いきなり仮想吟行

毎月第2土曜日は、現俳協の土曜句会の日。
というわけで、3ヶ月ぶりに現俳協事務局を訪ねたのだが……何だか、妙に人が少ない。
どうも様子がおかしいので、顔見知りのKさんに尋ねてみたところ。
「みんな、食事してますよ。今日は小石川植物園に吟行に行ってたから」
は、吟行……?


聞いてないぞ、そんなこと。


そりゃまあ、先月も参加してなかったんだから、知らないのも当たり前ではあるのだが。よりにもよって、思いっきり間抜けなタイミングで来てしまったことは間違いない。
用意してきた句は、当然ながら植物園のことなど全く考慮していない。しかたがないので、植物園の吟行の後に似合うような句をその場で仕立てることにした。一人だけの仮想吟行である。
あからさまな嘘はまずいので、取り急ぎ手元の端末で小石川植物園のサイトにアクセス。今どんな植物が見頃になっているのか調べて、それに合いそうな句をひたすら考える。考える。考える……。
そうこうしているうちに参加者が続々と集まってきた。時間はほとんどない。
さらにまずいことに、最近の私は基礎勉強と称して写生句ばかりを作っていたので、現代俳句らしい句を書く頭がすっかりなくなってしまっていた。もうどうしようもない。時間切れになったので、それっぽい句をどうにか体裁だけ整えて、提出した。
この間、約1時間。すでに頭はオーバーヒート状態である。


そして、選句に入る。これがまた、きつかった。
ただでさえ吟行の句というのは完成度があまり高くないものであるが、さらにもってきて現代俳句的なノリがてんこ盛りである。写生句の頭で読んでいると、クラクラしてくる。いずれはこういう領域も渡り歩かねばならなくなるのだろうけど、最悪のタイミングで一人仮想吟行を強行してへろへろになっている身には、精神的ダメージが大きすぎた。
こんな状態でまともな選句ができるわけもなく、特選をつけた句も披講の途中で見返してみたら「なんじゃこりゃ」というものだったりして、絶不調。
自分の提出句も、その場ででっち上げただけあってろくに採ってはもらえず、こちらも絶不調。句会としては最悪に近い結果だった。
唯一救いだったのは、講師のM先生に1句だけ採ってもらえたことだろうか。

リベンジを誓ふ今年の額の花   独楽

「今年の」は言い過ぎだけど、という評であった。たしかにそうかもしれない。
もっとも、作った当人が言うのも何だが、こんなに観念的な句はぶっちゃけ駄句の部類だと思う。もっとしっかり観察した上でびしっと切れ味よく写生を決めたいところなのだが……。


とまあ、そういうわけで。今日の句会は(自分にとって)実に気まずく、情けないものだった。
勉強のためにも、来月以降も参加していければいいのだが……正直、行く気が萎えている。というか、もしかしたら私は現代俳句よりも伝統俳句の方が性に合ってるのではなかろうか、とか思っていたりするので、今後現俳協の句会に参加していくのが良いことなのかどうか、図りかねているところもある。


ともあれ、今日はもう疲れた。考えるのは明日以降にしよう。