問題解決を知る読書:問題解決プロフェッショナル「思考と技術」

連休を利用して本の整理を行う。気がつくと山のように本や雑誌が溜まっているので、定期的なクリーニングが欠かせない。残念ながら本を置くスペースに限りがある以上、もう読み返すこと無いであろう本よりも、何度でも読み返したくなる本の場所を優先的に確保するのは仕方ないとも言える。そんな蔵書の生存競争をくぐり抜けてきた本は、何度読んでも新しい発見があるので面白い。今回の『問題解決プロフェッショナル』もその1冊だ。

本の中では、自分の経験の範囲内でしか物事を考えられない経験型思考に対して、既成の枠を取り外した上で考えを進める「ゼロベース思考」や、自分なりの結論を持たずに延々と堂々巡りをしてしまう状況説明思考に対して、常に結論を意識して行動に移す「仮説思考」など、問題解決の基本技術が詳しく載っている。話の展開があまりにスムーズに進んでいくので、これを実践すれば自分もビジネスで成功できてしまうのではないかと思ってしまうほどだ。

こんな思考のフレームワークは、実は何にでも応用が出来る。本で紹介されているのは経営コンサルタントとしての製品開発事例なので、えらく仰々しいテーマになってしまっているけれど、コンサルタントに限らず普通の人が日常の業務に適用するのは全然難しくない。例えば、MECE(重複無く、モレ無く)という考え方を知ると、例えばソフトウェア開発の現場ではこんな事を考え始めるようになる。

  • 要件や仕様のモレが発生する状況に如何に対処すべきか?
  • ソースコードや実装機能、テスト作業における重複はないか?
  • 優先順位が高い課題に対して適切なリソース配分が出来ているか?
  • 開発プロジェクトで解決すべき課題は何なのか?
  • 将来の技術開発の方向性をどのように考えるべきか?

ソフトウェア開発の本にこんな視点での捉え方は載っていないことが多いので、参考になる点が多いと思う。もちろん、MECEを応用したフレームワークは他に幾らでも有るので、その切り口で問題を捉えても良い。また、原因追及や解決策の具体化を考えるための方法としてロジックツリーが紹介されているけれど、これはマインドマップと根本的な狙いは同じようなものだと思う。目先の仕事を片付けるのはもちろん大切なことだけど、そこから一歩下がって大局的な視点で問題を意識することは、他でも使える問題解決力に繋がり応用が利く。そんな考え方を学ぶのにこの本は有効だろうと思う。

問題解決プロフェッショナル「思考と技術」

問題解決プロフェッショナル「思考と技術」