576 ミモザの園 ダイナ・マコール

ミモザの園 (MIRA文庫)

ミモザの園 (MIRA文庫)

ローレルは母方の血筋から透視能力を受け継いだ。母はローレルが幼い頃、自殺し、それ以来祖母とも疎遠になり、父はローレルの能力を忌々しく思っていることを隠そうともしなかった。孤独な日々にある夜、救いが訪れる。毎夜現れる夢の男性は、ローレルを愛の営みで満たした。しばらくして、ローレルは祖母の死を知らされる。そして、祖母マーセラが遺産の全てをローレルに残したことを知って、この茨の住みかから母の生家に移り住む決意をした。
それまで疎んじられてきたローレルは、村人の歓迎に喜びを感じる。
ジャスティンは姪が行方不明になった時、救ってくれたマーセラの孫が夢で愛し合った女性であることを知り驚く。二人はお互いが運命の相手であることを疑わなかった。
ローレルの父ロバートは、娘が出て行った後、後悔を感じていた。娘の能力など信じてはいない彼だったが、彼なりに娘を愛していた。マクナマラの事件を担当していたロバートは、マクナマラから司法取引を持ちかけられて拒絶するが、そのために捜査から下ろされて、思いがけない休暇を得、娘に会いに行くことを決める。マクナマラはロバートを懐柔するために、トリガーにローレルの誘拐を強要したが、獄中で元ベトナム兵に殺される。ロバートが仕事から下ろされたことも、マクナマラが死亡したことも知らないトリガーは、依頼を遂行するために、ロバートをつけ、車が故障したロバートをやむなく同乗させることとなる。だが、車から娘に電話したロバートは、ローレルからトリガーがマクナマラの仲間であり、危険が迫っていることを知らされ、トリガーの暗い視線に気付く。トリガーは逃げ出そうとしたロバートを車に押し込み、逃走するが、ローレルの居場所を知った今、ロバートは邪魔だった。共同墓地の納体堂の中に、気を失ったロバートを閉じ込め、トリガーはミモザの園に急いだ。
ローレルは父の居場所を正確に教え、警官たちはロバートを救い出した。トリガーは射程距離が短い拳銃しか持っていなかった。窓の外から狙撃したものの、弾は外れ、彼は森に逃げ込む。そこで、トリガーはやっと正気に戻った。全てから縁を切って、名前を変え別の地で生きるのだ。だが、遅かった。森に潜んでいたパンサーが彼に襲いかかり、トリガーはパンサーの餌食となった。
ミモザの園に住む亡霊は、ローレルに救いを求めていた。そして、ローレルは自分と瓜二つの祖先シャンテルが、夫に殺され、シャンテルを助けようとした奴隷ジョシュアをも殺したことを知る。ローレルは二人の骨を一族の墓に埋葬し、やっとシャンテルの魂は神に召されたのだった。


男は異国から連れて来た若く美しい花嫁に満足していた。しかし、彼女が奴隷の娘の窮地を言い当てた時、周囲の人々は彼女を魔女と呼ぶようになる。3人の子宝に恵まれたものの、彼女は奴隷同然だった。奴隷を虐待する夫に反発する彼女は、夫の怒りを買い、逆上した男は妻共々奴隷を葬り、周囲には子供を捨てて出て行ったと告げた。彼女の魂は昇天することができず、長い間救いを待っていた。