ネット新聞の資金回収モデル、という闘争

quelo42009-07-08

朝日新聞が、c|netを買ったらしく、それに関する論議がかまびすしく論じられています。


(「朝日新聞が変わるか、CNET Japanが変わるか、ブログについて考える。」2009/07/02 21:55、mugendai)

これから始まる新聞とブログの関係
 だが、現在、新聞は曲がり角に来ている。自分のところの購読者限定では、収入を広げることは出来ない。むしろ、紙面を離れた発想によってのみ、読者を増やすことが出来る。今回、朝日新聞CNET Japanとのシナジー効果を期待するのなら、アスパラクラブを広く読者に開放することを期待する。さらに、僕は次の言葉をささげよう。

 新聞協会発行の雑誌『PRESSTIME』は、こんな社説を掲げている。 新聞社の電子版の広告は爆発的に伸びる。だから電子新聞に掲載する情報は出し惜しみするな。サイトに壁を作るな。そんなことをすると、検索エンジン経由でせっかくアクセスしてきた読者に悪い印象を与え、広告集めにマイナスの材料を自ら作ることになる。タダで閲読しているからといって「電子版」の読者を馬鹿にしてはいけない。「紙」「電子」にかかわらず読者は本来利口で熱心で協力的なのだ。コミュニティーのニュースや写真を提供してもらい、電子新聞の内容をもっとコミュニティー密着型にして新規の閲読者を獲得せよ。(「サイバージャーナリズム論」第一章 新聞ビジネス崩壊の予兆/歌川令三著)(コンテンツはコントロールできるか、そしてコンテンツは消耗するか)

 また、「ブログ・ジャーナリズムは誕生するか」で取り上げた湯川鶴章氏の「ネットは新聞を殺すのかblog」から、
米国のウェブログブームの仕掛け人、デーブ・ワイナー氏を取材したことがある。そのときに将来の新聞社の形はどうなると思うのかを聞いてみた。
そのときのインタビュー記事からの抜粋

 わたしは新聞社を経営しているわけじゃないので分からないが、もしわたしが経営者なら次のようにします。まず記者全員にウェブログを開設するように命じます。それから読者にもウェブログを開設するように勧めます。エディターに記者と読者のウェブログの両方を読ませ、エディターのウェブログ上で面白いニュースへリンクを張らせるようにします。記者の情報、読者の情報は問いません。重要な方、面白い方の情報にリンクを張るわけです。読者と同じ程度の情報量や分析力さえ持たない記者のウェブログにはリンクが張られなくなる。その記者は廃業です。読者が集めてこれない情報、オリジナルな視点、解説を提供できる記者だけが生き残れるのです。これが読者を巻き込んだ新しいタイプのジャーナリズムの形です。
 エディターの役割は、図書館の司書や、タレントスカウトのようなものになるわけです。(共同ブログ騒動にみる参加型ジャーナリズムの形)

ここに新たなニュース・メディアのヒントがある。[非常識な時代には非常識な発想が必要だ:title=「非常識な時代には非常識な発想が必要だ」]のタイトルと同じく、新聞の常識はインターネットの世界では非常識になりつつある。


一方で、朝日に記事有料化のための技術的提案をする人も。(「朝日新聞への提案 〜5W1H分離で再有料化」2009/07/05 19:30、nomuran)

■記事から、Mextractr によって、5W1Hを抜き、伏せ字にする。抜いた5W1Hは、タグに、出現順、もしくは、5W1Hごとに50音順に入れてHTMLページを生成。

 その結果ですが、、SEO効果は元記事通りそのまま残ります。いや、事実報道などで最重要の要素、5W1Hがタグに入っているのだから、元記事よりもSEO効果は高くなる可能性も十分あります。

 そして、辿り着いた読者が読む文章はこんな感じです:

【原文】
メタデータ、Web閲覧メモやスケジュールをクラウドクリッピングする "Mextクリッパー" サービスを無償提供開始


メタデータ株式会社(本社:東京都文京区、代表:野村直之)は4月8日、Web記事やWeb メールの本文からイベント情報や打ち合わせ日時の情報(以下アポ情報)の5W1H(いつ、どこで、何を、等)を抽出して、クラウド上の個人カレンダー、スケジューラの登録画面上の「タイトル」「日時」「場所」等のフォームに自動で振り分けて登録可能とする“Mext クリッパー”サービスの提供を開始した。メリットは、【スケジュール登録が10 秒で完了】、そして【いま注目した情報を逃さずクラウドにクリップ】の2つである。



5W1Hを伏せ字にした結果】
メタデータ、Web閲覧メモやスケジュールをクラウドクリッピングする "Mextクリッパー" サービスを無償提供開始


【…法人・団体名
1…】(本社:【…住所1(都道府県)…】【…住所1(市区町村)…】、代表:【…個人名1…】)は4月8日、Web記事やWeb メールの本文からイベ
ント情報や打ち合わせ日時の情報(以下アポ情報)の5W1H(いつ、どこで、何を、【…個人名2…】)を抽出して、クラウド上の個人カレンダー、スケ
ジューラの登録画面上の「タイトル」「日時」「場所」等のフォームに自動で振り分けて登録可能とする“Mext クリッパー”サービスの提供を開始した。
メリットは、【スケジュール登録が10 秒で完了】、そして【いま注目した情報を逃さずクラウドにクリップ】の2つである。


  何か起きた出来事の骨子は十分わかります。それが重要なことであれば、ちゃんと原文の形で読みたくなることでしょう。 ソース中のタグと丹念に対照すれば、読めなくはありません。しかし、より多くの時間とストレスがかかります。
 そこで、「すぐ、ちゃんと読みたいぞ」と思って、「購読」ボタンを押すと、1ヶ月1500円のカード引き落としで読めるようになる、という仕組みです。


さらに上に対し、反論が。(「情報の有料化は難問」2009/07/07 11:31、Jacques)

ただ有料化すれば良い訳ではない
現在ニュースをはじめとした情報の多くが無料であるという認識が浸透しています。実際には当然無料ではないのですが、直接支払いが発生しないため感覚としては無料が当たり前になっています。

これが急遽有料となった場合ですが、無料を継続するところがあればよほどの問題が無い限り、多くのリーダーは無料のところへ流れ着くことと思います。極端な例えになってしまいますが、シェアウェアとフリーウェアの関係に近く、ユーザの多くはまず無料のソフトウェア(ツール)が無いか探し、特段不満が無ければそれを使い続けます。多少の機能の差異程度では有料のソフトウェア(ツール)には移行してもらえません。

これは中々に大きな問題でして、ことソフトウェアに関しては有料のものに対して少なからず嫌儲な声が寄せられます。本題とは直接は関係無いのですが、無料のものが存在する以上、多くの方は無料を良しとする傾向にあります。


参考ページ

そろそろメディア企業の淘汰が始まったのかなぁ・・・(著者: hokky (cafe noir))

ウェブで有料サービスを普及させるにはどうすれば良いか? (Slashdot Japan)

米Slashdot.orgが広告を表示しない有料購読制を導入(InternetWatch)