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ランス10

2018-04-24

[]リズと青い鳥 雑感

 もしも未視聴でしたら、なにも情報を入れず本編を一度見て、次いであまりにもわかっている作り手らの対談・鼎談を載せたパンフレットを読むことをお薦めします。

 共に打ちのめされましょう。




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 中学生で出会い、共に吹奏楽部に入った鎧塚みぞれと傘木希美。

 高校3年生になった彼女らは自由曲として、吹奏楽曲『リズと青い鳥』を吹くことになる。

 原作となる絵本『リズと青い鳥』の最後で、リズは無二の親友の青い鳥を無理にでも空へ飛び立たせる別れを選択する。

 みぞれのオーボエと、希美のフルートはクライマックスの登場人物らの離別を描写する重要な音になるものだった。

 元になった物語、曲、練習を通して、親友だった筈の彼女たちの関係が問い直されていく――


 という『響け!ユーフォニアム』のスピンオフ。時間軸上は2期後となりますが、作品としてほぼ独立し1・2期をほとんど観ていなくとも問題ないかと。当然知っていると更に理解は深まり、楽しめるのは間違いありませんが。




 さてファーストインプレッションは、とんでもないものを観た――というもの。

 作品を見て咀嚼するにあたり膨大なカロリーを消費され、結果として観ていて心の動きを根こそぎ持っていかれ、まるで天使が通っていったかのように最後には凪いだ静けさだけが残りました。

 それは自分にとって本作が特別な作品のひとつになる瞬間でもありました。


 ストーリーラインは決して難解だったり、突飛だったりではありません。

 人物関係を狭めがちで希美に依存気味なみぞれと、快活で人気がある希美という2人の少女が普通の親友として生きていくには互いに歪んだ感情を抱いていて、劇中作によって曝け出され、新たな関係を構築していくという流れ。

 よくある展開です。

 しかも判りやすい結論が出るわけではありません。

 歪んでいるという問題が提示され、その問題に/あるいは互いにどう向き合っていくかという態度を決めて、おしまい。パンフレットにある通り、「途中から途中」の物語となっています。

 ちりばめられたガジェットの回収も絶対そうなるだろうなあと読めてしまいます。


 映像は間違いなく美しいですが、革新的なまでに美しい表現があるわけではありません。


 音楽は素晴らしいですが、音楽そのものが特筆して秀逸なのでもありません。

 

 では私の琴線になにが触れたかと言うと――――なんでしょうかね?

 たとえば冒頭で響くかつ、かつ、という靴音。

 たとえば中庭を隔てた別の校舎で向かい合い、楽器の日光の反射できゃらきゃらと笑うひととき。

 たとえばありきたりだけど鮮やかな関係性の転換。

 たとえばあまりにも艶やかな演奏。

 そういう積み重ね積み重ねで、2人の関係性が描かれるということを傍観できる幸せさに酔ってしまったのかもしれません。


 その他色々と触れたいところはあるにはありますが、コンセプトや場面場面の意図、声優の演技に関しては劇場版パンフレットの対談と鼎談でわりと広く拾われているので、私の下手な感想を読むよりそちらの一読をお薦め。


 以上。書いてみると褒めているんだか、褒めていないんだかのよくわからない文章になってしまいました。まあそういうこともあります。もう何度か見返して感想を改めて書くかもしれません。


  • Link

 OHP-『リズと青い鳥』公式サイト



















  • 蛇足

 音楽の本質は「調和」にあるのだ

 それを表現するのが真の「音楽家」なんだ

    (のだめカンタービレ 16巻 P110)

 理想は遠く、本作中において「音楽の調和」は訪れません。

 みぞれは覚醒して素晴らしい演奏を披露しますが、希美は対となる演奏者として技術的に受け止めることは出来ませんでした。

 だからこそ、あのクライマックスの演奏シーンは素晴らしかったのだと思います。

 美しいオーボエの音と、受け止めきれず途切れ途切れになりながらも――決して答えるのを止めなかったフルートとの音と。

 あそこで演奏を止めなかったことこそが、2人の関係性に結論は出ないにしても今回は最後のところで希美は踏ん張るという証になっていると信じます。

 ああ、劇場でもう一度観て、聴いて、感じたい。