UR賃貸住宅の特別募集住宅がお買い得すぎる件

UR賃貸住宅に「特別募集住宅」っていうやつがあって、こないだそれの契約をしてきた。再来週ぐらいから千葉県民っす。

この特別募集住宅ってやつ、なにが特別かって、「お住まいの方が住戸内などで亡くなられた」物件ってことらしいんだけども、1〜2年間半額の家賃で住めるっていうものすごい特典がついてんのよ。今度引っ越すところ、2DKで本来の家賃が8万ぐらいなんだけど、向こう約3年は月4万で住めるっぽい。URは保証人も礼金も手数料も不要なので、初期費用が前家賃と敷金3ヶ月分で14万とかいって、民間の不動産屋と比べるとなにか騙されてるとしか思えないような安さ。敷金と前家賃だから、無駄が全くないし。

俺としては安く住めてすごく有り難いんだけど、これ、前の人が亡くなったからって、なんで家賃が安くなるのか、不思議でしょうがないっす。死因なんて病死だったり老衰だったりが殆どで、別に腐乱死体が床まで染みてて特殊清掃の方々がすげえ頑張ったとかなわけでもないだろうし、仮にそうだとしてもちゃんとクリーニングされて物件自体には何も実害は無いわけじゃんか。嫌がる人がいるとすれば、メンタル的な何かで嫌がってるとしか考えられない。

俺は無神論者だしそれがどういう理屈で嫌がられるのかうまく想像できないんだけど、そういったものを忌避する特定の宗教に入ってるのでない限りは、おそらくなんとなく「縁起がわるい」とか「お化けでそう」とかそんなんじゃないかと思う。少なくとも仏教にそういうのはないし。そうだとすると、じゃあそれってなんなんだろう、ってことをついつい考えてしまう。

思うに、有史以来、天文学的な数の生物があちこちで死にまくってきているはずで、緯度経度で表現されるある絶対的な範囲において、過去何かしらが死んでる可能性はそこそこ高いと思うし、それが都市部にある職場だったり学校だったりしたら、仮に過去100年程度に限定したとしてもそれはもうほぼ間違いなく誰か死んでるに違いない。でもそんなことを気にしまくって生きてる人は聞いたことがないし、いちいち気にしてたら生きてられない。

一度他の住人を挟めば契約時に告知する義務がなくなることを考えても、おそらく、1ヶ月とか1週間前とか、ごく最近の出来事である点が重要なんだと思う。仏教的にも49日間はまだ現世にインしてるわけだし。じゃあ、その人たち的には、どれだけ経過すればOKになるんだろうか。仮に49日以内だとして、通常の不動産契約を結ぶ時に前の住人が49日以内に死んでないことを確認したりするんだろうか。他の住人の契約を挟めば説明義務が消えることはそこそこ知られてると思うから、そこまで徹底しないと危険だ。契約しようとして、前の住人が亡くなったことを告知されて初めてそのことに思いを巡らす程度だとしたら、一貫性のある態度とはいえなくなる。まあ、そのあたりは、ある程度不動産屋を信用していると考えよう。

しかしそのOKになる物理的範囲はどれくらいなのかという問題もある。壁を挟んでとなりの部屋で人が首を吊っていた場合や、(高度を無視するとして)窓の外の路上で人が行き倒れて死んでいた場合をカウントするとなると、とてもじゃないけど調べきれない。となると、「死んでいたのと同じ室内」が契約する物件に含まれているかどうかを問題視していそうだ。やはり、会社や学校だったり旅行先のどっかのホテルだったりだとこんなことはあまり考えないと思う。「死者」って「夜」や「夢」と親和性が高そうだから、毎晩居て寝る場所であることが重要であるのだろう。

じゃあ、結局、入居をためらうような要因ってなんなんだろう。夜過ごしたり、寝て夢を見たりする室内で最近人が死んでたら困る理由。オカルト的な理由づけしか思いつかない。ていうか、最初からそうだと思ってた。「なにそれこわい」ってことか。

なんか書きたかった本筋の話からものすごい勢いでずれた。いや、俺は、国民の半分が大学教育を受けているこの日本で、そんな訳の分からないオカルトを信じて合理性を欠いた行動をする人が多いという事実を受け入れたくなくて、何らかの理由付けをしたくてダラダラ文章を書いてきただけなんだけど、やっぱ無理っぽいなあ。血液型性格診断とか星座占いとか当たり前だしねえ。なにそれこわい。本来、「ハレ」「ケ」「ケガレ」あたりの民俗学的視点から考察すべきなんだろうけど、よくわかんないしめんどいからそれはいいや。

あ、ちなみに、過去他の住人を挟まなかった場合に何年経過すれば告知義務がなくなるかについては、法令とかで明文化されておらず、業者の判断になるらしいよ。なんなんだこの文章。