても気がつかない
日本企業の苦しみを25年前から味わっていたアメリカ企業 - My Life After MIT Sloanを読みました。そうかー、モトローラもイーストマン・コダックも滅亡の淵にあるのか・・・ モトローラが携帯電話でアメリカ政府と組んで一世を風靡していたころも目の当たりにしているし、コダックは子供の頃から近しい存在だったので、あらためて現状を見ると衝撃ですなぁ・・・
と思って、日本のことを考えたら、日本発世界ブランドはさすがにまだまだつぶれたところは少ないけれど、国内でよく知られたブランドは、大々的に淘汰されたり、人知れず業態を変えて別の形で生き残っていたりさまざまです。私も物の本で見ただけなので不正確な情報も入っているとは思いますが、たとえば・・・
カネボウと東レ
いずれも、昭和20年代に「糸へん」企業として名を馳せた名門です。当時の日本の最有力の輸出産業は繊維産業。そして戦前からの技術の蓄積と戦後の欧米先進国からの技術の導入により、世界的にも有数の繊維輸出国として、戦後復興の初期を担った産業でした。1960年代にはアメリカとの貿易摩擦の最大の課題であり続け、沖縄返還にあたっては、日米繊維交渉における日本の譲歩と引き換え*1であったとまで言われるほどの政治的問題となりました。ところが、このころから繊維産業の競争力は徐々に低下し、化学繊維の原料である石油価格が石油ショックにより高騰したこともあいまって、東南アジアなどの廉価な製品との競争が厳しくなってきます。そのころから、繊維産業各社は多角化を進め、カネボウなどは生活産業や化粧品に展開、化粧品が最大の稼ぎ頭となります。また、東レは、化学産業として、素材の開発に強みを見出します。同じ化学産業では、クラレや帝人もその路線を歩みます。
東レは、経営のよろしきを得て、元エントリで書かれているように、現時点での日本産業の勝ち組として生き残っていくことになります。東レは「東洋レーヨン」の略称として始まったのですが、もはや久しくレーヨンは作っておらず、経営資源を素材づくりに特化していきました。一方、カネボウは、小説「沈まぬ太陽」で不当に賞賛された伊藤淳二という経営者が、祖業である繊維にこだわり、稼ぎ頭であった化粧品から金を吸い上げるだけ吸い上げて、他の儲からない事業に振りまく経営を続けました。その結果、カネボウは、バラバラに分解されることになりました。今ではカネボウブランドは、花王に吸収された化粧品事業に残るのみです。
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三井鉱山と三菱マテリアル
この両社は、戦前・戦後すぐを通じて日本のエネルギーの主力であった石炭を生産する会社でした。三井鉱山は戦前の三井財閥の主力企業で、戦後も、日本の主要なエネルギー源であった石炭を産出する有力企業でした。しかし、石炭から石油へのエネルギー革命、炭鉱労働者の争議対策などで経営が悪化、ファインセラミクスなど隣接分野に進出を試みましたが、進みませんでした。最終的に2003年に産業再生機構の下に入り、今では「日本コークス工業」という名前で細々と存在しています。一方、「軍艦島」のオーナーであった三菱鉱山は、昭和30年代から石炭事業の分社化と撤退を進め、素材産業としての多角化に成功しています。
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ダイエー、そごう
言わずもがなですね。高度成長とともに、不動産神話の波に乗って、業態を拡大し、小売日本一の座に就いたダイエー。百貨店のそごうも同じタイプの経営です。店舗進出にあたって土地を買い、その土地が地価上昇で担保価値を高め、その担保をもとに銀行から借り入れて新たな土地を買って店舗を進出する。好循環サイクルだったのですが、1990年、日本のバブル崩壊による地価下落と消費低落により、このサイクルが逆回転を始め、最後は、ローソンなどの優良子会社を売却し、イオングループの傘下に吸収されました。そごうは百貨店業界ですが、百貨店は、今まさに吸収合併のるつぼが現在進行中です。
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家電量販店
これもよく知られた話。日経ビジネスオンラインから引用します。
僕が大学を卒業する頃、一番大きかったのは星電社という会社です。その次に一番電器を売っていたのは第一家庭電器、その次がダイエー、その次にベスト電器、コジマ、ヤマダ電機。これが順番に日本一の売り上げになったんですね。でも一番になった順番に弱くなっていくんです。星電社も第一家電もダイエーも経営が行き詰まりました。
総合商社
ウィキペディアによると「1970年代前半までは三菱商事、三井物産、住友商事、伊藤忠商事、丸紅(丸紅飯田)、日商岩井(日商)、トーメン、ニチメン、兼松江商、安宅産業の10社を「総合商社」「10大商社」と呼ぶことがほぼ一般的であった」ということですが、安宅産業は1976年に伊藤忠に合併、ニチメンと日商岩井も合併し双日になり、トーメンは豊田通商に合併。兼松、丸紅、双日は2000年の不況時に、株価だけ見ればとんでもない安さになり、倒産価格と見まがうほどのところまで追い込まれています。そうした時期を乗り越えて、特に上位商社は、資源の権益の確保を含めた投資事業と貿易・流通仲介をセットにした投資銀行的業務が主要な利益源となっており、高度成長期とはその業態を一新しています。
まとめ
というわけで、ぱっと思いつくだけでも、意外に、大きな会社がつぶれているものです。問題は、そうした淘汰が、新しい勢力を生み出すパワーになっているかどうかと言うことで、どうも需要が縮小しまくる今の日本経済では、その活力が殺がれているのではないかという嫌いがあるのが難ですね… ともあれ、パナソニックやソニーなどの日本発世界ブランドが、このような思い出話にならないように、頑張って欲しいものです。現在進行形で経営の不全をさらけ出している富士通みたいな会社を見ていると、とても不安になります。
(参照)
- 58 http://d.hatena.ne.jp/sunafukin99/
- 41 http://pipes.yahoo.com/pipes/pipe.info?_id=faa858a20082ef6d25ad27557e37e011
- 34 http://muranoserena.blog91.fc2.com/
- 32 http://b.hatena.ne.jp/hotentry/diary
- 22 http://news.livedoor.com/article/detail/4629933/
- 16 http://b.hatena.ne.jp/hotentry/economics
- 14 http://d.hatena.ne.jp/elm200/20100228/1267330630
- 14 http://www.ne.jp/asahi/asame/shinbun/
- 12 http://b.hatena.ne.jp/shinichiroinaba/
- 11 http://www.google.co.jp/reader/view/
