黙然日記(廃墟)

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産経「主張」にもほどがある。他。

産経抄】6月21日 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/406062/

 「人間万事塞翁が馬」とか「風が吹けば桶屋が儲かる」とか、そうした東洋の故事ことわざを引用すれば済む話のような気もしますが。もっとも、どちらの話も身体障碍が関わっているので、新聞メディアでは書きづらいのかもしれませんが。『フォレスト・ガンプ』についても知的・身体的障碍について触れていないし*1
 あと、デンマーク戦での引き分けまたは勝利、1勝1敗を受けての決勝トーナメント進出は、「奇跡」ではありませんから。現実的な可能性です。ちなみに、決勝T進出を必須条件にした場合、ベスト4も目標としては現実的です。決勝Tの2試合を延長戦含め0-0でしのぎきれば、あとは五分五分の確率であるPK戦を2回勝ち残ればいいので、1/4の確率なら「目標」としては無理がありません。

シベリア特措法 忘れまいソ連不法行為 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/406053/
今回の特措法をめぐり、シベリア抑留は「日本の侵略戦争」などが引き起こしたとする論調が一部マスコミにあるが、歴史を直視しない一方的な見方である。

 21日付「主張」。ソ連憎しと言っておけばなんでも済む(ロシアも直接的には抗議してこない)と思って、太平楽を並べていますね。ここで問われているのは、戦後65年、少なくとも最高裁判決が出た1997年以後の、日本政府の不作為なのですが。産経と同じくソ連を目の敵にしていた自民党政権ではまったく解決しなかったことが、政権交代後1年もせずに特措法成立にいたったというのは、どういうことでしょうか。
 で、引用部へと繋がるわけです。ソ連の不法が抑留の直接的な原因であっても、大日本帝国が大陸で侵略戦争を始めなければ、そもそも60万人の軍人が満洲などに駐留していたこともなかったわけです。自慰史観の旗頭たる産経が、よりによって「歴史を直視しない一方的な見方」とは。笑わせるにもほどがあります。

改正貸金業法 現実に即した再見直しも - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/406064/

 同じく「主張」。はいはい、産経的には貸金業者サラ金)にも憲法生存権が認められているんでしたよね。多重債務者の生存権は認めていないようですが。経験からいくらか乱暴なことを言ってしまえば、支払いが滞って破産状態になるのを避けるために短期(のつもり)で小売りの金を借りるような状態では、時期を先延ばしするだけでいずれ破産状態が訪れることに変わりはなく、そのときに利息分のよけいな負債がついてくるだけ状況は悲惨になります。グレーゾーン金利の事実上の撤廃が、単に貸金業者の営業を制限するものではなく、「違法行為の禁止」という、法治国家としてあたりまえの対策だということは、理解しているのでしょうか。

*1:「知的障碍者=無垢な心の持ち主」という、この映画や日本の『裸の大将放浪記』など多くのフィクション(ときにはノンフィクション)作品が広めたイメージについては、実在の知的障碍者や関係者から、厳しく批判されていることも付け加えておきます。そのようなイメージを強制されることによって、たとえば「悪いことを(実行ではなく)考えてしまった自分」を責めて苦しむ人も多いのです。