技術知識とドメイン知識

協力会社の営業さんと打合せ。景気は悪くなる一方だが、あいにく仕事は山積み状態。来年も引き続きよろしくお願いしたいなどと仕事の話をしつつ、世間話に花を咲かせる。

  • 営業さん:「技術者の方は得ですよね。腕に技術が有れば、どこでも食べていけるでしょう?」
  • 私:「いや、技術を持っているのと、仕事が出来るのはまた別の話です」

例えば、業界に特化したソフトを作っていると、その業界特有の仕組みや仕様がある上に、専門用語や業界用語等も多数存在するので、まずはこの辺の理解から始めなければならない。さらに、いざソフト開発を始めるにしても、過去の蓄積である長いソースコードや仕様書の山を理解しなければならないし、把握しておくべき関連仕様も沢山ある。最終的な仕様に至るまでの経緯も知っておいた方が良いし、どこにも明文化されていない裏情報まで調べた方が良いかも知れない。さらに、現在進行形で進んでいる最新の仕様にも追従していかなければならない。

そんなわけで、ソフトを作るのに技術を習得しておくことは必要だが、その開発対象を理解することもこれまた同じくらい重要な仕事だったりする。新入社員ならある程度長い目で見てくれるので余裕があるけれど、即戦力として入った派遣社員の方や中途入社の人は短期間のうちにこれらの知識を身につけることが求められるので大変だ。

しかも、数年かかって知識を習得しても、10年とか20年のキャリアを持つ人には全く敵わなかったりする。技術の知識は、移り変わりが激しいせいか長年の知識というものが必ずしも役立つとは限らないけれど、ドメイン知識に関して経験の差というものは非常に大きいと思っている。