なまくらどもの記録

2015/12/31 (Thu)  2015年ベスト本

 今年読んだのは、362冊。例年より少ないのは、仕事のせいです……ひーひーいっておりました。このくらいが限界だな、と……。少女小説がだいぶ少なくなってきたような気がします。その中でも、ベストに入ってきたのはビーズログ文庫のみ。

[] 2015年に私が読んだ小説ベスト10

「死神うどんカフェ1号店シリーズ」2〜6巻(石川宏千花・講談社YA! ENTERTAINMENT)(完結) 

死神うどんカフェ1号店 二杯目 (YA! ENTERTAINMENT)死神うどんカフェ1号店 三杯目 (YA! ENTERTAINMENT)死神うどんカフェ1号店 四杯目 (YA! ENTERTAINMENT)死神うどんカフェ1号店 五杯目 (YA! ENTERTAINMENT)死神うどんカフェ1号店 六杯目 (YA! ENTERTAINMENT)

 死神たちのやっているカフェがいまのところ、一番いごこちのいい希子。死を見つめつつも、臆病なこどもたちが一歩を踏み出すところを描いたシリーズ、完結です。エキセントリックなこどもたちとひととの関係について、丁寧に描いてきたシリーズで、一巻よりもその後の方がずっと面白かった。大人が読んでもふーむとうなるところがあると思います。おすすめ。

 死んでしまいたい、とまで思ったことはなかったけれど、希子にも、似たような体験はあった。

死神うどんカフェ1号店 三杯目 (YA! ENTERTAINMENT)」(石川宏千花・講談社YA! ENTERTAINMENT)p136より

「2.43 清陰高校男子バレー部 second season」(壁井ユカコ・集英社) 

2.43 清陰高校男子バレー部 second season

 絶品な男子高校生中心なバレー青春小説、第二弾。今回は、県の強豪ライバルチームサイドと交互に語られます。ライバルチームのお互いの「かけがえない感」と、その安定感ゆえなゆらぎとか、ユニの周囲からの愛されっぷりとか、チカの周囲が見えてきたからなゆらゆらっぷりからラストの「バカ」っぷり、ぷりぷり楽しませていただきました。移動中にちょーニヤニヤしてしまった。「ハイキュー!」とか「おお振り」が好きな人は間違いないです。大おすすめ!

 あとちょっと、あと一歩、足りないんだよなあ。あと一歩でこいつ、何かを掴みそうな気がするんだけど……でも、そのあと一歩のために、あと何回こんなことがあるんだろう……。

2.43 清陰高校男子バレー部 second season」(壁井ユカコ・集英社)p145より

「さよならの手口」(若竹七海・文春文庫) 

さよならの手口 (文春文庫)

 探偵の仕事をお休みしている葉村晶が、たまたま知り合った元女優から請け負ったのは……。なんでこんなに面白いのというくらい楽しかった。葉村さんがいろいろ口悪いのに結局お人よしな感じが大好き。おねがいだから続き読ませて!

 面白いかなと思った? それだけで、ここまで? てか、なんで白熊?

さよならの手口 (文春文庫)」(若竹七海・文春文庫)p412より

「つれづれ、北野坂探偵舎シリーズ」(河野裕・角川文庫) 

つれづれ、北野坂探偵舎 感情を売る非情な職業 (角川文庫)つれづれ、北野坂探偵舎 トロンプルイユの指先 (角川文庫)

 作家と編集者のメインのミステリシリーズ。淡々とした語り口が好き。小説とは?作家とは?読者とは?編集者とは?というこのシリーズで語られてきたものが、ここにきて、という感触でした。

「でも読者はそんなこと求めちゃいない。そんなことで作品を評価しない。どれだけ不完全でも、傷だらけだったとしても、その傷さえ愛せるのが、最高の小説だ」

つれづれ、北野坂探偵舎 トロンプルイユの指先 (角川文庫)」(河野裕・角川文庫)p268より

「誰でもない彼の秘密」(マイケラ・マッコール・小林浩子訳・東京創元社 

誰でもない彼の秘密

 後世からたたえられる詩人となるエミリ・ディキンソンをヒロインとした少女時代のミステリ。名も知らぬ「彼」が死体で見つかった。母親から虐待に近いくらいに過保護に育ったエミリーが、詩人の魂を育てながら、何が正しいのかを求めていく。創元らしく硬質でありながら実に楽しい作品でした。エミリーのことばがやはり魅力的で、抑圧されて育ち、かつこの後隠遁者として生きていくと聞くと、ますます興味を引かれます。おすすめ。

「倫敦千夜一夜物語 あなたの一冊、お貸しします。」(久賀理世・集英社オレンジ文庫) 

倫敦千夜一夜物語 あなたの一冊、お貸しします。 (集英社オレンジ文庫)

 ロンドンの郊外の小さな町の貸本屋を営む美しい兄妹。お互いを慈しむ兄妹のところに、かつての知り合いが現れた。貸本屋が舞台の日常の謎+αのミステリ。ちょっと昔の英国の雰囲気がとてもよくて、これはおすすめです。静かに笑っているけれど、内に激しいものを隠していそうな兄妹も魅力的。シリーズ化熱望!

「そういう物語も、きっと必要なのでしょうね。この現実は、めでたしめでたしで終わる出来事ばかりではないのだから」

サラ「倫敦千夜一夜物語 あなたの一冊、お貸しします。 (集英社オレンジ文庫)」(久賀理世・集英社オレンジ文庫)p299より

「かけもち女官の花○修業シリーズ」全二巻(乙川れい・エンターブレインビーズログ文庫) 

かけもち女官の花○修業 -愛人路線はいばらの道!?- (ビーズログ文庫)かけもち女官の花○修業 -恋も画業もお手のもの!?- (ビーズログ文庫)

 画家志望だけど挫折、女官として花嫁修業をしているアルマが、理想のモデルと知り合って……というお話。ラブよりコメが勝っているのが楽しく読めました。ファンタジー設定とうまく絡めているのもよかった。最近の少女小説の中ではなかなかの白眉でした。ヒーローもあるいみしたたかで楽しかったです。ヒロインの変人っぷりにもひかない徹底した態度がステキ。

「おこぼれ姫と円卓の騎士シリーズ」(石田リンネ・エンターブレインビーズログ文庫) 

おこぼれ姫と円卓の騎士 二人の軍師 (ビーズログ文庫)おこぼれ姫と円卓の騎士 臣下の役目 (ビーズログ文庫)おこぼれ姫と円卓の騎士 女神の警告 (ビーズログ文庫)

 現在一番楽しみにしている(コンスタントに出ている)少女小説シリーズ。少女小説のみかけですが、中はやり手のきりっとしたお嬢様の活躍。レティ以外にも魅力的な人がいろいろとでてきます。彼らはレティに比べたら、少しのちからしかもたないかもしれないけれど、彼らの力があってレティができることもある。そう思わせてくれます。

 案外やり手なのではない。やり手だからお姫様を演じることができるのだ。

おこぼれ姫と円卓の騎士 二人の軍師 (ビーズログ文庫)」(石田リンネ・ビーズログ文庫)p29より

「どうか私に、姫として最後に仕事ができたと、来た意味があったとそう思わせて」

おこぼれ姫と円卓の騎士 臣下の役目 (ビーズログ文庫)」(石田リンネ・ビーズログ文庫)p161より

「(仮)花嫁のやんごとなき事情シリーズ」(夕鷺かのう・エンターブレインビーズログ文庫) 

(仮)花嫁のやんごとなき事情 -離婚祭りは盛大に!?- (ビーズログ文庫)(仮)花嫁のやんごとなき事情 -離婚のはずが大波乱!?- (ビーズログ文庫)(仮)花嫁のやんごとなき事情 ~離婚しちゃうと絶体絶命!?~ (ビーズログ文庫)

 ラスト直前の大盛り上がりを見せております。この作者はファンタジー設定もしっかりしているので、そこも魅力的。コンゲームにも似ただましあいも楽しませてくれます。

「辺境の老騎士3 バルド・ローエンと王国の太子」(支援BIS・エンターブレイン

辺境の老騎士3 バルド・ローエンと王国の太子

 おいしいものテロなじじい騎士が主人公のシリーズ。武闘会はもりあがるけど、その後の宴会がやはり面白かった。その後は放浪もありの、大人なストーリーが楽しかった〜。特に大人におすすめです。異世界ファンタジーが好きなら、一読の価値はあるかと思います。

「白の予言者 道化の使命」全四巻(ロビン・ボブ・鍛冶靖子訳・創元推理文庫

白の予言者 (1) (道化の使命) (創元推理文庫)白の予言者 (2) (道化の使命) (創元推理文庫)白の予言者 (3) (道化の使命) (創元推理文庫)白の予言者 (4) (道化の使命) (創元推理文庫)

 「騎士(シヴァルリ)の息子 上 <ファーシーアの一族> (創元推理文庫)」から始まったシリーズが完結。かつての敵である外島人たちと同盟を結ぶための婚姻のため、「ドラゴンを殺せ」と言われた王子。彼につき従い、一行は外島にある凍えるような氷の島へ向かう。前作から読むことがおすすめですが、このシリーズの魅力はとことんサド作者様の餌食になる主人公が、なぜかその苦しみすら読んでいて楽しいところです。……が、今回は1、2巻となかなか辛く、しかしそこからの転換となる3巻がすごい快感でした。一番好きなキャラは当然のごとくナイトアイズ様でした。男前すぎて……!

 このシリーズは長く続きましたが、訳者さん、編集さんのご苦労、ご尽力があったことと思います。本当にありがとうございました。特に訳が本当に好きで、ストレスなく、にこにこ読める訳でした。願わくば、この物語を必要とする人に、一冊でも多く届きますように!

<父さんから。こんど狼の夢を見たら伝えてくれって。"こんなに遅くなるまで何をしていたんだ、さっさと帰ってこい"だって>

白の予言者 (1) (道化の使命) (創元推理文庫)」(ロビン・ボブ・鍛冶靖子訳・創元推理文庫)p328より

「一族に対する誓いゆえに、これまで多くのものを失ってきた。だからいまこそ、フィッツ=シヴァルリ・ファーシーア、あなたの王子としてわたしは命じる。おのれ自身に対する誓いに忠実であれ。ヴェリティに、そしてそれ以前シュルードに真を尽くしたように、おのれ自身の心の真を尽くせ。それがあなたの王の命である」

デューティフル「白の予言者 (2) (道化の使命) (創元推理文庫)」(ロビン・ボブ・鍛冶靖子訳・創元推理文庫)p327より

「おまえはずっと昔からそうしてきたんだな。誰かがおまえに望んだことをする。ほかの誰もやりたがらない仕事を引き受ける」

白の予言者 (3) (道化の使命) (創元推理文庫)」(ロビン・ボブ・鍛冶靖子訳・創元推理文庫)p210より

 だがわたしは"変化を呼ぶ者"ではないか。

白の予言者 (4) (道化の使命) (創元推理文庫)」(ロビン・ボブ・鍛冶靖子訳・創元推理文庫)p46より

[] 2015年に私が読んだ新人小説ベスト3

「アルバート家の令嬢は没落をご所望です」全二巻(さき・角川ビーンズ文庫 

アルバート家の令嬢は没落をご所望です (角川ビーンズ文庫)アルバート家の令嬢は没落をご所望です (2) (角川ビーンズ文庫)

 メアリ・アルバートは乙女ゲー世界に「悪役令嬢」として生まれ変わったらしい。その話をはいはいと聞き流す従者、アディとともに学園に「没落するために」乗り込むが、ヒロインのふるまいが予想外で……。乙女ゲーものですが、過去の記憶はほとんどなさそうなメアリのツンかわいいふるまい+アディのニヤニヤみている感じが好きなシリーズ。イラストもかわいくてよかったです。ヒロインのすかしっぷりもものすごくて「いいひと」ばっかで楽しく読めました。おすすめ。

「泣き虫ポチ」(上下)(六つ花えいこ・アルファポリス 

泣き虫ポチ〈上〉ゲーム世界を歩む泣き虫ポチ〈下〉愛を歩む

 失恋したてのポチが始めたゲーム……なんか……リアル過ぎない?出会った廃人たちに導かれていくうちに、名前も知らないけれど「仲間」となっていく。ゲームすらしたことのないポチ目線なので、ゲーム知らない人でも楽しめると思います。しかし、ポチはどーみても「平凡OL」じゃないよ。この素直さとひたむきさ、けなげさ、アホさ、にっこりした感じとか。だからこそみんながポチを好きになるんだ!

「歩のおそはや ふたりぼっちの将棋同好会」(杉元晶子・集英社オレンジ文庫) 

歩のおそはや ふたりぼっちの将棋同好会 (集英社オレンジ文庫)

 有名な小学生将棋指しだった子が入学!ひとりぼっちの将棋同好会をやっていた女子高生は、彼女を強引に勧誘するけれど……。予想以上に面白かった。先輩も強引だけど魅力的で、後輩ちゃんも人に慣れない獣的だけど可愛らしくてとてもよかった。おすすめです。続き出てほしい!

[] 2015年に読んだマンガベスト5

「orange」4〜5巻(高野苺双葉社アクションコミックス) 

orange(4) (アクションコミックス(月刊アクション))orange(5) (アクションコミックス(月刊アクション))

 シリーズ完結。自殺した友人を10年たっても後悔なしに思い出せない五人の大人と、その10年前の高校生たち。それぞれが必死にできることを想う。すごく臆病な主人公が勇気を出していく過程がぐっときて、何回も読めました。もう少し、「手紙を裏切っていく」ところが描かれたらもっとすごい作品になっただろうなあと思ったけど、手紙の「彼女」が語るのもよかった。おすすめです。

「カプチーノ」3巻(菊池まりこ・エンターブレインビームコミックス) 

カプチーノ 3 (ビームコミックス)

 ラブコメシリーズの完結巻。ほんっとーにかわいらしい二人組ですれちがいもかわいい。

「たよスポ!」1巻(王嶋環芳文社まんがタイムコミックス) 

たよスポ! (1) (まんがタイムコミックス)

 王嶋環さんの新刊。王嶋環さんのマンガはなんか読んでいてまったくストレスがたまらず、楽しく読める。もっと読みたいわ〜。女子のサブキャラがまた好き。

「てぃ先生」1〜2巻(ゆくえ高那・メディアファクトリーMFコミックス フラッパーシリーズ) 

てぃ先生 1 (MFコミックス フラッパーシリーズ)てぃ先生 (2) (MFコミックス フラッパーシリーズ)

 保育園の男の先生によるTwitterの漫画化。すっげーよかった。これはなごむわ〜。たまに彼女がどうしてできないの?とまっさらに質問されて心砕ける先生が好き(笑)。なんとなく、生協の白石さん路線かもしれない。

「ふしぎの国のバード」1巻(佐々大河・エンターブレインビームコミックス) 

ふしぎの国のバード 1巻 (ビームコミックス)

 女性冒険家のバードさんの日本探検記。ハルタ掲載ということで期待していたけど、やはり面白かった。森薫さんが好きな人におすすめです。