Volume7 感想

  • 感想

 時代はテクノロジーの発達した近未来、スフィアによって隔離された都市・奈々浜市を主な舞台にし、それぞれの望む未来を求めて多くの組織・人が入り乱れるという内容。
 進行は外世界編、内世界編、真世界編に大きく分けられています。外世界編は導入、内世界編でそれぞれの組織の思惑に乗った3組のカップル生成までを書き、真世界編で真相が明かされます。
 

 まず設定は精緻極まっています。未来予測、スフィア現象、因子etcといったタームがそれぞれ関連し合い、美しく組み上げられています。しかし残念ながら、シナリオが受け止める強度まで練り上げられていませんでした。
 内世界編までは魅力的なピースを散りばめる作用として機能しています。けれどバックボーンを語る真世界編に至ると、設定を垂れ流すにしては説明不足であり、勢いで持っていくには説明に縛られ杉という、自縄自縛で窮屈なものになっています。説明するために情報を有する人物の視点にころころ変えざるを得なかったというのは理解できます。こういう物語では、一人の人物が滔々と語ってエンディングというのが最低ですから。


 恐らくはもっと書き込まれるべきだったのでしょう。特に十丸と梗香の処遇を決める会議に説得力が欲しいですね。無血会議あたりも描写があればいいのですが。後は……とか加えていくとマブラヴ並みに膨れ上がりそうですがねー
 まあ、書かれていないことが最も欲求不満に陥った、十丸に課せられた奈々浜市の謎――時震が起きた理由を解決することに至った報告書の内容が判明すれば、大体が腑に落ちるかもしれません。


 絵は神。声も完璧。システムは不具合がちょいちょい合ったらしいですが、求められる機能は大体付いていますしユーザビリティは悪くはないでしょう。


 以上。完全版或いは続編が期待されます。このまま設定を捨ててしまうのは本当に勿体ないでしょう。

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  • 雑感

 ・序盤のエスピオナージュ風、中盤のエゴの発露と記憶の錯綜、クライマックス間近の困難の踏破と見所は多数。


 ・内世界編では素直に十丸編→龍護編→八代編とやるべき。


 ・十丸編では十丸と梗香との相性が他のエロゲに類を見ないほどしっくりきている。


 ・龍護編は驚いた。


 ・中盤の寒々しい学園物はGJ。


 ・十丸の能力の使い方はうすうす判っていたけど、過去に辿り着いた時は感動した。

 
 ・クライマックスは理念が先立つのは兎も角、その理念は凡庸なので見せ方に工夫が欲しかった。


 ・残念ながら全体的に書き込みが足りない。ただ余すところなく書くとしたらマブラヴ以上の量がいるでしょうが。


 ・最後のアナグラムのネタバレ。RYOKO+TAKUMA=KYOKA+TOUMARU