情報を要求する前に発信すべき

定例の進捗会議に出席。いつものように愚痴と文句が多い打合せだが、自分のことを差し置いて他の開発チームに対する苦情が特に多いようだ。曰く、こんな感じ。

  • 「○×グループで開発しているソフトの進捗状況が分からない」
  • 「□△で作っているライブラリの仕様変更が連絡されて来なかった」
  • 「▽☆さんの変更された開発工程が分からない」

なるほど、他のチームの情報が回ってこないことが不満らしい。でも、同じような文句は他のチームでも同じように聞いたことがある。「曰く、そちらのチームの状況が分からない」と。これってお互いに相手の情報が無いと言い合っているだけではないか。

昔、学生時代の英語の先生は「"Give and Take"は、自分が最初に差し出すからGiveが先だ。相手に何かを求めるなら、まずは自分の方から出すことが必要だ」と言っていた(本当だよね?)。自分は何も出していないのに、初めから相手に要求するのは理不尽というわけだ。だから、という訳ではないけれど、開発に関する情報は積極的に自チーム内へ展開するようにしているし、同時に自チームの状況は他チームが見えるように全て開示している。さまざまな情報を出すので見る方は少々大変かも知れないが、全員が全ての情報を必要とするわけではないし、必要な箇所のみを参照すれば良い。情報が無くて文句を言う人は多いけど、多すぎて文句を言う人はあまりいないのだ。(不要なら無視すれば良いだけの話だ)

組織の中で、情報を下さいと口を開けて待っていても、誰も有益な情報なんか放り込んでくれない。情報が欲しいのなら、まずは自分の持っている情報を開示して「こんなことをやっています」「こんな仕様書です」「こんな状況です」「こんな問題があります」と自分の立場を理解してもらう方が先だと思う。自分が充分な情報を発信しているのなら、相手に対しても同等の情報を求めやすいし、相手の情報開示が不十分という主張も説得力を持つ。気の利く人なら、見かけた情報を元に追加情報や補足のコメントをくれたりする。(実はこれが意外に役立つ)

個々の開発者を見ていると、自分から積極的に情報発信が出来る人は、情報の集め方も上手い。逆に、情報発信を上手く出来ない人に限って、他からの情報が無いと文句を言うことが多いようだ。情報の取り扱いに対する感性の違いが表れているのかも知れないけど、これからの時代、外の情報を取り込むのと同じくらい、自分からの情報発信も重要だと思う。(これも一種のコミュニケーション力なのだろう)