トヨタ産業技術館

トヨタのものづくり歴史を中心にした展示品を通して、機械のことが存分に楽しめる博物館です。

トヨタグループの始まりは織機を作りはじめた所からで、見学コースは織機の展示から始まります。
その織機が対象とするワークである糸を紡ぐ工程から様々なデモを通して知ることが出来ました。綿の糸が割と短い繊維の集合体であることを初めて知りまして、その製造方法を含めて面白いものでした。特に初期の自動機が糸に撚りを加えつつ巻き取りをしていく仕掛けには心底感心できます。ワークを加工しその物性が変化していくことを巧みに利用した賢いメカです。この時代に私がこの機械の開発をしていたとしても絶対に思い付けそうにもない仕掛けでした。

メインの織機は完全手動のものから、現代の織機まで、非常に沢山の機械が並んでいます。その多くで実際に稼働させるデモを見ることが出来、いずれの時代の機械を見ても、その動きと仕組みの巧みさに感心です。

影響のされやすい私は、新卒の時に織機メーカーに就職すれば面白そうだったなぁ〜と後悔してしまいました。

いずれにしても、機械屋としては感心するところ満載の展示です。


もう一つの展示は自動車に関するものです。
トヨタ自動車創業当初にものすごい努力をして自動車を作った様が良く判ります。こちらに関しては、技術そのものよりも企業を作り上げていくそのプロセスに感心です。
メインの展示スペースに出ると、自動車の要素そのものの展示の他に、その生産工程に関する展示を見ることが出来ます。

自動車工場にはいくつか見学に行ったことがありますが、最終工程の組付工程ばかりでしたので、ここに展示されているほどの巨大な鍛造機やプレス機などは見るのが初めて、楽しめました。
こうした生産設備を見るだけでも、自動車の一車種を開発、製造、販売する事ビジネスの複雑さと大きさを伺い知れます。私にとっては全然未体験の世界でして、全然知らない世界を覗くことが出来てお得な気分です。


私自身が機械屋であるが故に少々割り増しで楽しめたのかも知れませんが、どなたが訪れても楽しみつつ見聞が拡がること必至の博物館だと思います。
特に、製造業に係わらないお仕事をしている方々にこそ、ものづくりの難しさと楽しさを知るためにも訪れて欲しいな、と思いました。