Hatena::ブログ(Diary)

Qu記(仮) RSSフィード

2012年 03月 06日

ブログ移転のお知らせ

しばらく前から http://tealang.info/ のほうにHPと統合してブログを移転しています。

WordPressの動作が不安定だったりするので、たまにこちらに一部戻すかもしれませんが、原則的に今後はtealang.infoのほうを更新していく予定です。

フィード登録などされている方がいらっしゃれば、変更をお願いします。

2012年 01月 10日

Twitterの発言を捏造されて2ちゃんねるで炎上した件について


すでにTwitterなどで詳しく解説している件ですが、読みやすい形で詳しい情報を残しておいた方が今後の対策などに有益かと思ったので、エントリを書く事にしました。

より簡素なまとめはid:hagexさんによる ツイートが捏造され2ちゃんねるで晒された - Hagex-day infoという記事があるので、そちらを参照してください。

(togetterまとめ: ツイートが捏造され2ちゃんねるにスレ立てされた - Togetterまとめ

※Twitterの固有tweet_idの生成にはSnowFlakeというアルゴリズムが用いられているようですので、以下の説明には一部不適切な部分もあるようです。

http://engineering.twitter.com/2010/06/announcing-snowflake.html

今回の件についての法的な措置などを行うかについては、時間/金銭他のリスクや確実性を考慮に入れて決めるつもりです。再発防止の観点からも、何らかの正当な社会的制裁はあって然るべきとは考えています。似た前例などご存知の方がいれば教えていただけると嬉しいです。

その後、@ahirutyanから「謝罪のスレを立てた」とのリプライが届きました。記事最下部に追記してあります。(2012/01/11 23:59更新)


事件の顛末

一昨日(1月8日)夕方から深夜に掛けて、2ちゃんねるのニュース速報板に「@quolc Pixivバイトの東大生すずきりょうへい「2ちゃんは負け犬の遠吠え」←VIPPER速報を擁護」(ログ速魚拓)というスレッドが立ち、僕の実名やfacebookアカウントなどの個人情報が晒され、名誉毀損を受けるという事件がありました。

当該スレッドの最初の書き込みは次のようなもので、僕がアフィリエイトブログ管理者を擁護し、2ちゃんねる住民の心情を損ねるような投稿を行ったという前提で、それを告発する形になっています。*1

恐らく、僕が標的となったのは、スレタイにも記載されているように僕がpixivでアルバイトをしているということが原因ではないかと思いますが、もしかしたら私怨によるものかもしれません。


1 : アーフィ(神奈川県):2012/01/08(日) 18:52:19.91 ID:xpe7+JT+0 ?PLT(15072) ポイント特典

755 名前: ステマ家族(福岡県)[sage] 投稿日:2012/01/08(日) 18:21:42.62 ID:mmrq/Idn0 [8/8]


@quolc quolc/Ryohei Suzuki

pixiv元社員がアフィリエイトブログを管理してたとかで騒いでるけど、それならが自分自身で儲けられる

コンテンツを作ればいいじゃん。今の2ちゃんねる見てると負け犬の遠吠えって感じ。

https://twitter.com/#!/quolc/status/155920828670816117


どう考えても関係者としか思えない

一体どれだけの人がアフィブログ連合の巨大な渦に関わってるんだろう


ここに引用されている僕が行ったとされるツイート(https://twitter.com/#!/quolc/status/155920828670816117)はリンク切れとなっていて、一見すると僕が一度書き込んだ後で都合が悪くなって削除したかのように見えます。*2

ですが、実際にはそもそも存在しないものであり、簡単に言えば、このツイートは捏造されたものという事になります。


このスレッドを立てたのは「あひるちゃん」(@ahirutyan)という人物で、彼はスレ立て直後にTwitter経由で僕に対して次のような一連のリプライを飛ばし、僕がスレッドに現れて発言するように煽ってきました。(多分、何かより攻撃を行うのに都合の良いボロを出す事を期待していたのでしょう。)

最初は鉄則通りに炎上に対しては無反応の方針を固めていたのですが、スレの勢いがかなり早く、また今回の件は普段見る種の学生の迂闊な行動がきっかけの炎上とは異なり、一切こちらに非が無いものでしたので、次のように無実を証明する対応を行いました。

厳密には少し不正確な部分もありますが、現実的には十分な根拠となります。

このpostの引用がスレの>>375で投稿されてから、ソースの信頼性に対して疑問を呈する種の書き込みが増加し、その後ゆっくりとスレの流れは沈静化、最終的には僕が擁護されるような流れでdat落ちという展開になりました。

なお、これは今回の捏造が引用テキストのみをソースとする極めて稚拙な手段によるもので、tweet_idのルールをよく把握していない人物による物だったので可能な証明でした。

仮にもっと現実的なidが振られていて、スクリーンショットの捏造などが行われていたとすれば、もっと不利な流れになっていた事は間違いないでしょう。

ちなみに、上記の証明に対する@ahirutyanの反応は次の通り。

横暴ですね(笑)


二次転載

2ちゃんねるでの炎上で怖いのは、スレッド内での個人情報の暴露などの直接的な被害もありますが、繰り返し二次転載に遭う事によってその後社会的な不利益を被るという事も大きいです。

2ちゃんねるでは、「まとめブログ」の類への掲載がその主たる物となります。

今回のスレッドについてまとめを行っていたのは次の各ブログです。

(他に発見された方がいたら教えていただけると助かります。)

これらのブログでの記事は、いずれも僕について名誉を毀損するタイプの書き込みのみを抽出し、それ以外のソースの信頼性に疑問を呈する書き込みや、僕のTwitterでの釈明を引用した書き込みなどを一切抽出しない、非常に明らかな恣意的な編集が行われていたのが印象的でした。

「むらそく!」の記事などは分かりやすい例でしょう。

事件後すぐにこれらのブログに対してはメール/Twitterなどで記事削除の依頼を行いましたが、「ニュースまとめスパ」は迅速に削除を行って報告を返信、「hogehoge速報」および「日刊ν速タイムリー」は特に文面での返答は無く記事を削除という対応でした。

「むらそく!」からは今のところ返答がありません。今回の件を受けて閉鎖したようです。(上記URL参照)


影響

今回の件において、スレッドでの主な流れは僕の個人情報の晒し上げと各種誹謗中傷というものでした。(詳しくはログをご参照ください。)

ここで晒された個人情報は、上記の通りfacebookアカウント、実名、出場したSuperCon2008という大会のWebページに掲載されていた写真などでしたが、いずれももともと故意に公開していた情報でした。

秘匿すべき個人情報は、例えばmixiのアカウントなどに記載されていると思いますが、これらは公開範囲を設定していたため今回の騒動の中で漏洩する事はありませんでした。

また、この手の炎上では過去の書き込みから未成年飲酒などの社会通念に反する行為や万引きなどの軽犯罪が明るみになって燃料となる事例が多いですが、僕に関してはそういった事実もありませんでしたので、特に問題はありませんでした。

結局スレの流れは僕のルックス(キモオタっぽい、ハゲ隠してる、キモい、など)および、僕のプロフィールに掲載されていた文章を槍玉に挙げた人格攻撃(中二病すぎワロタ、など*3)に終始していたように思われます。

特に後ろめたい事が無く、プライバシーに関して管理ポリシーが一貫している限りは、小学生の喧嘩程度の罵倒を食らう程度で、特に痛い事はなかったな、というのが正直な感想です。


基本的な対策

今回の件を通じて得た教訓をTwitterに投稿しましたので、引用しておきます。


まとめ

上にも書いたように、今回の件は捏造が稚拙だったために完全に汚名を払拭することが出来ましたが、それらしいidに偽造スクリーンショットを添えられてしまえば、ほとんどの人がその発言は真実の物だと思い込んでしまいます。

id:hagex氏が「魔女裁判」と例えているように、Twitterなどソーシャルメディア上での発言を削除済みの物として捏造されると、無実の証明が困難な場合が多いです。

場合によっては運営会社に直接問い合わせるなどして無実証明を行わなくては非常に厳しい状況に置かれてしまうケースもあるかもしれません。

ですが、普段からプライバシー管理について一貫したポリシーを確保し、迂闊な発言を行わないように気をつけ、いざという時に焦らずに対応すれば、少なくとも大きな実質的な被害は防げる場合も多いのではないかと思います。

皆さんも、明日は我が身と気を付けて、楽しいネットライフを送られることを祈ります。

現状ではWeb魚拓あたりが一番説得力の高いソース維持の方法となっているようですが、今後、より使いやすい形でソースの信頼性を保証するツールや仕組みが出てくると良いですね。


心温まるやりとり


その後

1 :あひるちゃん ◆z0WvbsWRgg :2012/01/11(水) 20:36:08.96 ID:WYVSZDud0 ?2BP(7536)

【訂正と陳謝】@quiol 東大生ステマ発言はしておりませんでした

経緯は、一連のステマ騒動スレにおいて、東大生が今回の件に絡んで

2ちゃんを批判しているtweetのコピペが貼ってあるレスを発見し、

俺が確認せずコピペしてスレを立ててたことから始まる。

事の顛末は、誰かが存在しないリンクを使い、@quiolcがtwitterで

問題発言をして消した様に見せかけた偽物でした。

つまり、本人は今回の件に関して発言すらしていない。

https://twitter.com/#!/quolc/status/155920828670816117

スレを立てご本人に多大な迷惑をおかけしましたことを

内容の訂正と共に陳謝いたします。

@quolcさんごめんなさい

捏造して貼った奴は誰だ!!!

どうレスを見つけてスレを立てのか等

詳細な流れは>>2に書きます。

quiolとかquiolcってどなたでしょうか…、というところを突こうとは思わないのですが、僕に直接伝えてきたのはリプライの「申し訳なかった」の一言だけで、後はスレで会話してるだけという態度には、流石に誠意が感じられないなあと思いました。


さらにその後

*1:最近のアフィリエイトブログ関係の騒動(+ステマ騒動?)に関しては僕は全く把握していない(2ちゃんねるの閲覧自体が今回で数ヶ月ぶりの事だった。まとめブログはSSを読むときなどにたまに利用している)ので、【2chで何が起きたのか】誰でも分かる基礎からのステマ騒動まとめなどの分かりやすいまとめを読む事をオススメします。

*2:ここで引用されている書き込みはまた別のスレッドに投稿された物ですが、その書き込み主が誰かは分かっていません。

*3:余談ですが、最近Steins;Gateというアドベンチャーゲームをプレイした直後だったので、むしろこれは褒め言葉に感じられました。

2011年 12月 28日

駒場祭にてインタラクティブアート作品rhyfLSを展示しました。

rhyfLS performance 1 from quolc on Vimeo.

rhyfLS performance 2 from quolc on Vimeo.


五月祭に引き続き、11月末に東京大学駒場キャンパスで開かれた駒場祭でもTonicaで展示を行い、私はrhyfLSという作品を出展しました。


作品の概要

今回の作品も、前回の作品に引き続き、映像の論理的な構造をシンプルなパターンとして分解してライブラリを作り、それらを組み合わせる事で自在に映像を構築・演奏出来る可能性を示す、というコンセプトで制作を行いました。

ダンスミュージックにおけるシーケンサーをイメージとしてアウトプットを映像に置換したようなものとなっていて、ユーザーは手元のインターフェイスを使ってピアノロール様のループシーケンス上に映像を構築し、その結果がプロジェクションされた大画面にリアルタイムで投影されます。

上の動画に全体構成が示されていますが、システムは二つの画面で構成されています。

上側の画面が生成した映像を投影する部分で、プロジェクターによって壁面に投影されています。

下側の画面はDTMにおけるDAWの画面のように、走査線が左から右へと流れ、画面上に配置した要素を通過する時に対応する内容が映像に反映されます。


映像生成の仕組み

映像のシンプルなパターンへの分割と、多様かつ人それぞれでオリジナリティのある映像生成の可能性という一見背反する目標は、映像パターンを関数として定義し、合成関数を作っていく事によって対応しようと考えました。

上の動画を見るとインターフェイスにカラフルな●が表示されていて、それらが線でつながっているのが分かるかと思いますが、●の一つ一つが映像のパターンに対応し、それらを結ぶ線は関数同士の呼び出し関係を示しています。

例えば、赤●のパターンは「回転する立方体を表示し、子パターンを四方向に複製して表示する」というパターンとして定義されています。

このとき、赤●のパターンから赤●のパターンを連鎖させると、立方体の周りに立方体が正四面体を構成するように展開する映像が生成されるというわけです。

これを次々に組み合わせていくと、フラクタル様の多層に入れ子になった構造が描画出来ます。


Recursive Tetrahedron 2 from quolc on Vimeo.

例えば、こんな感じです。


この映像では同じパターンだけを何回も連鎖させているのでシンプルなフラクタルっぽくなっていますが、例えば途中で異なるパターン(放射状のビームを描画する、回転する連なった球を表示する、照英画像を表示する、などなど)を挟むとより複雑な映像を作ることが出来ます。

それを実際に行っているのが最初の動画です。

生成される映像にはパターンの個数を連鎖の数分乗じただけの組み合わせがあるので、誰がやっても同じような映像になってしまうことはなく、文字通り指数関数的に増大するオリジナリティの表現の可能性を持っています。

今回の実装では8種類のパターンを用意しましたが、一つ一つのパターンはprocessingプログラムのクラスとして定義されるので、後から多少コードに手を加える事で、誰でも、とは言いませんが多少プログラムが書ける人なら簡単にオリジナルの要素を加える事が出来ます。

パターン同士の組み合わせから、パターン自体のコードへの書き起こしまで、プログラミングの粒度に必要に応じた自由度が与えられた一つのプラットフォームとなっている、と言った感じです。


考えた事

こうした論理志向的な方法で映像を作る面白さの一つは、頭の中にスケッチした論理的な構造を、タイムラインアニメーションなどを書き起こすという時間の掛かる処理を挟まずに、一瞬で外部化して映像に変換する事が出来るということです。(今回のカバー範囲では、主にシンプルな幾何学的なものに限りますが)

これによって、素直にCADなどを使って一つ一つの要素を書き出していては数時間から数日の時間が必要な一連の行程を、数秒のシーケンスの文字通りのループの中に縮める事ができ、何百回ものフィードバックループを容易に回す事が出来るので、最初のスケッチでは思いもよらなかったような面白い映像が自分の手で作られていく様子を体感出来るのが、楽しい点だと思っています。

無論、作り出される映像が含む情報量は、パターンの定義のプログラムコードと、それらを連鎖させたグラフが持つそれと等しいわけで、例えば一コマ一コマ人の手で作られた映像と比べると、大きな欠落が存在する事も間違いない事だと思いますし、こうした手法が既存の映像制作を代替するようなものになるとは考えてはいません。

むしろ注目したいのは、誰もが気持ちのよい映像を作れる、しかも、塗り絵のように誰がやっても大体同じようになるわけではなく、構築・演奏のプロセスを通じて自然とオリジナルなものへと向かっていくという可能性が、このような論理的、プログラム的なアプローチによってもたらされるのではないかという点です。

また、もう一つ期待したい点は、映像を分割可能なプログラムコードとして定義することで、オープンソースのライブラリのように映像そのもののオープンなプラットフォームが、より直接的に拓かれ得るのではないかという点です。

もちろん、たとえばAEのプラグインのように既に類したものはあると言えばあるのですが、今回の作品のように直接的にプログラミングもチーフを直感的な形で導入する事で、ライブラリを記述するエンジニアと、映像を作るクリエイター、それを楽しむコンシューマーなど、あらゆる存在がプログラミングの粒度だけを異にする同じ立場に立てるというのは、とても面白いと思っています。


rhyfLSそのものは、一つの実験に過ぎないので、これ単体でそうした状況まで作れるとは思っていませんが、Desktop FabricationやAlgorithmic Designなどといった此処数年で急激に進歩を続けているクリエイションのプラットフォームは、いずれも共有や接続が可能なコードを軸として進んできていると言えるでしょう。

デジタルファブリケーションを前提として、家具から食物までのソースコードを共有し、良いものを作ろうというUnlimited Design Contest | Design conceptsなどはそうした方向の最も先鋭的なものと言えるでしょう。

今回の作品は、そういう方向性の可能性を体で感じてみたいために制作をしたという感じです。

結論として、やはりコードが表現を生み出す力は面白い。

そして、これからも色々実験を続けていきたいと思いました。


なお、このあたりの参考事例や考えた事は夏の91-confで発表したスライドにまとめています。

興味があればご覧下さい。

2011年 08月 23日

91-conf 2011 summer 参加記

はじめに

去る8/21に、キューイチ世代(g:generation1991)という、91年付近生まれのネットユーザーが集まるはてなグループのメンバーによる、91-confというカンファレンスイベントに参加してきました。

91-confはこれで確か5回目の開催のイベントなのですが、毎回5名から10名ほどの参加者が自由に、自身が興味を持っている内容について15分から30分ほどを掛けて話(ライトニングトーク - LT)をするという形式で行われています。

話題は多岐にわたり、高度なプログラミング技術の説明から、ネット文化論、宇宙工学や研究の紹介、個人的な経験の吐露まで何でもアリです。

今回は株式会社ドワンゴの会議室をお借りして行われ、おそらくこれまでで最多の30名弱が参加し、僕(id:quolc)を含めた10名強がLTを行いました。


各LTに関して簡単な感想

セキュリティ&プログラミングキャンプ2011というイベントの参加報告LTでした。

集合時から発表までのハプニングやらを語るsoraの様子が、何より見ていてとても楽しかったです。

僕は昨年参加したときはソフトウェアセキュリティ組で、マルウェア解析など分析的(あるいは、いかにもハッカー的)なことをやったのですが、言語組は毎度人それぞれクリエイティブな感じで、そっちも参加してみたかったなあと思いました。


  • id:nolze : 哲学的プログラミング

オブジェクト指向とイデア論、クワインと自己言及パラドックスなど、プログラミングという営みと一般的に哲学的と呼ばれる問題との関連性を指摘して、プログラミングから生まれてくる哲学とはと問題提起する大変刺激的なLTでした。

嘘つきパラドックスなどの、哲学というより記号論理学の領域に関する問題は、そもそも論理機械であるコンピュータと密接に関わってくる事は自明と言えるのではないかという気もしましたが、高級言語によるプログラミングはただ低級な論理演算を隠蔽するのみならず、セマンティックなレベルで新しい視点をもたらしうるのかもしれません。

そういう事を考えると、言及されていたcoqのようなある種自明な働きをする定理証明支援システムなどよりも、javaだとかrubyのような日常に近い言語の方が、新しい「哲学」には近い位置にあるのではないかな、とか考えながら拝聴していました。

また、僕として興味深く思っているのは、プログラミングには記述と実行という二つの段階があるという事で、例えば再帰とパラドックスの話にしても、パラドックスをプログラムとして書き起す事はrosylillyが指摘していたようにただの言い換えにしかならない一方で、実際にそれを莫大な回数演算させる事が出来る、というところに、高々100回くらいの深度までしか到達出来ない(だからメタな論理を発見する)従来の人間の思考とは異なるパラダイムが生じそうな気がしています。

コンピューターやプログラミングは、どのように哲学を拡張し得るのか、というのはとても興味深い話題です。

いろいろ個人的な意見を書いてしまってすみませんが、そのあたりが当日質問しようとして忘れていた事です。


Gentooの話でした。

多分、一時間くらい制限時間があったら、(最低限Linuxについて理解している人ならば)皆がGentooについて詳しくなって世界にささやかな幸福が実現していたのではないかという気がするのですが、今回は15分しか無かったのが厳しかったですね。

正直なところ途中から全然話を追えなくなってしまったのですが、Gentooとはなんぞや、そこで一貫している思想とは、メタディストリビューションであるとは、というようなエッセンシャルな話がよく圧縮されていたように見えて、あとからしっかり資料を読み返したくなりました。



あと、ジェンツーとジェントゥーはどちらがよりネイティブなのでしょうね。


IMAGINE THE FUTURE、謎でした。

回文生成学というのには大変面白い印象を受けました。

回文生成に限らなくても良いのですが、自然言語処理やデータマイニングといった研究の成果を、そもそも全く意図されていない分野(それこそ、回文や駄洒落など)に応用するというのは、むしろ研究の裾野を広げて有意義に思われます。

特に興味深かったのは、Google検索を同音異義語列挙に利用して回文生成に生かすというアイデアで、そういう問題の翻訳、みたいな作業は知的パズルみたいで面白そうです。


LTを聴く態度に関する、ちょっとしたお説教?

みんなパソコン開き過ぎですね。

LT中はみんな発表者をじっと見つめている方が良いのか、それともTwitterなどを通じて聴者間でのコミュニケーションや発表者に対してのフィードバック(今回は特にTLプロジェクションが無かったので関係ないですが)があった方が良いのか、意外と難しい感じがします。

何より、度合いの問題ですね。ちゃんと聴くのは礼儀です。


IPA未踏採択者のyayuguによる、金の稼ぎ方についての紹介というか提案というか。

未踏をはじめとした賞金(未踏の場合は賞金という言葉は甚だ不適切な感じもしますが)稼ぎというのは大変刺激的で、僕も高校時代は割とそれに近い事に明け暮れていた感じがします。

何より、普通のアルバイトでは時間が直接換金されるので、ある時間の過ごし方について予め金銭的価値を決定されてしまうのに対して、賞金はプログラミングなど作業を行っている途中は、その時間が果たして最終的にどれだけの価値に還元されるのか分からないというのが楽しいところで、だからこそ高密度な時間の過ごし方が出来るわけです。

もちろん、生活費になるほどの額を稼ぐというのは至難の業と言うか普通は無理ですが、小遣い稼ぎ程度にはとても良いと思いました。


いつもg:generation1991のダイアリー記事を楽しみにしているchihirovvの神経科学の話ですが、今回はその入門編の非常に分かりやすいおさらいになっていたと思います。

誰よりもスライドが綺麗で、かつ熱意が伝わってくるプレゼンだと思いました。

ロボットと友達になりたい、という夢にまっすぐなところが、すごくいいな、と思いますし、同時に何が夢なのか分かっていない僕はそのぶれない学問への態度を尊敬しています。

僕も神経科学、勉強したいです。


何をする上でも、その行為は果たしてどういうことなのか、と意識することは当然重要ですが、しばしば見落とされる事です。

それは、例えば商売であれば、人にものを売るということで、人にものを売るという事には、売る商品があって、売る相手がいて、という当然存在するファクターがあり、さらに人や商品があれば、相手を明確にイメージして広告を打ったり、在庫を管理する必要があったり、流通を考慮する必要があるわけです。

そういうことをロクに考えなくても形だけは商売でも何でも成立してしまうし、それより多くの人は耳触りの良い大義名分みたいなものに流されがちだけど、当然考えるべき事を忘れれば、まともに立ち行かない。

今回rosylillyがしてくれたのはマーケティング?をテーマにした、とても分かりやすく引き込まれるようなプレゼンでしたが、そこで語られていた事はあらゆる場面で意識しなくては行けないものだなと思いました。


  • id:aereal : 破滅的コミュニケーション

コンピュータと言語、人との関わりについて、懐疑的な視点からの議論でした。

僕自身としては、なかなかaerealさんの考える「コンピュータとのコミュニケーション」がどういう事であるのか理解が固められなくて、議論の内容もうまく把握できなかったところがありました。

そもそもコミュニケーションとはどういうことなのか、というところまで立ち返って厳密に考えてみようとすると、たくさん参考になりそうな議論が過去に存在するような気がします。

個人的な意見としては、コミュニケーションの成立は各々閉鎖系を構成する主体間(このあたりはオートポイエシス周辺の議論に負っています)で、主に音声や文字による発語のフィードバックループが撹乱を起こさずに回り続けている状態を示す(つまり、コミュニケーションは客観的事実ではない)と言えるかな、と思っているのですが、そうした時にコンピューターという指示をそのまま受け取って処理して結果を返す開放系はコミュニケーションの主体と言えるのかしら、というのが第一の疑問としてあります。

言い換えると、コンピュータとのプログラミング言語による対話では言葉が全てSignになってしまう(S/N比が1:0で固定されてしまう、言葉に記された以上のものが立ち上がってこない)ので、日常的なコミュニケーションとは全く異なる信号処理になってしまうのではないかという疑問です。

また、同じ前提を適用すると、適切なアルゴリズムを組み込んだシステム(つまり、lbkiのようなbotですね)が人側にコミュニケーションの成立を認識させるとしてもさせないとしても、コンピュータの側はアルゴリズムがハングアップしない限りは原理的に撹乱のしようがない(常にその通りに受け取って、学習をし続けるだけ)、だからコミュニケーションの成立は結局人間一者に託されてしまうのではないかという風にも考えられそうです。

botと会話するのは、複雑な模様の彫られた鏡を覗き込むのとあまり変わらない事なのかもしれません。そして、その複雑な模様がアルゴリズム本来のピュアなSignにNoiseを紛れ込ませているのであれば、コミュニケーションが錯覚されうるのかもしれません。

また、botの不可欠な要素である機械学習を考慮に入れると、また少し議論は複雑になってきそうです。

いろいろな普段は深く考えない問題を強く意識させる、とても面白い視点を提供してくれる議論でした。


  • id:quolc : コードがつくるもの

僕の議論は、ここ半年くらい興味を持っている、人と機械の関わりと創造性というテーマについて、面白いと思う具体的なものや思想的パーツをちりばめながら最終的に制作物に関して自己弁護するような(笑)内容でした。

プロジェクトの件はさておき、そこまでの議論と紹介したいろいろなコンセプトは、どれも非常に面白く、新しいコンピュータとアートの関わりを語る上では欠かせないものであると思っています。

内容に少しでも興味を持ってくれた人がいたなら嬉しいです。

ただ、ちょっとあがっていた事もあって、ふるまいとしてのコードの注入というテーマから五十嵐ERATOにつながる部分や、パタン・ランゲージの有用性について適切な説明が出来なかった、あるいは誤解を招く言い方をしてしまったところがあって、それは強く反省しています。

また、プレゼン後の質疑応答が盛り上がってとても良かったです。

特にid:aerealid:nolzeid:grafiとは問題意識を共有する部分が少なからずあるように感じて、クリティカルな質問を数多く投げかけてくれて非常に嬉しく思いました。懇親会はid:itochan315がカレーを貪る様子を観察しながらカレーを貪っていたら終わってしまったので、またゆっくりお話しできる機会があると嬉しいです。

なお、プレゼンはslideshareにアップロードしてあるので、興味のある方は是非読んでみていただけると嬉しいです。

http://www.slideshare.net/quolc/91confquolc20110821


自らの環境は自ら作る!

piさんぱないし、相変わらずそのどこまでも自ら実践していく態度にはただただ尊敬するしか無いです。ぱない。

rosylillyの「お前のパソコン見た事無いもん」に爆笑しました。

なんというか、90年代初頭のハッカー映画で出てきそうなインターフェイスだなーとか思っていました。

僕もtmux改造まではやる気はしないけど、自分の環境は自分で作る精神を見習いたいなあと思ってなりません。


alpicolaと僕は前に紹介したtonicaを一緒にやっていて、多分興味を持つ分野も似通っているところが大きいのですが、今回も比較的近しい「コードによって画像を生成する」というテーマについてのプレゼンでした。

僕はひたすらコンセプトや近未来的妄想を繰り返していたのに対して、alpicolaは明確な実装や具体を示し続けていて、(無論全く誰も意図したことではないのですが)二つのプレゼンが合わさってバランスが良い感じになっていたなあとか思っていました。

特に彼が作ったCTXFR(http://ctxfr.com/)は、ContextFreeArtによるコードから自動的に画像を生成するというコンセプトと、コード特有のforkや共有の可能性とを端的に表しているウェブサービスで、(シンプルすぎるインターフェイスが少し敷居を上げている気もしますが)もっと普及したら面白いものが沢山見られるようになるのかなと期待しています。みんな使いましょう。


まとめ

非常に長くなってしまいましたが、これだけ色々書きたくなる程度には、今回のconfは大変刺激的でした。

まだプログラミング系の内容が多すぎる、という話もありましたが、いずれの発表を見てもただ技術の話だけをしたいだけ、というような物は無かったように思うので、confとしても雰囲気が良い感じになってきたなーと思ってます。

次回はどうやらガチ理系発表禁止縛り、みたいなことがあるとかないとか、そんな噂もあるので、もっと社会科学や人文科学系の発表が増える事を期待しています。

人文方向とプログラマー方向が刺激し合えたら面白そうですね。

僕も余裕があったら、また何か話せるように準備しておきたいと思います。その時はよろしくお願いします!


謝辞

今回会場をはじめ多くのリソースを提供してくださった株式会社ドワンゴ様、本当にありがとうございました。

おかげでとても快適な環境でカンファレンスを楽しませていただく事が出来ました。

また、毎度主催のid:rosylilly, id:yaakaitoの二人は、多忙な中で貴重な時間を割いてこういう素晴らしいイベントを企画してくれて、本当にありがとう。

大変感謝しています。

2011年 06月 01日

五月祭にてインタラクティブアート作品"Visactor"を展示しました。

Tonicaについて

昨夏、「面白い物をつくろう」というモットーのもと、私(quolc), @f_yamato, @alpicolaの三人でTonicaという企画を立ち上げ、秋の学祭である駒場祭で小さなメディアアート・インスタレーション展示を行いました。

その後、冬頃に駒場祭の展示で興味を持ってくれた方々を交えてインターカレッジサークルとして再始動し、以降Tonicaでは「面白いものをつくる」という当初のモットーに従って、幅広い分野の知識や技術を共有するためにLT会やプログラミングセミナーなどといった活動を行っています。

東京大学本郷キャンパスでは先日、5/28-29にかけて春の学祭である五月祭が開かれましたが、今回もTonicaは駒場祭に引き続き企画参加し、メディアアート展示を行いました。

当日には三点の作品が展示されましたが、私はそのうち一点である"Visactor"というインタラクティブアート作品を制作しましたので、簡単に作品紹介をしようと思います。


Visactorの概要

Visactorは、モーショングラフィクスと呼ばれる抽象的な映像によるライブパフォーマンスのための、音楽的なインタラクションを備えたインタラクティブ(ソフトウェア)アートで、シンセサイザーなどのMIDI対応機器からの入力によって半自動的に映像を生成します。

映像は入力信号にアサインされた組み込みの「パターン」(=映像素)の合成として生成されるため、適切な入力の組み合わせによって多様な表現が可能になっており、いわば映像の演奏、あるいは映像のコード(Chord)のようなものを実現しています。


実際にVisactorを使って映像を演奏している様子はこちら。

Visactor Performance Sample from quolc on Vimeo.


この作品はアレグザンダーのパタン・ランゲージやGoFのデザインパターンに着想を得て制作したもので、FlashやAfter Effects、高度なVJ環境に依存せずに誰もがオリジナリティを映像として表現できるような、要素還元的アプローチに対抗する創作における中間層の設計を意図しています。

現在はシンセサイザーからの入力のみに対応していますが、今後はより柔軟な表現を可能にする映像創造のプラットフォームにすべく、パターンのアサインやオリジナルパターンの作成を容易にするなど、多数の拡張・修正を行っていく予定です。

11月に開かれる駒場祭でバージョンアップされたものを展示したいと思っていますので、今回の展示にいらっしゃらなかった方も、お時間あれば是非お越しください。

2011年 03月 20日

Herbert Tutorial 3 - 命令引数プロシージャ / n倍処理

前回はプロシージャの概念を学習して、「くどさ」を発見することでコードを簡潔化・短縮する技術を身に付けました。

今回は、プロシージャの重要な機能である「引数」を導入することで、さらに「くどさ」を一般化して捉え、論理的に高度で面白いプログラムの記述を目指します。

続きを読む

2011年 03月 17日

Herbert Tutorial 2 - 引数なしプロシージャ / 同じ処理を一つにまとめる

前回はHerbertを動かす基礎である、s,r,lの3つの基本要素を勉強しました。

これで、原理的にはHerbertにあらゆる動きをさせることが可能になったわけですが、だからといって、これでHerbertの全てが分かったということになるかと言えば、当然そんなのはウソです。

だって、一歩一歩動かさせるなんて、面白くもなんともありませんね。

何度も繰り返しているように、Herbertの醍醐味は「規則の発見」と「動的な記述」、それらの実現である「ショートコーディング」にあります。

そして、こうやって「何度も繰り返し述べる」ことはムダです。

では今回はこの、「ムダを省く」ということをテーマに学んでいきましょう。

以下、前回の演習問題の解答を題材に、ショートコーディングの第一歩である「引数なしプロシージャ」の書き方を勉強します。

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2011年 03月 16日

東京大学大学院情報学環教育部に合格しました。

情報学環教育部について詳しくは 前のエントリ を。

これで晴れて四月からは教養学部と情報学環のセミダブルスクールということになりました。

情報学環関係者の皆さん、学環コモンズでお会いできることを楽しみにしています!

2011年 03月 15日

Herbert Tutorial 1 - s,r,lを使ったフィールドの移動

前回はHerbertというゲームの基本的なルールと、Herbert Online Judgeの使い方を簡単に解説しました。

今回は、Herbertのプログラム(H言語)の書き方の基礎を勉強しましょう。

続きを読む

2011年 03月 13日

Herbert Tutorial 0 - Herbertの基本ルール

前回の記事にも書いたように、先週Herbert Online Judgeというウェブサイトを公開しました。

これはHerbertというプログラミングパズルゲームのオンラインジャッジサイトですが、この1週間で150名強のユーザー登録、100問強の問題が登録が行われ、なかなか予想以上に賑わっています。

しかし、一方で多くの初心者ユーザーさんからは「Herbertはプログラミング未経験者には難しい」という指摘を頂いており、HOJは情報系・数学系の猛者達による戦場になっているという現状があります。

そこで、このblogでしばらくHerbertのチュートリアルを連載しようと思います。

このチュートリアルは

  • 第0回: Herbertの基本ルール
  • 第1回: s,r,lを使ったフィールドの移動
  • 第2回: 引数なしプロシージャ / 同じ処理を一つにまとめる
  • 第3回: 命令引数プロシージャ / n倍処理
  • 第4回: 無限ループと有限ループ / 再帰と数値引数プロシージャ
  • 第5回: 命令引数プロシージャによる拡張再帰
  • 第6回: 複数引数プロシージャや、多段呼び出しによる複雑な問題の解法
  • 第7回: 疑似ランダムフロー
  • 第8回: コード短縮のテクニックと練習問題

という内容を予定しています。

初心者でも最後まで読めば大体の問題に太刀打ちする力を付けられ、ある程度ルールを把握しているという方は必要な所だけ読んで役立ててもらえるような形にしていきたいと思っています。

なお、要約した内容はhttp://herbert.tealang.info/rule.phpに掲載されていますので、ある程度プログラミングの経験のある方はこちらを読んだ方が手っ取り早いかもしれません。


ということで、以下『Herbertの基本ルール』を解説していきます。

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