Fate/strange Fake 1-3 雑感

 舞台は現代アメリカ。冬木のシステムを盗み、宝具で武装する警察組織、贋作に降りたシリアルキラー、山の翁ではないアサシン、そして疾病――例外と偽りに満ちた『聖杯戦争』が幕を上げる。

 
 購入していたものの、成田良悟ver聖杯戦争ねえと侮り、積んでいました。
 ところがFGO7章をクリアした余韻を借りて読み始めたところ、あまりの面白さに一気呵成に読みあげてしまいました。や、食わず嫌いは行けませんね。
 偽りの英霊と際物のマスターたちが織りなす、先が見えない群像劇。そしてFate世界の基盤たる英霊と魔術のベースとなった神代が潜む現在社会という特異な世界の描写。不死とマフィアを取り上げた『バッカーノ』、デュラハンが隣に住む現代日本を書いた『デュラララ』などを鑑みるに、そう言えばいずれも成田良悟の得意技でありました。
 作家が得意技を駆使し、魅力的な素材を料理するのですから、目の当たりにする小説は滅法面白い物語と化していました。
 最優のサーヴァントが逮捕されるシーンが放送され、清廉な英霊は現代の暗い復讐に落とされ、カジノと高層ビルが並ぶ現代の街は魔術により閉鎖空間になろうとする――なんてノリノリな。
 そして神秘と現代とが試される聖杯戦争の果てに現れる、真の――。
 いやあ、ほんと面白いし、先が気になります。どれだけ時間かけてもよいので、きちんと完結して欲しいですねー。
 

 あと変な言い方になりますが、文章もきちんとFateをしていました。

 そして、モニターチェックをしている最中──ファルデウスは、自分が手元のメモ用紙に落書きをしている事に気が付いた。
 ──おっと、つい。
 ──普段はこんな事しないんだが……。
 ──やはり英霊が召喚できなかった事に対して、多少ショックを受けているのか?
 自分の行動に首を傾げた後、メモ用紙を破こうとした。
 そして、不意にその手が止まる。
 落書きの中に、自分の筆跡とはまったく違う文字で、明確な意味を持つ文章が書かれていたからだ。


 『問おう  汝が我のマスターか?』


 (Fate/strange Fake (2))

 かぁーっ! これこれという見得と切れ味。大好きです。


 以上。快作でした。続きも期待しています。

 

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