黙然日記(廃墟)

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産経「主張」、基本機能を放棄する。他。

連立政権 日本の「危機」放置するな - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/335254/

 13日付「主張」。同じ指摘の繰り返しになりますが、産経新聞はいまだに、連立政権というものを理解できていないようです。しばらく前までの自公連立政権が、連立政権として機能せず、自民党の一方的な政策判断に公明党がひたすら従うような形が続いていたからでしょうか*1
 基地移設問題については、社民党国民新党がそろって反対の姿勢を示し、民主党内でも意見が割れる中、首相は以前の政府合意を比較的尊重する立場で粘っていると見ることもできます。産経だけ読んでいるとわかりませんが、尊重されるべき地元住民の意見は、基本的に県内移設反対と見られているからです(もちろん、地元でも移設賛成派の人が一定数存在しますが)。逆に、この点をはっきり書かないために、産経「主張」では首相や社民・国新の言動がおよそ無根拠で理解不能なものに見えてしまい、ニュースの背景を解説するという新聞としての基本機能が果たされなくなっています放送倍体 放送媒体*2登場以後、速報性に劣る新聞は、豊富な情報を提供して読者へ判断材料を提供することに自らの意義を見いだしてきました。それが結果として「社会の木鐸」と呼ばれ世論をリードする役割を果たしてきたわけですが、世論のリードと世論誘導を、産経新聞は混同しているのでしょうか。


 以下、思いつき。現在、連立政権が組まれているのは、言うまでもありませんが、民主党衆議院で圧倒的多数でありながら参議院単独過半数を確保していないためです。連立がそんなに気にくわないなら、産経の自民党内への影響力を駆使して、参院自民党を割って民主党の言うとおりになる新党に連立参加させたらどうでしょうか。7議席あれば社民党国民新党を連立から排除することができます。たった2議席でも動けば、社民党を除いてぎりぎり民主党会派が参院過半数(121議席)を確保できます。この規模なら無所属でもいいわけですし、産経から出身者である山谷えり子参院議員と、山谷氏と常に行動を共にしている義家弘介参院議員あたりにでも強く要請すれば、実現不可能ではないんじゃないですか? 比例区出身なのにあっさり与党に寝返るのは山谷氏の得意技ですしね。まあ、今1人でも抜けたら、まさに櫛の歯が欠けるように、そのまま自民党は崩壊していくことになるでしょうし、来年7月の山谷氏の選挙も結果は見えるでしょうけれど。

小沢氏訪中 違和感残した「解放」発言 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/335255/

 同じく13日「主張」。自らを人民解放軍の司令官に喩え、民主党単独政権を人民解放軍による「解放」に比したという小沢氏の発言は、軽率のそしりを免れないでしょう。中国側に対するリップサービスとはいえ、こうして産経やネトウヨに突っ込まれる隙を作るのは、決して得策ではありません(相手にしてないのでしょうけれどね)。しかし産経が、「人民解放軍天安門事件で市民を弾圧した」から不適切だと持ち出すなら、世界最高の核戦力を持ち、世界で唯一それを実戦行使した、しかも日本人の頭上に投下したアメリカ合州国軍や、南京大虐殺慰安婦強制連行を行った大日本帝国軍にも、同じように非難してみてはどうでしょう。いずれも、決して許されるべきではない罪であり、それぞれに検証され繰り返さぬ努力をするべき罪ですが、「それを言い出したらきりがない」というのも、人類史の悲しむべき事実です。もう一つ「主張」が言う、中国によるチベットの「封建農奴制からの解放」が実態には何であったかという指摘も、封建制からの解放であったことは間違いありません。その代わりに布かれた体制が間違っていたというだけで、民主化は形式的には(民族自決権が奪われた形で)実現しているわけです。産経的には、反共の方が民主化よりも重要なんでしょうけれど。さらに、あいかわらず外国人地方参政権に「憲法上の疑義があり」とでたらめなことを言っていますが、これも繰り返しになるので略します。
 「中国共産党による『日本解放第二期工作要綱』」という、どう見ても捏造文書である代物を事実だと信じている人々がいて、その中には有力国会議員(しかも元防衛大臣)が含まれている*3という現実もあることを、政治家としての小沢一郎氏は、もう少し慎重に考えるべきではないでしょうか。たとえ、敵が現れたら豪腕でねじ伏せる、という信条であるにしても。

*1:自公が連立を組んだ当初、地域振興券のころは公明党も積極的に主張していたと思うのですが、連立末期の同じような政策である定額給付金では、公明党も賛同しながら麻生首相の意向が前面に出ていたようです。いつのまにあんなことになっていたんでしょうね。思い返してみても不思議です。

*2:コメント欄でのご指摘により誤字修正。

*3: http://twitter.com/ecoyuri/status/6083239039