なまくらどもの記録

2012/12/31 (Mon)  2012年度ベスト本

 2012年に私が読んだベスト。出版された年は無視しています。

 今年読んだ本は473冊でした。年々少なくなっているのは、通勤時間がかなり少なくなっているから、というのが最も大きな理由です。

[] 2012年度に私が読んだ小説ベスト10

「仮面の貴族 道化の使命」全3巻(ロビン・ボブ・鍛冶靖子訳・創元推理文庫 

仮面の貴族1 (道化の使命) (創元推理文庫)仮面の貴族2 (道化の使命) (創元推理文庫)仮面の貴族3 (道化の使命) (創元推理文庫)

 「ファーシーアの一族」シリーズの続シリーズの第二部完結巻。かつてこの国を救った英雄を助けた存在でありながら、その身を隠し、孤独に生きるフィッツ。次から次へと起こる困難の中、ついに倒れる!?

 この作品の魅力は説明が難しいのですが……主人公が主人公らしくないのも、その要因の一つだと思います。「かっこいい!」存在ではなくて、劣っているところがたくさんあって、でもすごいところもすごくあって、何より真摯で、他人なんてもう見捨てればいいのにできなくて、だからといって愚痴は心の中ぐらいにしておく。読み進めていくと、彼は「物語」の「主人公」ではなくて「触媒」なのだというのがよくわかってくるのです。

 読むなら、前シリーズの「騎士(シヴァルリ)の息子 上 <ファーシーアの一族> (創元推理文庫)」「騎士(シヴァルリ)の息子 下 <ファーシーアの一族> (創元推理文庫)」からがおすすめです。てゆーか、続きでないと困るんですけど!(^_^;;)

「それがきみの最大の欠点だよ、フィッツ。生まれてこなかたずっとそうだ。あまりに慎重すぎる。野心に欠ける」

仮面の貴族1 (道化の使命) (創元推理文庫)(ロビン・ボブ・鍛冶靖子訳・創元推理文庫)p317より

「泥も苦痛も不幸もなしにそんなふうに語られると、すばらしい物語のように聞こえる」

「泥と苦痛と不幸もを伴おうと、これはすばらしい物語なのだよ」

フィッツとシェイド「仮面の貴族2 (道化の使命) (創元推理文庫)」(ロビン・ボブ・鍛冶靖子訳・創元推理文庫)p150より

<見張りを頼む、ナイトアイズ>

フィッツ「仮面の貴族3 (道化の使命) (創元推理文庫)」(ロビン・ボブ・鍛冶靖子訳・創元推理文庫)p77より

→この作品が好きな人へおすすめな作品

  翼の帰る処 (上)」「翼の帰る処 (下)」苦労性の役人といえば、やはりヤエト様(笑)。フィッツは一旦隠居できただけましか!?(笑)新装版でだし直し中。

「追放者の矜持 ヴァルデマールの絆」(マーセデス・ラッキー・澤田澄江訳・中央公論新社C NovelsFantasia)

追放者の矜持 上 - ヴァルデマールの絆 (C・NOVELSファンタジア)追放者の矜持 下 - ヴァルデマールの絆 (C・NOVELSファンタジア)

 ヴァルデマール年代記シリーズは、翻訳ファンタジーで一番好きなシリーズです。今回は、ヴァルデマールの永遠の敵国、カース国出身でありながら<使者>となったアルベリッヒの物語。

 アルベリッヒは、ほかの物語でけして白衣を着ない、むちゃくちゃ厳しい<武術指南役>として以前から出演していましたが、まさか彼の過去話が読めるとは……。<使者>は「正しいひと」という前提なので、たいていの<使者>はいいこなわけですが、アルベリッヒは出身が出身なので、まーひねひね。すばらしいひねひねです!

「敵が我々をこの土地から追い出すことに成功しようとも――もちろんそんなことはさせないが――ヴァルデマールは生き続ける。」

センダー王「追放者の矜持 下 - ヴァルデマールの絆 (C・NOVELSファンタジア)」(マーセデス・ラッキー・澤田澄江訳・中央公論新社C NovelsFantasia)p74より

→この作品が好きな人へおすすめな作品

  チャリオンの影 上 (創元推理文庫)」「チャリオンの影 下 (創元推理文庫)」中年世代ががんばるファンタジーシリーズです。キャラクターが個性的なのも似通っている。

「ただ魅せられて」(メアリ・バログ・山本やよい訳・ヴィレッジブックス) 

ただ魅せられて (ヴィレッジブックス)

 メアリ・バログの「Simply」シリーズ完結編。きびしいけれどユーモアももっている校長、クローディアは友人の知り合いの男性にロンドンへ送ってもらった。彼の愛する人とは、そしてクローディアの意見を聞きたいと、彼は自宅へ彼女を案内した。

 全く「運命の出会い」とかではなくって、少しずつ知り合い、少しずつ理解しあい、少しずつ惹かれあっていく様が絶品!そして、男性も頑張るけれど、なによりもヒロインがかっこいいのがこのシリーズの魅力でもあります。そういうシーンもあるにはありますがかなりおまけ。そんなことで読まないのはもったいないぐらい、一般向け小説が好きな方、特に大人の女性におすすめな作品です。

→この作品が好きな人へおすすめな作品

  ふたたび、恋が訪れて (ラベンダーブックス)」二人の娘を持つ未亡人は、侯爵の領地の片隅に小さな家を見つけた。亡くなった夫の兄から逃げるため、その家を借りたのだが、侯爵が訪れて……。

「ハートに薔薇色のときめき」(風・アルファポリス・エタニティブックスBlanc) 

ハートに薔薇色のときめき (エタニティブックスBlanc)

 幼いころに、笑顔が気持ち悪いと言われて笑えなくなってしまった祥子。女の子には怖がられているが、職場では男の先輩とうまくやっている。あこがれの上司に今年こそはチョコを渡して、お返しのキャンデーをもらうんだ!と決意したが……。「やさしい風」の風さんの作品。

 エタニティブックスは、色でエロありかが分かれていて、この作品はエロなし。ラブコメ具合が大好きです。こんな男いないよな……と思いつつ、重要なのは「こういう男がいてほしい」ではなく、キャラクターの心情とか、すれ違いとか、そこの面白さが、風さんの話は私にはすごい絶妙だと思います。

「幽谷町の気まぐれな雷獣」(森崎緩・イースト・プレス・レガロシリーズ) 

幽谷町の気まぐれな雷獣 (レガロシリーズ)

 最近疎遠な男の幼なじみ。同級生だけど口も利かない日々だったのに、彼の「ある姿」を見てしまって……。(あ、えろくないっす(笑))「Tiny Garden」の森崎緩さんの描き下ろし作品。少女小説読みにはおすすめな……って、最近少女小説に現代ものってほぼないんですけど、とても面白かったです。私は「Tiny Garden」の大人のひとたちの恋愛話が好きなので、そっちも書籍化してほしいっす!!あ、学園ものも好きじゃー。女性向けネット小説恋愛ものの、非現実的なヒーローが苦手な方に特におすすめ。イケメンではあるけれど、実に等身大な男子がいいぜ!

「リテイク・シックスティーン」(豊島ミホ幻冬舎

リテイク・シックスティーン

 高校一年生になってできた親友が、なんか妙なことを言い出した。可愛くて胸も大きくて、頭も良い、彼女はほんとうに「うらやむべきひと」なのか……?

 「妙なこと」はほとんど関係なく、女子高生の日常を描いた物語なのですが、痛すぎず、かゆすぎず、読んでいて快感でした。誰もが、後悔と嬉しさとさみしさと、そんなものを抱えて生きていて、ひとのことを理解しようとせず、シャットアウトしていくことはしんどくて、くすりとしながら、歩いていくものなのかなあとかそんなことを考えました。説教臭くなく、不思議要素がメインでもなく、日常の姿を描いている「だけ」なのに、これだけの「物語」が描けるんだなあ。すごいなあ。おすすめ!今年は豊島ミホさんの作品をいろいろと読みましたが、これがベストでした。

→この作品が好きな人へおすすめな作品

  スコーレNo.4 (光文社文庫)」骨董品店の長女である麻子は、可愛らしい妹へのコンプレックスを抱えながら生きてきた。少女が中学生から会社員として働くまでの物語。恋愛だけではない、生きていく上で、恋愛もアリなんだ、というところまでゆきつくまでの麻子の悩んだり、ぐるぐる回ったり、ニヤニヤしたりする日常をお楽しみください。

サクラダリセットシリーズ」6・7巻(完結)(河野裕角川スニーカー文庫 

サクラダリセット6 BOY、GIRL and ‐‐ (角川スニーカー文庫)サクラダリセット7 BOY, GIRL and the STORY of SAGRADA (角川スニーカー文庫)

 その市には、特殊な能力を持った人たちが混じって生活している。彼らはその市内でしか使用できないその力を使ったり、使わなかったり。「世界」を変えた管理局の人間に、「すべてを忘れない」ただ、それだけの能力を持つ少年、ケイが挑む。シリーズ完結!

 すごく透明感のあるシリーズでとても好きだったのですが、最初から最後までその感覚を失わず、ラストまでいってくれて、とてもうれしかったです。ケイ自身の持つ「特殊能力」は、けして「忘れない」というその点ではなく、他人を知り、彼らが「どうすれば」ケイの望む道をとってくれるのかを理解し、さまざまな知り合いの能力を借り、その状況に持ち込む。いわゆる頭脳戦ですが、そのケイの「目的」はとてもわがままで、だからこそ美しい。美しいけどその方法は美しくはない。そこに魅了されて、完結まで見守ることができてとてもよかったシリーズでした!女性にも大々的におすすめ!

 少女が眺めているのは、いつだって少年の物語だ。

 当たり前で、ともすれば幼い感情を、決して忘れることがない。

 複雑でシンプルな、大人のような少年が、たった一つを祈り続ける物語だ。

サクラダリセット7 BOY, GIRL and the STORY of SAGRADA (角川スニーカー文庫)」(河野裕角川スニーカー文庫)p419より

「英国マザーグース物語シリーズ」(久賀理世・集英社コバルト文庫 

英国マザーグース物語 婚約は事件の幕開け! (英国マザーグース物語シリーズ) (コバルト文庫)英国マザーグース物語 新聞広告には罠がある!? (英国マザーグース物語シリーズ) (コバルト文庫)英国マザーグース物語―哀しみのロイヤル・ウエディング (コバルト文庫)

 女の子であることを隠して、記者の仕事を始めた令嬢のセシル。その相棒は、実は兄に決められた婚約者だが、彼もその身分を隠していた。

 最近コバルトでいまいちよいシリーズがなくなってしまった感があったのだけれど、これはおすすめシリーズになりそうです。ラブコメもいいけど、ミステリ(日常の謎)もありで、かつ「いま」がもうすぐ終わってしまうことが保証付きなのが、スリリングさ+刹那のこのときの大切さ、さみしさを増長してよいです。

「わたしには、いましかないのに」

セシル「恋のドレスと湖の恋人 ヴィクトリアン・ローズ・テーラー (ヴィクトリアン・ローズ・テーラーシリーズ) (コバルト文庫)」(久賀理世・集英社コバルト文庫)p218より

→この作品が好きな人へおすすめな作品

  エージェント・コード~恋の陰謀は執筆のあとで~ (一迅社文庫アイリス)」貴族の子女でありながら、サーカス団で過ごしたこともあるライザは、諜報員見習いとしてのデビュー戦で、とんでもないトラブルに巻き込まれる。作者曰く、「正統派ツンデレ美少女と、仔犬系青年――でも仔犬って可愛くても肉食なんだぜ」とのテーマがまさに言い表しています。(^^)

「金星特急」5〜7巻(完結)(嬉野君新書館ウィングス文庫 

金星特急 5 (ウィングス文庫)金星特急 (6) (ウィングス文庫)金星特急 (7) (ウィングス文庫)

 謎の美女金星の婿を決めるためという金星特急は途中下車は許されず、命をもかけた旅。後から後から謎が出てきて、アクションも満載、いいひとだらけでもなく裏のかきあいが激しいシリーズ・完結。傷ついた少年と少女がそれぞれに考え、行動して、変わっていく姿を描いた作品として、それだけではないエンタテインメント作品として、女性にも男性にもおすすめです。ラブもあり、アクションあり、ダークな流れもあり。面白い物語を読んだ時の、「小躍りしたくなる」感覚を味あわせてくれる作品でした。

「無菌病棟より愛をこめて」(加納朋子文藝春秋

無菌病棟より愛をこめて

 日常の謎もので有名な加納朋子さんの闘病記。なんと、急性白血病だったそうです。加納さんらしい、ユーモラスなところが特に最初の方ではよく出ていて、話が進んでいくにつれ、数値に毎回どきどきさせられたり。病気って、サスペンスフルだ!病院関係者のかたたちもほんとたいへんだよなー……それでいて進歩もしなくちゃいけないってほんとたいへん。病気に興味がなくてもおすすめです。自分がなるかもしれない、そしてなっていない今はいかに幸運なのか、と思いました。そしてこんなにニヤニヤさせられるとは思ってなかったよ!

[] 2012年度に私が読んだ新人小説ベスト3

「おこぼれ姫と円卓の騎士シリーズ」(石田リンネ・エンターブレインビーズログ文庫)

おこぼれ姫と円卓の騎士 (ビーズログ文庫)おこぼれ姫と円卓の騎士 女王の条件 (ビーズログ文庫)おこぼれ姫と円卓の騎士 将軍の憂鬱 (ビーズログ文庫)おこぼれ姫と円卓の騎士 少年の選択 (ビーズログ文庫)

 二人の兄王子たちの争いの激化から、こぼれ落ちてきた王位を手に入れたと思われているレティーツィア王女の女王への道。ある事情から自分が「王」になることを知っていたレティ。王だから、そして「自分がいつか死ぬ」ことを知っているから、「後の時代に生きる人」の想いを知っているからこそ、できること、できないことがある。その「高い視点」が常を生きる我々にはないものであるからこそ、物語で読むとその快感はたまりません。ラブはほぼないですが、政治の世界に生きるレティの孤独で、思いを支える人たちを思いやる態度が綺麗で読んでいて楽しいです。おすすめ。

「王の立つ場所は誰よりも高い。だから誰よりも遠くを見ることができる。己の時代に意味はなくても、後の王の時代に必ず意味があると、王が言わずして誰が言うのかな?」

おこぼれ姫と円卓の騎士 少年の選択 (ビーズログ文庫)」(石田リンネ・角川ビーンズ文庫)p51より

「烏に単は似合わない」(阿部智里・文藝春秋

烏に単は似合わない? 八咫烏シリーズ 1

 宗家当主の后を決定するため、四家のそれぞれが候補を出し、選抜するため桜花宮に集められた。それぞれの欲望と失ったもの、争いが水面下では起こっていたが……。和ファンタジー設定のミステリ。とちゅうまでは、異世界もの?ひとでないもの?と思って読んでいたら、ここまでミステリだとは!女同士の争いではあるのですが、ドロドロ方向ではなかったので私にも面白かったです。異世界ものですが、設定的には大正時代ぐらいな雰囲気。ある人の印象ががらっとかわるのが戦慄でした。

「鈴の神さま」(知野みさき・ポプラ社)

鈴の神さま

 山の上に住んでいる、昔の言葉の幼子。彼の正体は……?これは女子はものすごくつぼにくるかと存じます。緑川ゆきさんが好きな人とかにおすすめ。ひとではないものなのかどうなのか、とびくびくと付き合っていくうちに、そんなことよりも彼の魅力にやられていくさまが、絶品です。おすすめ!

[] 2012年度に私が読んだ時代小説ベスト5

「ぬけまいる」(朝井まかて・講談社) 

ぬけまいる

 若い頃は三人小町だった仲良し三人組。もう二十代も後半で、二人は結婚もしてこどももいるけれど、三人ともどこか不満を抱えていた。思いつきで言った「抜け参り」に三人で行くことになって……。それぞれ全く違う個性の持ち主で魅力的で、珍道中が楽しい!朝井まかてさんの作品で二番目に好きな作品になりました。ラブあり、老人あり、仕返しあり、金稼ぎあり。楽しいわ〜。現代ものしか読まない方にも読みやすい作品だと思います。

「朱龍哭く 弁天観音よろず始末記」(西條奈加・講談社) 

朱龍哭く 弁天観音よろず始末記

 武家の庶子という身分でありながら、踊りの師匠として身を立てているお蝶。兄の嫁である「お姉さま」と事件が起これば解決に向かう!女二人が活躍するミステリってあんまりないので面白かったです。お姉さまがとことんかっこいい!続編お待ちしております。

「公儀鬼役御膳帳シリーズ」(完結)(六道慧・徳間文庫) 

公儀鬼役御膳帳 (徳間文庫)連理の枝―公儀鬼役御膳帳 (徳間文庫)公儀鬼役御膳帳 春疾風 (徳間文庫)公儀鬼役御膳帳 ゆずり葉 (徳間文庫)公儀鬼役御膳帳 外待雨 (徳間文庫)

 食に関する公儀隠密の家柄である主人公は、庶子である生まれから肩身の狭い思いをして育ったが、いまさら父親から跡継ぎのような扱いをされたり、町民として暮らせと言われたり、混乱する、というシリーズ。いろいろな身分や顔や名前を使い分けたりしつつ、かつ隠密の話やら町民としての仕事やらが回ったり、さらにお家騒動があったりと、読んでいるこちらもどれがどれやらな気分になりつつもどれも面白くて引き込まれたまま終わりました。

 隠密話ですが、町民の話も入っているので、そこまでお勤めお勤め!って感じでもなく、かっこいい登場人物も、にやりとさせてくれる親友もいたりして。主人公はちょっとスーパーな能力持ちですが、ひねくれているのでそこがまたよし。

「漢方医・有安 夕凪」(秋山香乃・朝日新聞出版朝日文庫 

漢方医・有安 夕凪 (朝日文庫)

 町医者の有安先生が主人公のミステリ。ミステリとしてもよくできていると思います。町人ものとしておすすめ。

「いまはむかし」(安澄加奈・ポプラ社) 

いまはむかし

 物語りを得意とする弥吹と、幼馴染の朝香は、二人の汚らしいみなりの少年と出会った。かつて月から降り立った「かぐや姫」を守る月守の一族だという彼らは、かぐや姫にまつわる秘宝を追っていた。村を滅ぼされた彼らの目的は……。「勾玉三部作」のような、古代日本が舞台の少女小説。語り手が若手ではないのが、少し目線が変わっていてよかったと思います。これは期待の新人だ〜。

「不思議なことに……そんなきれいごとをおれが語ると、みんなそれに心を傾けてくれるんだ。口ではうまくいかないとか、ありえないことだとか言っても、結局はみんなそういうものに惹かれるんだ。憧れるんだ。おれき語るたびに、それが確信できて、うれしくなるんだよ」

弥吹「いまはむかし」(安澄加奈・ポプラ社)p225より

[] 2012年に読んだマンガベスト5

「東京ボイジャーレコード」(たし・一迅社IDコミックス ZERO-SUMコミックス) 

東京ボイジャーレコード (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)

 クラスメイトの水端リゲルは、とても目立つのに誰とも触れ合おうとしない。地味な「ぼく」は、あるきっかけで、リゲルの店番を手伝うことになって……。比較的「ふつう」な少年が、自分の思っていることを言えるようになるまでを描いた、すごく地味な題材だけど、すごく重要な題材だと思います。紺野キタさんのふわふわではない部分を好きな人は気に入るかも。

「WONDER!」14・14.5・15・16・17巻(完結)(河あきら双葉社ジュールコミックス)

WONDER!(14) (ジュールコミックス)WONDER!14.5巻 こぼれエピソード (ジュールコミックス)WONDER!(15) (ジュールコミックス)WONDER! (16) (ジュールコミックス)WONDER! (17) (ジュールコミックス)

 ちょっと不思議な犬、ワンダーの助けをたまに借りながらも、普通にお互いを思いながらやっている家族とその周辺の「ふつう」の人々の話。「いい話」では終わらない、「一見困った人」に対しても視線と気持ちをやることを忘れないのがすごい。危機一髪なところは「ワンダー」のチートな能力でカバーしつつ、デッドエンドにならないのもうれしいです。

 14巻がでたときに、大幅な収録エピソードカットをする予定であることが発覚し、熱心な読者の方が編集部に言っていただいたために、三巻ぶんもの収録が実現したそうです。ありがとうございます>言ってくれた方。そして作者さんと編集者さん、出版社さん、ありがとうございました!……大洋くんは最後までほとんど役に立たなかったな……(笑)。

LOVE SO LIFE」9〜11巻(こうち楓白泉社花とゆめコミックス 

LOVE SO LIFE 9 (花とゆめCOMICS)LOVE SO LIFE 10 (花とゆめCOMICS)LOVE SO LIFE 11 (花とゆめCOMICS)

 ベビーシッターの高校生と、三歳になった双子のハートフルストーリー。詩春と松永さんの関係に変化が……?詩春はもともと、やさしいので他人を思って甘えないように常にがんばっているんだけど、そこにほころびが見えてくる、というのはいいポイントだなーと思いました。「HCD LOVE SO LIFE」もおすすめー。眠りたい時に聞いたり、重宝しています。

「ふわふわのきもち」(ささだあすか新書館ひらり、コミックス) 

ふわふわのきもち (ひらり、コミックス)

 ささだあすかさんの新刊は、一応百合ですが、こゆい友情だったり、憧れだったり、少女マンガの範囲におさまる内容になっていますので、ご安心してごらんください!やっぱりささださんはいいなあ。(^^)どの作品もにこにこ読めて、しかも絵柄が洗練されてきたような気がします。綺麗な子には色気も感じられるくらい。女の子好きにおすすめ!

身代わり伯爵の冒険」6巻(完結)(柴田五十鈴作画・清家未森原作・角川書店あすかコミックスDX) 

身代わり伯爵の冒険 第6巻 (あすかコミックスDX)

 マンガ版。小説のマンガ化としては、最高レベルに値していたのですが、とちゅうで終わりか……残念!ミレーユがとことん可愛くて楽しかった!