2017-07-01から1ヶ月間の記事一覧

われがもつとも惡むもの――高橋順子『夫・車谷長吉』を読む

車谷長吉の小説を初めて読んだのは20年ほど前、たしか1996年前後だったかと思う。当時住んでいた京都市内の図書館の書架で見つけた『鹽壺の匙』(1992)を借り出したのが車谷の小説との最初の出遭いだったはずだ。『鹽壺の匙』は第一短篇集で、芸術選奨文部…