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芸術は後半へ続く

2011-02-26

不連続線の真上に立って/ノンセクションの10

 Nichecraftのナウシカ担当こと金藤みなみが出展している五美大展(多摩美武蔵美日芸女子美東京造形)に、Nichecraftのトンボ担当こと僕が行ってきました。

 『歯イタ 〜他者の痛みにテレポートするための変身装置〜』というタイトルの、虫歯の着ぐるみを着て診察台の上で人間が回転するオブジェ。国立新美術館の制約上パフォーマンスができないってことで多少の不利を被っていたものの、誰がどう見ても「立体アート学科」作品でしかないはずのコレを作った当の金藤さんが「洋画科」だったことが最大の衝撃。

 時間がなくてほんの一部しか観覧できてないから狭い了見の感想になってしまうんだけど、もはやジャンルの壁はベルリンよろしくぶっ壊されていて観る側が自由に選び取る多チャンネル時代が来てんだなあ、と齢30にして既に「旧世代の考え方」に片足つっこみつつある(まだ爪先だけで持ち堪えていると自分では思っている)僕なんかは思うのでした。日本画科の学生は主に日本画について学ぶけれど日本画を描かなきゃならないわけではなくて、描いたものは描いたものとしてただそれだけで評価される。ああ、でもそりゃそうか、工学部助教授小説家デビューしてもいいように、相撲界の横綱サッカーやっててもいいように、洋画科の学生が立体アートに興味を抱いて咎められる理由はどこにもない*1

 でも、本人と話してみると事態は少し違っているようで。ジャンルを横断することが当たり前になればなるほど、自分たちを一言で説明できるジャンル(言い換えるならキャッチコピー)がなくなっていく、という悩みもあるらしい。ぜんぶ引っくるめた「アーティスト」って呼び名も誤解と冷笑で掠れてマトモに読んでもらえない単語になっちゃっている今、自分の名刺に載せる肩書きがどこにも見当たらないというのは当のアーティストにとって結構な死活問題なのかもしれない。

 だから、と金藤さんは続けた。だからNichecraftという名前にはすごく意義があるんじゃないかと。いや、原文そのままじゃないから僕のご都合主義的曲解も込みなんですけど、でも実際はっとさせられたわけです。もしや彼女は僕以上にNichecraftの可能性を知ってたり信じてたりするんじゃないだろうかと。

 僕がやっているのは大きなカテゴリーでいえば「演劇」の「小道具」です、と説明できる。けど、たまに僕はそこから自分の意思かどうかもはっきりしない力に突き動かされて「はみ出す」こともある。その「はみ出した部分」をも含めた自分の挙動全体を説明しようとして半ば無理やりひねり出した言葉がNichecraftだったのです。隙間で作る、隙間で企む、そんなの好き好んでやってるのは自分だけだと思い上がってたけど、いたんだよな沢山。そして、自分がぴったりはまれる隙間を探している人も多分、沢山いる。いると信じてみる。柄にもなく大胆に決めつけてみる。なにしろ多チャンネル時代なんだもの。

 子供のころ、学校の裏山だとか、近所の神社の境内だとか、マンションの非常階段降りた先の人が通らない日陰だとか、そういう場所に秘密基地作って秘密結社立ち上げて隊長決めてルール決めて、てな遊びをやったことのある人は多いと思うんです。基地の中はほぼ例外なく薄暗くジメジメしてたけど、僕らはそこで毎日ジメジメイキイキしていられたじゃないか。大人になって身につけた知恵を子供のころから持っていた底無しの好奇心とコラボさせて、メインストリームからこぼれた面白破片を集めて持ち寄って遊べる場所を作りたい。大丈夫ですか僕ちょっと後半感情高ぶりすぎて損得勘定おろそかになってますけど論理的にしゃべれてますかこれ。一息にまくし立てたせいで酸素薄くなってますけどオマケにアレルギー性鼻炎やから呼吸しづらいんよねえ僕。

 要するに嬉しかったって事です。以上、これでおしまい。ああ要することの虚しさよ。

*1:逆に、立体アート学科の作品に「ただの一枚絵」が存在しなかったのも見逃せない事実。「2D or not 2D」

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