まちが劇場じゅんびちゅう

京都へアーチャンの療育へ行く前に立ち寄ってみました。我が家から歩いて20分くらいだし、天気も良く暖かいので、ブラブラと散策。イベントのホームページ見て、とりあえずプライベートプラントの展示されているパラモデルさんのアトリエを目指す。近くに住んでいると言ってもこの辺りは普段は行く用事もないし、予想はしていたけれど、アートのイベントなんて吹き飛ぶ濃い街と濃い人たちに遭遇。
イベントの意図は少し分かりにくい感じですが、アートを愛するものとして、仕事で日々、建築やランドスープを作るものとして、とても興味深いものがあり、経験した内容は時間を掛けて理解が進んでいくように思いますね。
主催者の開催概要下記に引用。

この事業は、大阪市の文化事業として2003年より新世界を拠点に展開してきました「Breaker Project 」、「art school」、「art in the city」「publicなartの実践。」を引き継ぐものです。既存の美術空間ではなく、まちの中に創造の場を創出し、現代の芸術表現と社会をつないでいくためのプロジェクトとして継続して行っています。 今年度は、アーティストがまちと関わり、「地域に根ざした作品、活動を生み出す」ための実験です。5月より藤浩志をナビゲーターにプロジェクトメンバ—とともにまちを歩きミーティングを重ねることで立ち上がってきたプロジェクトを、まちを舞台に展開します。

まちが劇場じゅんびちゅう
http://breakerproject.net/2008/

家からは飛田の方に近いので、歩いて行くと、ゆるやかに蛇行するような道と商店街の感じがとても心地良いですね。通天閣周辺が観光客でごった返しているのに較べると、とても寂れた印象で、通天閣周囲が放射状の強い街路であることも含めて対照的な街の形ですね。この蛇行する道と商店街はどういう経過を辿って、こういう形になったんだろうと思うし一度きちんと資料調べてみたいなと思いますね。昔の水路や里道の形のまま残ったのかもしれません。商店街の屋根にはプラスチックのハンガーでできたプラトン立体のようなオブジェが吊るされていました。たぶん正20面体みたいな感じ。プラトン立体ならば正20面体は水を表すから、昔この蛇行する道は水路であったことのしるしなのかなと空想する。でも立体の中にはこれもプラスチックでできた鳥のオブジェが挿入されていて、鳥のモチーフは、空気を表す正8面体の時によく表現されるから、鳥=けもの道のガイドみたいなものなのか、とも空想した。ナビゲーターさんのblogなど読むと、地域の皆さんとワークショップなどして制作されたらしく、作品としてのインパクトは、正直あまり感じませんでしたが、そういった組織つくりは素晴らしい試みですね。

商店街に差し掛かると、いきなり大きな声で、昨日道で呑んだくれて倒れていた爺さんの顛末について立ち話しているところに遭遇、空想から目が醒める。ドギツイ話だけれど愛があるな。しばらく行くと南海電車廃線跡の交差点のところに出る。フェンスの中にプラスチックのおもちゃのようなパーツでできたオブジェがポツンと置かれていました。去年ここで陶芸家の、きむらとしろうじんじんさんのワークショップhttp://d.hatena.ne.jp/prader-willi/20071106/artanartがあり、強いキャラクターと真逆な感じの丁寧なコミュニケーションにインパクト感じましたが、このプラスチックのオブジェは対照的にコミュニケーション不全というのか、肯定的に見ると、あえて濃密なコミュニケーションからは一歩引いて、ストレッチ中みたいな空気を醸し出しているとも言えるが、あまりうまくいっているとは思えないですね。でも妙に記憶に残る。惑星ソラリス連想。

交差点の脇に座っているオバサンが大きなビニール袋に半端でない量のパンのくずを入れてハサミで細かく切って、それを道路の鳩に与えている。道路は鳩で凄いことになっている。空から鳩フンが落下してきたので慌てて退散、東へ折れてパラモデルさんのアトリエへ。地図見ながら行くと、たくさんの人が集まっているので、あそこやなと指差しながら進むと、カーチャンがちょっと違うと思う、というのでよく見ると近くの事務所の方々でした。再び空想から目が醒める。
パラモデルさんのアトリエでは、プライベートプラントの展示。ラジコンのトレーラーに盆栽をいくつか乗せて街に走らせているところユニークでした。最近はあまり見なくなったけれど、昔は正月になると自動車に締飾りにダイダイ付けて走っていたのを連想。あれの現代アート版作って欲しいですね。画像は作家さんの許可が要るらしく面倒なので無し。
そこから元の交差点に引き返し、商店街を抜けて通天閣へ。凄い人出でした。観光バスが付けていましたから、観光客の様子。
近くの更科本店で昼食。壷庭にツルのオブジェが置かれていて、一羽がドジョウくわえていて、少し前の天王寺動物園でのremoscopeのワークショップhttp://d.hatena.ne.jp/prader-willi/20081208/workshopの時のツルの横取りの場面とそっくりで、皆で笑ってしまった。

それから、最後にプロジェクト拠点に行きました。元は煮豆屋さんだったらしく、カフェで豆を使ったケーキセットなどのメニューがありました(京都の療育に行くので時間の都合で食べられず残念)
こちらにイベント範囲全体の地図が置かれていて有料配布されていました。以前御世話になったポリフのワークショップhttp://d.hatena.ne.jp/prader-willi/20080921/workshopも後日あるらしく、その他の提案なども、街のインパクトに対して、どちらかと言えば積極的に弱く作る感じが伝わってきて、良い印象を感じます。ポリフのように小さなパーツをアイロンでくっつけるように手軽に都市が再生していければ良いなともう一度空想。これは醒めてほしくない空想。

商店街の看板には英語、日本語、韓国語とコメントがあり、このイベントでもせめてあとそれにスペイン語くらいを足して、フライヤーなど作って欲しいなと思いますね。この街の住人や訪れる人たちは日本人だけでは無いですから。