美女と野獣(2017) 感想

 Now, it’s no wonder that her name means "Beauty"
 Her looks have got no parallel

 元ネタは説明不要の有名作品です。
 今回は実写のミュージカル映画として撮られ、読書好きで空想家で類稀なる美女・ベルをエマ・ワトソンが演じています。
 原作には全く興味がないものの、エマ・ワトソン目当てで観にいきました。


 結果としておおよそ満足の行くエマ・ワトソンの魅せっぷりでした。硬質な美貌とか控えめな曲線で作られた胸元を、斜めからの顔のアップや胸元を上から覗きこむシーンやらで堪能しました。ディズニーなのでヨゴレとか肌色とか全く足りないですが、ストレートな美女の描き方と所々の地に足がつかない美女の所作というフェチさを心行くまで楽しめました。眼福です。
 現実的な俗物で乱暴者の人間・ガストンから求められ、空想的な獣と化した王子からも求められるという、リアルとフィクションとを横断して魅了する美貌のキャラを演じるにあたり、エマ・ワトソンの絶妙な美しさがぎりぎり間に合った良い企画かと。


 展開は、時間に取り残された城を舞台にしベルと野獣が恋をはぐくむラブコメな幻想パートと、乱暴者のガストンがベルを何としても手に入れようとする現実パートとが交互に語られます。
 幻想パートは好みでした。ビジュアルがまず完璧で、動く時計・食器・燭台を見事に映像で写し撮っていました。全く違和感がありません。ラブコメの書き割りっぽさと会話の映像の泥臭さは鼻につきますが、まあ尺も尺ですし、お約束として悪くありません。
 問題はガストンのパート。素直に衒いなく映像化してしまったせいで暗黒中世童話爆誕という感じ。冒頭からして、閉鎖的な小さな町のなかで理解のある数人を除き多くの人からstrangeとかfunnyとかで変な娘と称されて合唱されるというミュージカルのノリを軽妙にリアルに描くと排他ばりばりでかなりおぞましい代物でした。そしてクライマックスはうわあと呟きたくなる集団暴走と、堂々と卑怯するヴィランぷり。和解めいたすっきりとした解決ではない呆気ない結末は曰く言い難い強い苦みかと。
 そして結末。ベルが忌々しいリアルに拒否され拒否してフィクションに入りこんだとどのつまりが、フィクションが微睡んでいた夢から覚めて"王子様と踊りながら城に棲む"というリアルが厭なリアルを塗りつぶす――。いやあ、改めてきちんと実写化されるとすっごいもやもやする流れでした。
 その葛藤が芸術的に昇華されているかと言えば違いますが、描こうとせずに現れてしまった天然の害毒にやられてしまいました。


 あとEDムービーはおしゃれで良かったです。


 以上。もっともっとエマ・ワトソンの美しさを映像で残すような映画が増えてほしいですね。

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