黙然日記 このページをアンテナに追加 RSSフィード

ひとりごと、よしなしごと、黙っているにも等しきこと。

2012-05-18(Fri) 0518 未明雷雨、終日不安定。

[][][][]産経正論」の累卵。他。

お金もうけの神様」、直木賞作家経済評論家邱永漢さんが死去 88歳 - MSN産経ニュース

http://sankei.jp.msn.com/economy/news/120518/biz12051812000025-n1.htmリンク切れ

http://sankei.jp.msn.com/life/news/120518/bks12051814030001-n1.htm

 小説家として世に出ながら経済人としても活躍した、邱永漢氏が逝去されました。それらの活動と同時に、『食は広州に在り』ISBN:9784122026926をはじめとする食エッセイジャンルでも、一時代を画した方です。古今の知識を披露し、エッセイとして十分に読み応えのある内容でありながら、分量まで記した詳細なレシピとしても活用できる書物は、実はそれまで存在しませんでした。同時代の(というか同じ雑誌に連載された)吉田健一『舌鼓ところどころ』は、びっくりするほど「作る」ことに興味を示さず、北大路魯山人の諸作は読書の楽しみに欠けます。現代の食エッセイで、「どこの店に行けば食える」というものを除けば、「どうやれば自分で作れる」という情報を提示しないものは考えられるでしょうか。また、中国人として植民地台湾に育ち、解放された故郷を追われて日本亡命した彼の、中国人と日本人への視線は、独特のものがあります。

 「金儲けの神様」としての邱氏をわたしは知らないので、訃報記事で経済関係についていくら述べられていても「そんなものか」と思うだけですが、エッセイストとしての業績にいっさい触れない記事には疑問を持ちました。のみならず産経は、最初この訃報を経済ニュースとして報じ(上URL)、あとであわてて文化欄として報じ直す失態を演じています。

 豆豉やオイスターソースの使い方から豚肉の選び方まで、邱氏に教わったことはたくさんあります。豆油肉や家常豆腐を知らなければ、わたしの自炊生活はとっくに挫折していたでしょう。今夜は鶏粥を炊いて落花生を摘みながら、邱永漢大人を偲びます。ありがとうございました。合掌

【正論】防衛大学校教授村井友秀 危険犠牲伴う外科手術参加を+(1/4ページ) - MSN産経ニュース

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120518/plc12051803170005-n1.htm

 戦争には良い戦争と悪い戦争があり、悪い戦争を止めさせるためには正義の戦争という外科手術が必要だ、としています。まずここからして危険に思うのですが、さらに村井氏は毛沢東の《平和進歩のための戦争は良い戦争である》という言葉を引いてこの考え方を正当化しています。id:sankeiaidokusyaさんが見たら激怒しそうですね。

 「良い戦争」の例として、最初にPKFのようなものを挙げています。しかしPKFは軍事行動ではあっても戦争ではありません。さらに話を大きくして、自衛戦争独立戦争は「良い戦争」だと分類していますが、たとえば領土権を主張しあっての「自衛」戦争はお互いにとって侵略戦争であり、独立戦争は統治側にとって叛乱・内乱であるという視点がまったく欠けています。村井氏は、集団的自衛権などに基づいた戦争を正当化したいがために論を積み重ねているのですが、その積み重ねは累卵のごとくで、わたしのような素人から見てもあっというまに壊れるような代物です。こんな論理で戦争を正当化できると考えている人物が教授で、防衛大ではいったいなにを教えているのでしょうか。慄然とするばかりです。