高木正勝-Bloomy Girls

【ART REVIEW】

高木正勝『BLOOMY GIRLS』(2006年、ブルーマーク)

現在、東京都現代美術館のコレクション展にて、メディアアーティスト高木正勝の映像作品《Bloomy Girls》(2005年)が展示されています。

会場に足を踏み入れたとき目の前に現れたのは、私がいつだって夢見ている、広がり、流れ出し、消えていく生の姿そのものでした。

私は瞬間を忘れないために、彼の作品の前に座り、心に浮かんできたイメージを記録しました。彼が創り出す圧倒的な作品世界について、推測や論理的な文章をもって語ることは、私には少し難しすぎます。なので、ノートに残った短い言葉の切れ端たちをご紹介することにします。

やわらかな、春の朝、光、花の匂い、雨上がりの、草木の匂い、水溜りの色、浮遊する瞬間、飛翔、幼年時代、少女の頃、感じていた、永遠のような一瞬、涙、脱中心の、時間、流動、消失、魚、緑色の、昆虫、午後の、空気の冷たさ、太陽、雲、消える、消える、刹那、憧憬、溶け合う、呼応する、絶望、溢れる、美しさ、母親、生の、喜び、自由、期待、蜜の香り、風、空、水、寛容、安心、愛、光、光、光、光・・・

心から「美しい」と感じられるものに、これから先の人生で、私はいくつ出会えるのでしょうか?涙を流すほどの感動と、それが「好きである」ということへの喜びを、何度味わえるのでしょうか?できることなら、私は私の最善を尽くして死にたい。それ以外に、私の人生を豊かにする方法はないと思うからです。

作品は、今月28日まで展示されています。

Text by NANASE