NUMECA、CADENCEに買収される
2021年1月20日、ケイデンス・デザイン・システムズ社は、NUMECA Internationalを買収する最終契約を締結したことを発表した。買収の条件は非公開。
- ケイデンス、NUMECA社を買収、数値流体力学におけるシステム解析機能を拡充(Cadence社のサイト、2021/1/21)
ケイデンス・デザイン・システムズは、アメリカの半導体開発用ソフトウェア(EDA)企業で、世界の電子設計技術およびエンジニアリング・サービスの最大のサプライヤーである。近年はシステム解析領域のソリューション開発に力を注いでおり、3D電磁界解析ソルバー、3D FDTD電磁界解析ソルバー、電気・熱の協調シミュレーション環境など、次々と新製品を投入している。
NUMECAは流体解析ソルバーやメッシュ作成のソフトウエアの開発に実績があり、創業者がいまだ第一線で頑張っている、今となっては稀有な存在である。業界再編が進む中、いずれどこかに買収されることは必至であったろうが、今回のニュースは二つの点で驚きであった。
ひとつは、創業者(Prof. Charles Hirsch)が第一線を退いた後はともかく、現場の陣頭指揮を執っているうちは買収はないと思っていたこと。もうひとつは、予想外の分野から触手が伸びてきたこと。
CFXやFLUENTがANSYSに買収され、ソフトウエア・クレイドルがMSCに買収され、CDアダプコがシーメンスに買収され、というのはわかる。同じあるいは隣接する業界だから。ANSYSがANSOFTを買収したことの逆の構図だと考えれば、あり得る話か……。*1
川崎重工業、船舶海洋とエネルギー・環境プラントが事業統合
川崎重工業株式会社には6つの社内カンパニーがある。
- 船舶海洋カンパニー
- 車両カンパニー
- 航空宇宙システムカンパニー
- エネルギー・環境プラントカンパニー
- モーターサイクル&エンジンカンパニー
- 精密機械・ロボットカンパニー
2021年4月に、船舶海洋とエネルギー・環境プラントが事業統合されることになった。また、2021年10月に車両カンパニーおよびモーターサイクル&エンジンカンパニーが分社化されることになったと、11月2日にアナウンスされた。
リンク
- 車両およびモーターサイクル&エンジン事業の分社、ならびに船舶海洋とエネルギー・環境プラントの事業統合について(プレスリリース、2020/11/2)
- 川崎重工、航空不振で背水の陣 鉄道・二輪など分社(日本経済新聞、2020/11/2)
- 川重が「2輪車」と「鉄道車両」を分社化する理由(日刊工業新聞、2020/11/3)
三菱日立パワーシステムズ、三菱パワーへ社名変更
三菱日立パワーシステムズ株式会社は、株式会社日立製作所が所有する同社の全株式の三菱重工業株式会社への譲渡に伴い、2020年9月1日より社名を「三菱パワー株式会社」とした。
これに伴い、「三菱日立パワーシステムズエンジニアリング株式会社」も「MHIパワーエンジニアリング株式会社」に変更した。
リンク
- 三菱重工、日立と共同出資の火力発電を9月完全子会社化(日本経済新聞、2020/7/31)
- 「三菱パワー」への社名変更時期決定のお知らせ(三菱パワー株式会社プレスリリース、2020/7/31)
サンデンホールディングスが事業再生ADRを実施
- 車部品サンデンHDが私的整理へ 負債総額1700億円(日本経済新聞、2020/6/30)
サンデンHRは事業再生ADR(裁判外紛争解決手続)の申込みを決議し、即日受理されたという。
ADRとは寡聞にして初めて聞いたが、要は銀行に対して、借入金の返済を一時停止してもらうよう要求したということ。日経は見出しに「私的整理」と掲げており、これだとまるで会社を畳むかのような印象を受けるが、そうではないようだ。
それにしてもサンデンといえば、カーエアコン(用のコンプレッサ)としては世界的な企業であっただけに驚く。必ずしも新コロナのせいばかりではないのだろうが、一丸となって再生を図るべき時に工場の休業を強いられ、体力が尽きたということか。
- 車事業再生ADR手続きの申込み、及び受理に関するお知らせ(サンデンホールディングス株式会社、2020/6/30)
「カルソニックカンセイ株式会社」から「マレリ株式会社」へ
プレスリリースを順に追うと次のようになる。
- カルソニックカンセイとマニエッティ・マレリ、経営統合により世界有数の独立自動車部品メーカーに(2018/10/22)
- カルソニックカンセイの持ち株会社 CK ホールディングス、FCA よりマニエッティ・マレリの買収完了 経営統合により世界有数の独立系自動車関連サプライヤー誕生(2019/5/2)
- カルソニックカンセイとマニエッティ・マレリ、新ブランド「マレリ(MARELLI)」のもとで統合しグローバル化を加速(2019/5/10)
- 社名変更のお知らせ(2019/10/1)
フィアット・クライスラー・オートモービル(FCA)は自動車部品子会社であるマニエッティ・マレリを、カルソニックカンセイの親会社であるCKホールディングスに売却(買収価格は62億ユーロ=約8,060億)。これにより、世界有数の独立系の自動車部品サプライヤーが誕生した。
統合ブランドとして「マレリ」が採用され、そして社名も変更された、ということ。慣れ親しんだカルソニックカンセイ(CKエンジニアリング)の名がなくなるのは寂しい。
(2021/5/31 記)
ANSYS、Livermore Software Technology社を買収
2019年9月11日、ANSYSはLS-DYNAの開発元Livermore Software Technology社を買収することで正式合意したと発表した。
ANSYSは既に陽解法のソフトウエアとしてAutodynを持っているが、今後はどういう位置づけになるのだろうか?
(2020/03/03 記)
リンク
- LS-DYNAの開発元Livermore Software Technology社とAnsysが最終買収契約書に署名(アンシス、2019/9/11)
- ANSYS社がLivermore Software Technology社(LSTC)を買収(CADJapan、2019/9/17)
株式会社IHI原動機誕生
2019年7月1日より、新潟原動機株式会社が株式会社IHI原動機に社名が変わった。
正確には、IHIの航空機エンジンを中心とする原動機事業が新潟原動機に継承され、IHIの子会社であったディーゼルユナイテッドを吸収して原動機事業を統合し、社名も変更した、ということらしい。
(2020/03/03 記)
リンク
- IHIグループ原動機事業の統合に関するお知らせ(新潟原動機株式会社、2019/1/29)
- 原動機事業統合による「株式会社IHI原動機」発足について(新潟原動機株式会社、2019/6/27)