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2009-10-18

環境省、気象庁、および文部省による報告書のニュース

| 23:48 | 環境省、気象庁、および文部省による報告書のニュースを含むブックマーク 環境省、気象庁、および文部省による報告書のニュースのブックマークコメント

今月の12日と13日、ウェブ版朝日と毎日の科学欄で、10月9日に発表された環境省気象庁、および文部省による温暖化予測の報告書の内容が報道された。両方の記事を見て直ぐに気になった、というよりも呆れてしまったことは、何れの方も、科学ニュースとして伝えるべき基本情報をきちんと伝えていないことだ。こんなことはBBCニュースでもNYタイムズでもあり得ないことだと思うのだが、報告書の正規の表題さえ伝えていない。されにその報告書が何処に発表されたか、また入手方法やアクセス方法についても触れていない。毎日の方では日付けさえ記載されていない。

朝日の方は「温暖化進めば…真夏日2倍、熱帯夜3倍に 今世紀末予測」という見出し、毎日のほうは「温暖化:対策強化しないと日本の真夏日倍増…21世紀末」という見出しで、見出しからは、同じソースのニュースであることは分かる。

それぞれのニュース記事で要約されている内容は、すでにお馴染みのIPCC報告とおなじでそれを日本の場合に置き換えただけのものであり、朝日の記事から引用すると「地球温暖化がこのまま進むと、今世紀末には日本で真夏日が最大で2.1倍の78日に、熱帯夜は3.3倍の57日にも増える――。こんな最新予測を、文部科学省気象庁環境省がまとめ、9日発表した。」という要約となる。それに続く記事の内容も十数行の簡単なもので、幾つかの断片的な日本のデータと予測を取り出しただけのものであり、それについての専門家あるいは記者による何のコメントもない。何のコメントもない発表であってもそれなりに意義はあるとしても、それにしても正式な表題とアクセス方法に触れないというのは余りにも無責任である。

科学的あるいはデータとしての意義があるとすれば、「最新予測」としてあるだけに、日本の最新のデータにもとづいているのであろうと想像できるが、いずれの記事でも余りにも断片的で少ないデータが数行で紹介されているだけで、どこに最新の要素があるのか全くわからない。

とは言ってもまあ今はネットで誰でも簡単に調べることはできる訳だから、とりあえず調べてみると、環境省ホームページからその報告書を入手することができる。

温暖化の観測・予測及び影響評価統合レポート「日本の気候変動とその影響」

これはPDFで69ページもあり、時間がかかるので全部は読まなかったが、最新のデータを含むグラフが大量に使用されており、それらを見るだけでも興味深いものがある。それらのグラフも内容に沿って大きく2つのパートに分かれ、後半はCO2による温暖化理論に基づいているだけの今後の予想をグラフに表現しただけのもののようだけれども、前半のグラフは何れも現在までの最新の多様なデータがまとめて掲載されているので、ダウンロードしておくと温暖化の現状を概観するのには便利だと思われる。気象庁ホームページでもそのまま見られるデータが多いが、より見やすく拡大されているものもある。

ただ残念な事に、気象データとCO2を初めとする排出ガス成分に関するデータだけであって太陽活動に関するデータが欠けている。たとえば以前の記事(4月12日)で触れた国立環境研究所の「ココが知りたい温暖化」から引用した太陽活動のグラフなどの最新データと合わせれば大体現在までの気候変化が把握できるのでは無いだろうかと思われる。

というのは気温変化では前回の記事でも触れた同じ気象庁のデータが用いられており、2000年前後の数年間に1つのピークに達し、その後低下しつつあることがわかるが、他にも真夏日とか猛暑日熱帯夜の日数のグラフなどもあり、それらを見てもここ数年間で気温上昇も治まりつつあることが見て取れる。一方、CO2変化のグラフではちょっと微妙なところであるが、現在がちょうどピークにさしかかりつつあるのではないかという様子が読み取れる。CO2の変遷については気象庁ホームページではもっと詳しいデータが公開されている。二酸化炭素濃度の経年変化これらのデータと4月12日の記事で引用した太陽黒点のグラフなどのデータを合わせてみると、太陽活動に10年ほど遅れて気温が変化し、気温に1年ほど遅れてCO2が変化するという「世紀末の気象」で述べられている根本順吉氏の説明に大体合っているように思われるのである。もちろんそんなにきれいに合っているというわけでもないし、CO2によるいくらかの影響や煤などの大気汚染物質の影響が引き続き残ることも当然予測されることだろう。

この報告書にも、過去のCO2変化データと現在のCO2変化データとの比較の仕方で大いに問題があると思われる箇所がある。それは地球軌道に起因する過去数十万年間のデータと最近のデータとの比較の仕方であるが、国立環境研究所の「ココが知りたい温暖化」の説明にあったのと同じ説明をしている事である。ここでは過去65万年間のCO2変化のグラフを元に、現在250年間のCO2変化を比較し、過去には250年間で100ppmも増加している例はなく、さらに現在のデータが過去65万年の何れの濃度よりもはるかに高いことを問題にしているわけだが、これは過去のデータを取得する際のサンプリングの問題を全く無視した議論である。過去のCO2濃度の測定に関しては「世紀末の気象」に詳しい説明があり、それによるとソ連南極基地で採取された長さ2000メートルに及ぶ氷柱を1メートル間隔でサンプリングし、ガスクロマトグラフでCO2その他の分析をしたそうである。2000メートルの氷柱は16万年に相当するそうで、それから計算すると1メートルでは80年に当たる。従ってその値は80年間の平均値という事になる。この16万年のデータによるグラフによると最小180PPM程度、最大300ppm程度の範囲で変化しているが、今回の報告書にある65万年間のグラフでも殆ど同じ範囲であり、同じ程度のサンプリング方法であることが分かる。こういう80年もの平均と現在の瞬間的とも言える精度の高い測定値とを同じ基準で比較するというのは余りにも乱暴ではないか。

このような過去のCO2変化については、そのメカニズムについては殆ど触れようとはしないのがCO2温暖化論に共通する説明の仕方であると思われ、この部分こそが、CO2原因説と太陽活動主因説とを分かつ主要な要素であるように思われる。例えば今回の報告書では次のように説明している。「大気中の温室効果ガスの濃度は、過去における氷期間氷期サイクルなどの自然要因でも大きく変動してきた。図2.4.2 では、寒冷な氷期に比べて温暖な間氷期には、二酸化炭素メタン、一酸化窒素のいずれの温室効果ガスも高い濃度を示している。」ここでは温暖化ガスの濃度が明確に、あるいは直接的に温度変化に対応していることを言明することを避け、「自然要因」という言葉でぼかされているように思われる。そこで数十万年間の過去と現在250年間の変化を比較する場合に単純に時間をパラメーターとして比較し、温度をパラメーターにすることを避けているように見受けられるのである。

f:id:quarta:20091018225027j:image:right

この報告書には過去と今後とを含めたシミュレーションによる温度変化の範囲に実際の観測された気温の推移を重ね合わせたグラフがある。右に引用したコピーがそれであるが、この図をみるとこれを見ると現在までの推移は当然シミュレーションの範囲内に収まっているが、来年か再来年あたりになるとシミュレーションの範囲内に収まるかどうか、微妙なところがあるように思われる。とくにこの報告書には含まれていない太陽活動のデータを考え合わせてみると、再び一貫した増加傾向に向かうとは、ちょっと想像できない。またここにコピーはしていないが、大気中CO2濃度の変化のグラフでは、季節的には毎年規則的にのこぎりの歯のように変化しているものの、年平均では温度変化に比べて滑らかであり、グラフに現れた範囲ではこれまでに一度も減少することなく一貫して増加してきている。それが来年か再来年あたりで平坦になり、減少傾向が現れてくるとすれば、CO2原因説がさらに深刻に揺らいでくるのも近いのではないだろうか。

報告書本文の全文はおろか1ページ内の全文も読まないまま、沢山含まれているグラフの半分ほどだけを中心に、気になったことをメモしてみただけだが、依然として両新聞サイト科学欄で要約されているような、CO2原因温暖化説による予想には納得できないものがあり、むしろ数多く含まれるグラフのデータは太陽活動主因説の予想を裏付けるような印象が持たれるのである。

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