あまいしる 雑感

 コーヒーハウスで美女と美少女とが砂糖と珈琲を前に、その歴史から始まる搾取と被搾取にとらわれた世界を舌にのせる――という筋書。短めで一本道のノベルゲームです。
 登場人物がいる場所はコーヒーハウスの外に出ず限局されているのですが、視野は全世界であり、時間軸は古代から現代までのスパンと、舞台となる時空は非常に広いです。砂糖と珈琲という卑近な物体からどこまで話が広がるのか先が見えないのはプレイする興味を強く惹きます。また語り口調はよどみなく、引用を繰り返しながら歴史に触れていくのは知的に刺激されました。
 ただプレイした感想としては……砂糖の勉強になったかな、というちょっとぼやっとしたものになります。割と全編重苦しい話で終始し、短いなりに進めるのに我慢が必要でした。それでいて最後でよくわかんない女性同士の官能がいきなり爆発して締められるというちょっと形容しがたい違和が残ります。あまり良い意味ではなく、そういう落ちになるのかとびっくりさせられました。怪談・ホラーではよくあるオチではあるのですが、そういう持って行き方だったのかなと。
 今までの作品では要所要所で妖怪が引用されることでエピソードや人物関係、意図、話の流れがびしっとまとまっていました。今回はそれがないため、今までの作風に慣れていた身としては解り難いと感じてしまったのでしょうか。
 いつかリプレイしたいところです。


 絵は毎回美麗な方を採用されていて感嘆するのですが、今回も同様にとんでもなく良かったです。杉菜水姫系統なのですが、怜悧で素晴らしい>「子松菜」のプロフィール


 以上。まとめるとぼちぼちでした。

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