2008-11-01
ゆとりがフリーフォントを手に入れたようです
1.はじめに
漢字が使える日本語フォント 無料ダウンロード 46種類 : 4GALAXYのメモ
数少ない漢字が使えるフリーの日本語FONTをサムネイル付で紹介。
(・∀ ・) <ねんがんのフリーフォントをてにいれたぞ
Fノ( )ヽ
< >
__O)二)))(・ω・`)
0二━━ )____)┐ノヽ
A ||ミ|\ くく
ピッ
『そう かんけいないね』
→ 『殺してでも うばいとる』
『ゆずってくれ たのむ!!』
`゙`・;`' バチュン
Fノ( )ヽ
< >
フリーというのが何を意味しているのかが気になったので、法律関係を中心に調べてみました。まったく素人なので、問題があったら突っ込みお願いします。
以下の本を参考にしました。
追記:2009/11/22
知的財産権早わかり[2009年版]|ダイヤモンド社の知的財産関連ミニブック
2.ことばの定義
まず参考文献1を基に用語の定義をします。
フォント:データ。具体的には拡張子がttfとかpsとか付くファイル
字体:文字の骨格。(参考資料2)
書体:文字の装飾、デザイン。明朝体とかゴシック体とか(参考資料3)
フォントプログラム:フォントに内包されているプログラムのこと。後述します。
3.フォントの構造
フォントにはいくつか種類があります。今回はTrueTypeについて述べます。
TTF(TrueTypeFont)は複数のテーブルによって構成されています。(参考資料4)その内容は大きく分けて3つです。1つ目はフォントの書体を示すデータです。これには高度な数式で表されるベクター形式とビットマップで表させるラスタ形式があります。ラスタ形式は文字サイズが小さい時に使われます。ベクター形式は文字サイズが大きい時に使用されます。2つ目は書体に付随するデータです。アセンダやベースラインの位置といった数値情報やフォント作成者の名前やURLなどの文字データがあたります。3つ目はフォントを補正するフォントプログラムです。フォントサイズが小さくなった時にうまく表示させるために使用されます。この情報をヒントといいます。(参考資料5)ヒントが存在しないフォントも存在します。
フォントと権利の関係を探る時、それぞれについて見ていく必要があります。
4.特許権
a.概略
特許権とは社会に有益な発明を公開する代わりに一定期間の間、保護を約束するというものです。(参考資料6,28)下のような特徴があります。特許法(参考資料7)によって決められています。
- 早い者勝ちである。(同じ仕組みを独立に考え出しても既にあれば意味がない。)
- いろいろ書類を書いて提出し、それが認められなければならない。(審査がある)
- 保護の期間は20年(再度取得は不可)
- 発明であること(自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度なもの)
- 新規性、進歩性があること
b.書体、データとの関連性
書体について特許が取られることはまずないと思われます。書体は新規性がないし、発明ではないからです。調べた限りでもそのような事例はありませんでした。データについても同様です。
c.フォントプログラムとの関連性
フォントプログラムについてはプログラムなので特許が取られる可能性はあります。しかし調べた限りそのような事例はありませんでした。
d.メモ
ヒントそのものに特許がとられています。(参考資料8,9)Appleが所有し、アメリカのみで有効です。アメリカではヒント情報を使用して描画する場合はライセンスを受けなくてはなりません。freetypeなどはこれを避けるために自動ヒント生成を行います(参考資料10)。
5.著作権
a.概略
著作権とは何かを創作した時に発生する権利の集合体です(参考資料11,28,29)。下のような特徴があります。著作権法(参考資料12)によって決められています。
- 表現であること(単なる事実やアルゴリズムでは無理)
- 相対的な独占(似たようなものを独立に考え出された場合、それぞれ独立に著作権が発生する)
- 創作であること(真似してはいけない)
- 保護の期間は50年(70年になるかも)
- プログラム、データベースも保護される
- 登録制ではない。>作成した時点で自動的に発生する。
b.書体
欧米では認められているようですが(参考資料13,29)、日本では美術的な価値が認められない限り認められないようです(参考資料14、15,16,29)。今後は認められていく可能性はあります。
c.データ、フォントプログラム
データおよびフォントプログラムは著作権法で保護される可能性があります。データはデータベースに、フォントプログラムはプログラムとして保護されると思われます。
d.メモ
PostScriptフォントは全体がPostScriptにより記述されているので、それ自体が一つのプログラムとしてみなされるようです。(参考資料17,18)よってフォント自体に著作権が発生します。書体には著作権が発生しないので、たとえば看板や書籍などを見てその書体をフォントにしたとしても問題ないと思われます。
6.意匠権
a.概略
意匠権は工業デザインのための権利です(参考資料19)。意匠法によって決められています。(参考資料20)下のような特徴があります。
- 保護の期間は20年
- 創作であること
- 新規性があること
- いろいろ書類を書いて提出し、それが認められなければならない。(審査がある)
- 誤認惹起に相当しないこと
- 早い者勝ちである
b.書体
類似意匠にも権利が及ぶために、難しいと思われます(参考資料16)。また、審査制であるために膨大な量の字を見なくてはならないので特許庁は書体の審査を受け付けない可能性があります。(参考資料21)
c.データ、プログラム
デザインでないので保護されません。
d.メモ
7.商標権(2008/11/6 追記)
a.概略
商標権は主に商品名を保護するための権利です(参考資料23)。商標法によって決められています。(参考資料24)下のような特徴があります。
- 文字以外にも記号、図形、立体的なデザインなども取得可能
- 保護の期間は10年(ただし、再取得が可能。)
- 新規性はいらない
- いろいろ書類を書いて提出し、それが認められなければならない。(審査がある)
- 早い者勝ちである
- 既存の特許権、意匠権、著作権に抵触する場合は権利者に承諾を得る必要がある
b.書体
デザインとして登録をすることを考えると、審査制であるので6と同じ理由により難しいでしょう。また著しく特徴的でない限り、一般に書体の判別は難しいであろうから「自他商品識別力」を元に審査を拒絶される可能性が高いです。ゴシックとか明朝はまず無理ではないかと思われます。
c.データ、プログラム
文字やデザインではないので無理です
d.メモ
フォント(書体)名を商標とすることは十分に可能(参考資料25)。権利関係の中で唯一、再取得が可能。
登録しても使用しなければ取り消されます。登録商標を継続して3年間使用していないと、それを理由として特許庁に商標登録の取り消しを求めることができます。
8.不正競争防止法追記:2008/11/6 、2009/11/22
a.概要
市場における競争が公正に行われるようにすることを目的とする法律です(参考資料26,31)。特許法や意匠法などの補完的な役割を担います。
特許法や著作権法などが、一定の要件の元に「特許権」「著作権」という権利を与え、権利の行使として差し止め請求や損害賠償請求が認められるのと異なり、不正競争防止法は、今日業者が行ってはならない種々の行為を定義し、そのような行為からの保護を定めている。
知的財産権早わかり[2009年版]P17 注
よって登録されていないものに関してもこの法律により守られる可能性があります。特定の行為としては以下のようなことがあります。
- 周知な商品等表示の混同惹起:全国民的に知られた商品名を他人の商品名として語る。
- 著名な商品等表示の冒用:全国民的に知られた商品名を自分の商品名として語る。
- 商品形態の模倣:形を真似する
- 技術的制限手段を解除する製品等の販売
b.書体
商品形態としてみれば可能かもしれませんが、ありふれた形態や商品の機能上不可欠な形態は除外されるので難しいと思われます。また意匠に関しては販売から3年経過した場合は認められません。
c.データ、プログラム
何らかのプロテクトがかかっていたとしても、解除して解析する事に関しては問題ないと思われます。ただし、その方法や解除するプログラム等を配布すると問題になります。
d.メモ
もっとも考えられることは名称の模倣です。自分で作ったフォントを「モリサワゴシック」とか「涼宮ハルヒフォント」などと名前をつけると問題になると思われます。フォントとの関連情報がいろいろと発見できましたが(16,27,30)、いまいち全体がつかめません。
9.ライセンスと二次利用
続、フリーフォントの謎 - Webと文字に移りました。
10.参考文献
- 著作権法による書体の保護の可能性
- 字体 - Wikipedia
- 書体 - Wikipedia
- TrueTypeフォントのフォーマットを調べる その2 - Webと文字
- アウトラインフォントの雑学(2)─フォント千夜一夜物語(30)
- 特許 - Wikipedia
- 特許法 - Wikipedia
- MicrosoftとAppleがフォントのライセンスを更新 | パソコン | マイコミジャーナル
- TrueTypeフォントのBytecode Interpreter特許は日本では非成立
- Unix のフォント事情
- 著作権 - Wikipedia
- 著作権法 - Wikipedia
- Miki Font : The problems of Fonts: Copyright and License.
- 知的所有権判例ニュース2001-4
- フォントと著作権 - 勝手に将棋トピックス
- フォントの著作権?
- 通信ソフト「Hotline」でフォントを無許諾公開、神戸市の男性逮捕
- フォントに著作権は・・・ - 教えて!goo 回答No.4
- 意匠権 - Wikipedia
- 意匠法 - Wikipedia
- 連載:技術・文化・知的所有権2:フォントの保護
- マルチメディアと特許(2)
- 商標 - Wikipedia
- 商標法 - Wikipedia
- 商標について | 株式会社モリサワ
- 不正競争防止法 - Wikipedia
- フォントで不正競争防止法とはなんぞや - 暇つぶし文@謎
- 第二章 権利ビジネスの崩壊 - 著作権と工業所有権の違い -
- 「PENCKのフォントを作ったのは私です」について とはずがたりblog/ウェブリブログ
- アンチック体の書体盗用事件について
- 不正競争防止法
- 191 http://semimaru.s47.xrea.com/archives/00007456/
- 139 http://semimaru.s47.xrea.com/
- 89 http://www1.odn.ne.jp/~aaa23320/iroiro_news.html
- 83 http://magic3.net/
- 75 http://attomaimai.sakura.ne.jp/
- 71 http://semimaru.s47.xrea.com/archives/00007484/
- 67 http://semimaru.s47.xrea.com/archives/00007485/
- 64 http://netbunker.hp.infoseek.co.jp/
- 54 http://www.karzusp.net/
- 47 http://semimaru.s47.xrea.com/archives/00007481/