WALL・E/ウォーリー [Blu-ray] 感想

 最初に鑑賞状況に付いて。ブルーレイで見ましたが、映像の綺麗さに震撼しました。美しい。ブルーレイで鑑賞出来る環境があるならば、断然そちらをお薦めします。


 粗筋は調べていただくとして、話の筋自体は至って単純です。長閑で牧歌的なSFとなっています。本作では絵の見せ方が非常に上手いため、そうした話の単純さが映像を魅せる強みに転じていました。


 まず冒頭。ゴミ収集用ロボット〈ウォーリー〉が人間のいないゴミだらけの地球でただ一機、ゴミを集め続ける絵でドキューンと打ち抜かれました。しかも引きの絵で朽ち果てた同じ機体が並び、圧縮されたゴミによる山が幾重も聳え立っています。膨大な時間の流れを感じさせるのにこれ以上のものはないというぐらい無言の説得力がありました。
 しかもそのゴミ収集用ロボットは自分の家を持っていて、自分の気に入ったゴミ――例えばルービックキューブだったり、ゴミ箱の蓋だったりを集めて、物凄い住み心地のよさそうな基地を形作っています。小さいロボットがちまちまと動く様、収集物を愛でる様――その時点でもう堪りません。
 そうした沈黙の地球を突如降りてきたロケットが切り裂き、一機の探査ロボット《イヴ》が登場することで物語が動き出すのですが、ひたすら探査する《イヴ》をウォーリーが恐る恐る追っかけ段々と互いに慣れて行く様子ににまにましました。
 なにしろ、始まりは名乗りからという王道。機械音声どうしが最初ぎこちなく、そして次第に確固として名前を呼びコミュニケーションを取り出すのはあまりにも不器用で、あまりにも愛しい光景でした。
 そしてウォーリーがイブを自分の基地に呼び、宝物をどんどん見せびらかすのに感動しました。誰かに見て、欲しかったんだよな、と。
 

 ――ここでオタク少年物をロボットに委託しただけじゃないのんと言う人は嫌いです。


 でまあ筋はそんな感じにありきたりに進みます。任務を果たしたイヴが連れ去られ、それを追っかけて行くなんて、もうコテコテ以外の何ものでもありません。でも追っかけて行く最中に映る宇宙がまた良く、土星の輪を触って小さな乱流が起こるシーンは特に見事でした。
 

 ……こんな調子で続けて行くと最初から最後まで説明することになりますので一旦中止。
 つまりは王道ジュブナイルSFをロボットで語り直したほのぼの加減と、その映像の美しさに見惚れてくださいと、そういうことです。「2001年宇宙の旅」へのオマージュも気が利いていましたし、有機的にシーンが結びつく無駄の構成で見ていて退屈しませんでした。

 
 以上。大好きな作品となりました。お薦めですが、繰り返しますが可能ならブルーレイで見てください。

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WALL・E/ウォーリー


 


 

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