発達障害、脳の活動場所に違い 三邉金大教授ら確認

これは素晴らしい研究成果ですね。

発達障害、脳の活動場所に違い 三邉金大教授ら確認
http://www.hokkoku.co.jp/subpage/H20120316102.htm

発達障害の子どもと発達障害ではない子どもの脳を比較すると、神経細胞の活動場所に違いがあることを、金大医薬保健研究域医学系の三邉義雄教授らの研究グループが15日までに、世界で初めて突き止めた。(中略)
その結果、発達障害の子どもでは、30人(85・7%)は、神経細胞の活動が空間を認知する能力をつかさどる右脳を中心に行われていた。一方、発達障害ではない子どもでは、32人(91・4%)が言葉やコミュニケーションをつかさどる左脳を中心に神経細胞の活動が行われていた。

以前、アーチャンが両手利きで物を投げたりする時に左で投げることや、そのことに関連してprader-willi症候群の行動や精神面の異常について研究されている小倉加恵子先生にお聞きした事があります。
そのblog記事を再録します。
おそらく、障害のある子ども達の神経活動が空間認知能力を司る右脳を中心に行なわれている、すなわち左脳はあまり使われていないことから、言語的な問題や、空間認知や表現における構成失効的な問題も解明されていくのではと期待します。
左脳の頭頂葉に観察者中心座標系があるのではとする研究なども他の研究者さんがされているようですから、併せて類推するに、右脳の環境中心座標系の認知は保たれていて、この子たちの描画における構成失効的な表現における、重なり図が描けないところ(観察者中心座標系が曖昧だから自分から見た視点が曖昧と類推)や、デビッド・マーの唱えた2.5dスケッチ(観察者中心座標系)から一般円錐モデル(物体中心座標系)への認知の流れが、うまくいっていない(逆説的にデビッド・マーの説の証明になっているのかも)事の証左になるように思います。
そこから、この子たちへの関り方や、アートセラピーのあり方の適切な方法が見出せることを期待します。

2008年2月12日のblog日記より
http://d.hatena.ne.jp/prader-willi/20080212/memo
prader-willi症候群の食行動・常同行動
東北大学の小倉加恵子先生の御研究がpubmedに公表されています。prader-willi症候群の諸症状と前頭側頭葉変性症との関連についての研究だそうです。(転載許諾済み pubmedの情報は概要のみです。詳細はネット通じて購入や、図書館からのコピーサービス等で入手可能ですね)
研究に参加された先生方、患者家族の皆さんに感謝致します。

Frontal behavioral syndromes in Prader-Willi syndrome.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18262375?ordinalpos=2&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_RVDocSum
pubmedより引用(小倉先生の転載許諾済み)

この前頭側頭葉変性症について、検索していて、とても不思議だったのは、健常者の方でこの病気を発症された後に、アート制作に目覚めたり、アーティストの方で発症された後に作風が急に大胆な作風に変化したりする傾向があるらしく、小倉先生も、メールでの御返事で、その点について興味を持っておられるとの事でした。アーチャンがお絵描きでも陶芸でも何でも嬉々として一緒に制作していることも関連あるのかもしれないですね。アートセラピーの可能性についても関連研究が進む事を期待したいです。

Art and the brain: the influence of frontotemporal dementia on an accomplished artist.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12771276?ordinalpos=2&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_RVDocSum

Why brain damage may spark artistic ability
http://www.medicineonline.com/news/12/6430/Why-brain-damage-may-spark-artistic-ability.html

小倉先生には、以前、脳の障害と利き手の事について質疑させていただいたことがありました。アーチャンの様子を見ていると、メインは右利きですが、時々左手も右手と同様に使う事があり、脳の障害と関連あるんだろうかと思った事がありました。それは同じ頃入手した情報の、17世紀のスペインの宮廷画家のファン・カレーニョ・デ・ミランダさんが描いた5歳のPWSの少女の肖像画で、両方の手に果物を握ったポーズで、それはモデルの子の過食症を示す物であると同時に、観察眼が異様にするどいファン・カレーニョさんが、利き手が両手であることを瞬時に見つけたのではないかと思ったことがあったからでした。

その質疑に対して、幼時に脳に障害を受けた子供は右脳優位になりやすい傾向がある、等の丁寧な御返事いただきました。
今回、小倉先生の御研究に辿り付いた経過は下記です。

小倉先生
以前、メールさせていただいた、prader-willi症候群児の父**です。よろしければ、下記について教示願います。
ネット検索していて、先生の御研究の見出しを拝見しました。
日本小児神経学会での「prader-willi症候群の食行動・常同行動・精神症状に関する調査-前頭側頭葉変性症をモデルとした検討」http://child-neuro-jp.org/info2/seminarsyuukai/images/49thJSCN.pdfというものです。(PDFファイルの最後のページに目次のみあります)
この御研究の中身をぜひ知りたいので、入手方法を教示ください。可能であれば、先生の研究室のホームページ等で、公開くださるとありがたいです。
この研究を検索して見つけたのは下記のような流れです。
現在、娘は8歳になりました。昨年末より京都大学の、こころの未来研究センターさんの療育を受けていまして、いろいろなテストや療育を受ける中で、やはり短期記憶が弱いということが、分ってきました。
それで、「短期記憶の障害」等をテーマに検索してみましたら、前頭側頭葉変性症の事が出てきて、ひょっとしてPWSも関連するのでは、と思い、念のため検索して見ましたところ、上記の先生の御研究が出てきたという次第です。
(中略)
何でも結構です。教示よろしく御願いします。