仕様書で問われる日本語力

学生の頃、いわゆる国語の授業や試験が好きではなかった。日本語の文章を読んで何をどのように感じようと人の勝手ではないか。どうしてそのような感じ方に「正解」なるものが存在するのか理解出来なかったし、そもそも国語の試験が存在する意義も良く分からなかったように思う。

しかし、そんな国語の試験から遠く離れてみると、今さらながらだけど、そのような国語の授業の存在価値に気付く時がある。

問題の元凶は、仕様書だ。ソフトウェアの開発を学校で習ってきた人でも、他人に見せるような仕様書を書き上げた経験を持つ人はほとんどいない。会社に入って初めて仕様書を読み書きするわけだが、その中には、そもそもまともな「てにをは」の使い方が出来ていない文が珍しくないし、何を言わんとしているのか、何度読んでも逆さから読んでも想像力たくましく行間を補っても理解出来ない文章も少なくない。

その結果、仕様書を巡って悲劇と喜劇が入り混じった混乱が引き起こされる事になる。

  • 仕様書に書かれていることを無視して、自分の論理で理解してしまう。
  • 仕様書に書かれていないことを、勝手にデッチ上げて理解してしまう。
  • 仕様書に書かれていることを素直にそのまま理解出来ない。
  • 複数の文章から導き出される、論理の帰結を理解出来ない。
  • 自分の思考結果を、仕様書の形で表現出来ない。
  • 他人が読んで分かるような論理構成で文章を記載出来ない。

誰しも得手不得手が有るのは分かるし、特別に高いレベルのスキルを求めるつもりは無いけれど、日本語のスキルに欠ける日本人開発者は少々致命的だと思う。オフショアの開発者に「ワカリニクイニホンゴデスネ」とコメントされて情けないと感じないのだろうか。他の人が書いた普通の文章を普通に理解したり、自分の書いた文章が有らぬ誤解を招いていないか、自分自身でチェックする姿勢が必要だと思う。

要するに、「は」「を」「が」「も」「に」など、語句と他の語句との関係を示したり、文章に一定の意味を加えたりする文字が、「てにをは」と呼ばれます。
「てにをは」の使い方を誤ると、文章のつじつまが合わなくなったり、ニュアンスが異なってくるので要注意です。

基本的な文章作法



関連