ジャケットとセーターと中国

 ここ北陸でもようやく梅の花が咲きはじめたらしい。例年とくらべるとずいぶん遅いようだ。それだけ今冬は寒く、寒がりの僕などは毛のセーターをまだしっかりと着ている。
 中国にいたときは、ときどき「セーターが好きなの?」ときかれることがあった。
 確かに毛のセーターはよく着ていたが、そういわれてあらためて周りを見ると、中国人のセーター着用率は低かったのである。とくに男は、ジャケット着用が圧倒的に多かった。
 単に流行というわけではなく、べつの理由がありそうだった。それで、いろいろ考察してみたことがある。
 (1)自然条件が厳しいので、ジャケットで風やゴミや外敵から身体を防御する必要がある。(2)比較的安価で品質のバラツキが少ない。(3)見栄えがよい。(4)国民性である。(5)共産党指導部が何かしている。
 ――などあげてみたが、これはあくまで、サンプルとしての福建省泉州市とその周辺に限って考察してみたことなので、まったくローカルな案件なのであります。
 で、(1)についていえば、確かにそうかもしれない。日本よりあそこは気温が高いとはいえ、乾燥した冬は空っ風が強く、いろいろなものが飛んでくる。外敵といえば、ときには痰も飛んでくる。あういうものがセーターに付着した場合……考えたくはない。
 (2)はおそらくそのとおりだろう。安いセーターは使い捨ての覚悟が必要で、洗濯してはいけない。うっかり洗ってしまうと、サイズが2ランクぐらい落ちてしまう。
 (3)と(4)は関連している。何が大事といったって、見栄えの右に出るものはない。
 (5)は不明だ。ただ、国家主席は未年ではなさそうである。
 もっとも、ジャケットとセーター、使用シーンがいくぶんちがうので、比較すること自体ナンセンスかもしれない。
 さて、さすがに厚手のセーターは着なくなったので、毛玉を取ってそろそろクリーニングに出そうと思っている。
 しかしこの分では、桜も遅れそうだ。(;_;)
(photo:長崎の中国)