黙然日記 このページをアンテナに追加 RSSフィード

ひとりごと、よしなしごと、黙っているにも等しきこと。

2010-06-29(Tue) 0628 ちょっと晴れ間あり。/0629 晴れ時々曇り、直前に雷雨とか。

[][]枝野氏の悪評と支持者の言い分。

 今日はこのあといろいろあるので、ちょっとイレギュラーです。

 枝野幸男氏(民主党幹事長)の評判が、たいへん悪いですね。

[選挙][政治]枝野幸男幹事長が議員定数削減を言い出していることに関して - カルトvsオタクハルマゲドンカマヤン虚業日記

http://d.hatena.ne.jp/kamayan/20100627#1277650661

村野瀬玲奈秘書広報室 | 民主党の非民主的側面の一例 (枝野幸男幹事長)

http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-1843.html

デマを平然と吐く男・枝野幸男 - bogus-simotukareの日記

http://d.hatena.ne.jp/bogus-simotukare/20100628/1297576118

鳩山平野、菅に枝野 - vanacoralの日記

http://d.hatena.ne.jp/vanacoral/20100628

 とまあ、ここ数日のものを見出しレベルで拾ってみてもこんな感じですが。それぞれ良エントリなので、できればひととおりご覧になってから以下の文章をお読みください。いちいち反論すると泥沼なので、いったん抽象化して、全体を通した感想というかたちで述べさせていただきます

 枝野幸男という政治家は、本質的に「専門知識を持つ分野には強い」スペシャリストです。スペシャリストとしてはたいへん幅広い分野をカバーしていますが、「どんな仕事でもとりあえずそれなりにこなす」ジェネラリストではありません。具体的には、法案の条文作り(法律オタクなところがあります)、広い意味での人権擁護(二次元規制反対からチベット友好まで)、労働問題社会保障などの弱者への視点、官僚制度と独裁体制への反感などです。選挙に関しても、最近は言われるほど弱くないと見ています(大政党の幹事長が務まるレベルかというのは正直疑問ですが)。一方で苦手なのは、経済金融財政のあたり、いわゆる腹芸的な人脈作り(理論によって信奉者を作ることでは政界随一と思いますが、これは数集めには非常に効率が悪いです)、組織の取り仕切りや人を使うこと(これも改善はしているはずだとは思うのですが)、そして政局です。「こんなに政局に弱いのは政治家として致命的」と、もう10年ぐらいは言われていると思うのですが、なかなか直りませんね。

 スペシャリストなので、専門外のことには弱いのです。従来は「それは党の方針に従う」といった逃げ口上ができたのですが、その党の方針を決めるのが本人では、もはや通じません。専門外のことでもなにか答えなきゃいけないわけです。ただしこれは、専門外のことでも見識を持たなければならない、勉強のチャンスだということでもあります。

 いきなりの政権与党幹事長という役職、それも国政選挙直前に選挙責任者に就任するというのは、すこし荷が重かった、ということかもしれません。この人事は、菅直人首相・代表による大抜擢でした。菅氏から見ても本人にしても、党務を覚えなきゃいけないことはわかっていたわけですが、本人は党務の中でも国会対策委員長あたりを希望していたのに、いきなりこういうことになってしまいました。菅氏から見れば他に適任者もいないし、支持率向上の意味もあって(さしあたりは役に立ったようです)、この大抜擢になったのでしょうが。いずれ経験しなきゃならないポジションですから、今経験してもいいはず、というのは、理屈ではそうなんですけどねえ。

 政治家、少なくとも国政の中枢に関与するほどになる政治家は、程度の差はあれ、どの人も理想主義者です。現実主義者の代表のように言われる小沢一郎氏も、保守二大政党による政権交代という理想を17年がかりで実現させた人物です。安倍晋三氏も、とても高い理想を掲げる理想主義者で、ただ、現実対処する能力がまったく無かった(今でも無い)というだけの話でした。鳩山由紀夫氏も、そういえば理想主義者でした。現実離れという点では政界でもトップクラスで、それで足をすくわれる結果となりましたね。菅直人首相は、安倍氏や鳩山氏に比べるとはるかに現実主義ですが、小沢氏ほど現実的ではありません。枝野氏のポジションは、菅氏よりもう少し理想主義寄りだと思います。これが党務で揉まれることで、どう変わっていくのかを、じっくり見ていきたいところなんですが……。

 幹事長就任当時、本人も「(選挙の仕切り役ではなく)政策をわかりやすく説明する役目で任じられたと思っている」といった発言をしていました。テレビなどで喋ることに慣れており、どういう発言をすると誤解を招くか、発言がどういうふうに切り取られて誤解されていくかを熟知しており、近年は「基本的に生放送にしか出演しない」という方針を保っていたのですが、すべての発言が注目される現在となっては、マスコミによって発言をいいように切り抜きされてしまっています。そのあたりを覚悟した上で、すべての発言に慎重に慎重を重ねるということができていないのは、たしかに残念なことです。実はこの点では、小沢一郎氏の姿勢を見習うべきなのかもしれません。


 で、枝野氏の発言ってそんなひどいのかな? ということを考えてみます。

 本人に慎重さが足りないということは強調しておきますが、それを増幅しているのがマスコミ報道だということも指摘しておかねばなりません。

 27日にテレビで発言して批判の多い、“みんなの党との連立”発言ですが、実際にはそんな発言はしていません。パーシャル連合与野党が政策ごとに協力していくという、ごくあたりまえの話です。しかしマスコミを通すとこれが「連立の可能性に言及した」という見出しなり、党内からも批判されてしまうことになるわけです。パーシャル連合の意味であるにしろ、この時期の発言としてはやや軽率なのは確かですが、どうしたものでしょうかねこれは。

 同じく27日のテレビで、国家公務員労組が民主党ではなく共産党を支持している、という発言に日本共産党市田忠義書記局長が反発したという話については、実際の労組の動きがどうなっているのかよくわからないので、わたしとしては保留にしておきます。ソースが「しんぶん赤旗」と「産経新聞*1しかないというのも、困った状況です。フジテレビの番組だということと野次馬根性なのでしょうが、なんでよりによって産経

 国会議員定数削減についても、衆院比例定数80削減という民主党の既定方針と同時に、参院改革と定数40削減を打ち出しています。これも比例から削る気だろう、という反発がありますが、それでは参院改革になりません。参院については、地方区における一票の格差という積年の問題があります。これをなんらかの形で改善しなければなりません。たとえば、比例区はそのまま、地方区をブロック単位大選挙区制に改め、その際に定数を少し削減するという形です。比例代表制、あるいは大選挙区制が、少数意見をより反映させる制度であることは、言うまでもありません。衆議院に関しては、おそらく枝野氏も最終的に単純小選挙区制を目指しており、比例定数削減はそのステップなのでしょう。ただし、参議院が少数意見を反映しやすい仕組みになっていれば、制度改革の意味は大きく変わってきます。単純小選挙区・二大政党制のお手本とされる英国では、小選挙区制は衆議院に相当する下院庶民院)だけです。上院貴族院)は世襲その他で選ばれ選挙制度とは関係ありませんが、二大政党に縛られない良識の府として位置づけられています。米国も小選挙区制は下院のみで、上院は定数2の(いちおう定義上は)大選挙区制を採用しています。日本国で仮に「単純小選挙区・二大政党制」を採用するとしても、それは衆議院に限り、参議院は少数意見を反映する第二院として機能すべきでしょう。もちろん、民主党が今回持ち出してきた選挙制度改革案が、参議院にそうした位置づけを与えているとは限りませんが、違うと考える根拠もありません。この話は、もう少し様子見してもいいのではないかと思います。もちろん、衆議院ももっと比例の比率を高めるべき、少なくとも現状維持すべきだ、という意見も理解できますが、一部だけを取り出して全体の批判をするのは、正しいとは思えません。なお、わたし自身としてはやはり定数削減に反対なのですが、「発言の解釈」という意味で書かせていただきました。


 それから消費税問題に関して。消費税増税に目の色を変えている読売朝日・産経あたりは(毎日はそうでもなさそうですが)、各党首脳が「消費税」と一言口にするだけで針小棒大に伝え、なにがなんでも「参院選の最大の争点は消費税」「消費税といえば増税ありき」というムードを煽っていることは、見落とすべきではありません。本来、争点になるべきなのは「消費税を含めた税制全体の見直し」であり、歳入と歳出のあり方が常に国政選挙の最大争点であることは当たり前なのですが、その中で消費税だけに焦点を絞る報道は、ミスリードとしか言えません。実際に、国民の多くも「消費税そのものは最大の争点ではない」と考えているようです(この点に関しては、最後にサブエントリとしてまとめておきます)。では消費税について、民主党全体、あるいは菅首相はともかく、枝野幹事長は、どのような発言をしているでしょうか。

YouTube - 消費税・社会保障 与野党議論

http://www.youtube.com/watch?v=tmstWVjPAi4

 これもNHKが都合よく切り取った映像といえばそうなのですが、その中でも枝野氏は、「(消費税を含む)税制の抜本改革」という言い方を繰り返しています。まず税制見直しを提案する。すると「じゃあ消費税はどうすんの?」という質問が当然出てきますが、どう答えるべきでしょうか。「場合によっては増税やむなし」と考えているのに、口先で「絶対上げません」とか答えていたら、それは政治家として許されません。その許されないことを、自民党の歴代政権はずいぶんやってきましたが。そこで、「場合によっては増税やむなしなので、見直しに含めます」と答えているわけです。

 税制を見直すなら消費税ではなく、所得税などの直接税(特に分離課税の廃止)による再分配機能を重視するべきだ、と主張しつつ、「民主党が消費税を上げようとしている」と批判する向きもあるようですが、枝野氏や菅政権が本当に「消費税だけ」を上げようとしているのか、マスコミに頼らず発言を見極めていただきたいと思います。


[media]各社世論調査の結果と報道姿勢。

 ついで的に。21日〜29日にかけて発表された各社世論調査の結果からです。

asahi.com朝日新聞社):「消費税が最大争点」19% 参院選、朝日新聞世論調査 - 政治

http://www.asahi.com/politics/update/0627/TKY201006270353.html

消費税の引き上げを参院選の最大の争点だと思う人は19%で、「消費税以外にも大きな争点はある」とする人が71%にのぼった。

 すこーん(PKで蹴ったボールがゴール上1.9mあたりを飛んでいく音)。

参院選、「消費税」政策重視が増加…読売調査 : ニュース : 参院選2010 : 参院選 : YOMIURI ONLINE(読売新聞

http://www.yomiuri.co.jp/election/sangiin/2010/news2/20100626-OYT1T00074.htm

参院選で最も重視する政策を聞いたところ、「景気や雇用」31%、「年金など社会保障」30%、「消費税など税制改革」13%などの順に多かった。

 この結果でこの見出し。読売も産経並みの凄さですね。

毎日新聞世論調査:参院選後の連立「民主単独政権」30% - 毎日jp(毎日新聞)

http://mainichi.jp/select/seiji/news/20100629k0000m010071000c.html

◆参院選の投票先を決めるにあたって消費税の引き上げ問題を、投票の判断材料にしますか、しませんか。

判断材料にする  41〔%〕

判断材料にしない 55〔%〕

 「One of themにはする」ということですね。

【世論調査】 主な質問と回答 - MSN産経ニュース

http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/100622/stt1006220004000-n1.htm

【問】参院選の争点として最も重視するものは

景気対策36.2(39.1)

子育て教育問題 8.4( 7.6)

医療・年金などの社会保障17.1(13.8)

外交安全保障 2.9( 5.9)

「ばらまき政策」の見直し14.3(12.3)

消費税などの税制改革 7.6( 4.7)

党首の指導力 1.6( 4.7)

「政治とカネ」の問題 3.1( 4.3)

公務員制度改革 4.2( 4.4)

日本国家像 3.0(−)

わからないなど 1.6( 1.8)

 この質問項目だと、消費税に絞った「重視するか」はもっと低い数値になるでしょう。エントリの主題とは関係ありませんか、実に産経らしい選択肢がありますね。最下位のところに。

 というわけで、各社ともこんな感じの消費税関連報道を繰り返しているわけですが、実際にはたいした争点になっていない、それより景気そのものを、というのが、世論調査からもリアルの身近な声からも、わかのことではないでしょうか。

Gl17Gl17 2010/06/30 11:00 朝日の記事は私も噴きました。
まあなんというのか、他社よりはまだマシなんですかね、

「消費税の引き上げを参院選の最大の争点だと思う人は19%で、
 「消費税以外にも大きな争点はある」とする人が71%にのぼった」

中身としては誤解のしようがない書き方とも見れますが、しかしその下位選択でしか
ない消費税についてだけしつこく細かく記述し続けるのは一体どういうことなんだか。
合理性は全然ないですよね、国民は興味ないけど朝日はココなんだよ!、て以外は。
ただ、

「「消費税が最大争点」19% 参院選、朝日新聞世論調査」

てえタイトルは、見出しだけで「最大争点」だと誤認してほしい願望が入ってるんだろな。
読売の「多かった」は笑えますね。なんじゃこの恥知らずな誤読誘導は。

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