ソフトウェア品質シンポジウム2008に参加

暑い中、日科技連のソフトウェア品質シンポジウム2008に参加してきた。Tom Gilb氏の基調講演ではユーモアを交えながらインスペクションの重要性や効果の実例などを紹介していた。インスペクションが品質に直結していると考えるのは大きな誤解だそうで、インスペクションで問題を見つけてもテストプロセスでダメだったら意味がないとのこと。インスペクションで全ての結果を見つけ出すことが出来なくても良く、見逃したバグはテストでフォローすれば良いと言っていたけれど、何でもかんでも100%の確実性を追い求める日本人には大雑把すぎる考え方かも知れない。別のセッションでは、テストに頼る日本人とレビューに力を入れるアメリカ人という対比が指摘されており、その辺の意識の差も表れているのだろう。

SIGにも参加して他社の人と情報交換を行った。業界も業種も違う、開発プロセスも違うけど抱えている問題はみんな同じというところが面白い。参加者はそれほど多くなかった感じだけど、アレコレと意見を述べ合ったりして勉強になった。こんなところで自分のポジションを知り、他の技術者とコミュニケーションすることは大事なことだと思いますね。

クロージングセッションでは電通大の西先生が登場。完璧なソフトを作れないことに対して納期やコストが原因であると言うが、仮に納期やコストの制限が無いとした場合、完璧なソフトを作ることが出来るのか?技術者は、自分側の問題を棚上げして外的要因に理由を見出しているのではないか?完璧なソフトを作れないのは自らの技術が足りないからではないか?とのこと。確かに正論。少々耳が痛い。以前にも書いたけれど、技術の重要性はかなり軽視され過ぎているように思う。技術力の不足という現実に対して、もっと危機感を持つべきだろう。