PMI Japan Festa 2017をオンライン視聴した

2017/11/11(土)は自宅でPMI Japan Festa 2017をオンラインで視聴した。本当は会場に出向いて2日間のセッションを直接聞きたかったのだが、土曜1日しか時間を確保出来なかったので、今回は「同時中継システム」を利用した。

東京会場の状況をオンラインでライブ中継し、遠方の方にも臨場感をもってリアルタイムでお伝えします。
● 講師がPC上で展開しているパワーポイント資料と講師映像の両方を画面に表示します。
● 視聴者側でレイアウトの切り替え(資料のみ、資料×講師映像など)も可能です。
スマートフォンタブレットでも聴講可能です。

PMI Japan Festa 2017 11月11日(土)・12日(日) 開催|イベント・セミナー|一般社団法人 PMI日本支部

会場の様子がネット経由で生中継され、会場参加者と同様にPDUを獲得できるという仕組みは有り難いし、会場ではご法度な飲食をしながら、あるいは寝転がりながらでも視聴出来るのはなかなか便利だ。(もちろんお勧めはしません)

PCのウェブブラウザはもちろん、iPhoneアプリも利用可能なので、家の中を移動しながら、あるいは家の外でも視聴出来た。

講演者はいずれも著名企業や業界の有名人ばかりで、経験者としての生々しい話を直接聞ける時点で満足だったけど、個人的には企業の一員として職務に挑むと言うややゆるめの話よりも、自ら率先して時代を切り開く、世の中に無いモノを生み出す、前例の無いイベントを成功させるという話の方にずっと興味を惹かれた。

抵抗勢力と戦うというのも、確かにプロジェクト管理の一要因ではあるけれど(ステークホルダーマネジメントですね)、そんな内輪のせせこましい争いに終始している間に、外部の新興勢力に追い抜かれてしまったのが今の日本の姿ではないかと思う。マイナス思考で、石橋を叩いて壊すのが得意な人たちが多い中で、新しい領域へチャレンジするのは並大抵の覚悟では出来ないはずだ。

頼りにしていたはずの資金調達が行われない、技術的な課題を何年も解決できないという困難は、出来れば遭遇したくない類のものだ。でも、苦労話を交えつつ、そのような困難を一つ一つ克服していく姿に悲壮感は無く、話を聞いている側としては自分のことの様に素直に感動してしまった。プロジェクトマネジメントというよりは、イノベーションに近いカテゴリだと思うけど、有意義な話を聞くことが出来て大いに満足できる講演だった。

なお、会場からの質疑応答でも出ていたけれど、そんな強力な指導力を発揮するリーダについて行くのは、きっとかなり大変なことだろうと思う。結果的に成功したから英雄だけど、もし途中で失敗していたら偏屈者の烙印を押されそうだし、自分の直属の上司だったら、間違いなく取っ組み合いの喧嘩をすることだろう。でも、閉塞感漂う日本という国において、このような人の存在は貴重だと思っているし、実は彼らがいるからこそ日本は期待できるのではないかと思っている。



PMP受験体験記〜まとめ編

PMP試験の体験記も今回が最終回となる。幸いなことにPMP技術士に比べるとずっとメジャーな資格なので、書籍やネット上の情報は豊富だ。PMP試験に対する捉え方は人それぞれだと思うので、経験者の一つの事例として読んで貰えれば嬉しいと思う。

技術士試験体験記〜まとめ編でも書いたけど、資格の有無は仕事の品質にあまり関係しない。PMPの資格を持っていなくてもプロジェクトマネージャとして優れた成果を出す人がいる一方で、PMPの資格を持ちながら「プロジェクト管理の基本が分かっていないのでは?」と思えるほど酷いアウトプットを出す人もいる。だから、PMPを持っているから安心という訳ではないし、PMPを持っていないから問題ありという訳でもない。PMPはあくまでも資格に過ぎない訳で、成果との直接的な関連性は低いと思う。

とは言え、PMBOKという共通の知識をベースに話しが出来るのは、実務者としてはなかなか便利だと思っている。技術士の様に個別の経験に基づく試験ではなく、PMBOKというガチガチの(とは言い過ぎか)知識体系をベースにした試験なので、PMP取得者なら同じ知識を持っていて然るべきなのだ。全く面識のない人が集められたプロジェクトの立上げ時期において、相手の思考や手の内が分からず話を進めにくいと思った経験が有るけれど、そんな時にPMBOKの共通知識を持ち合わせていると、相手の考え方のベースが分かるので話が進めやすい気がする。

組織の中で、「同じ学校の出身」「同じ故郷の出身」「同期の入社」の仲間同士でやたらと団結力が強いことが有ったりするけれど、これは持ち合わせている共通点が同じなのでお互いの思考が受け入れやすく、それを基点として話がし易いからではないかと思う。そんな横の繋がりはなかなか便利なものでは有るけれど、遥か昔の共通点をベースにし続けるのは無理が有るし、歳を重ねるほどに共通項を持つ仲間は減ってしまうのだ。

でも、そんな昔の共通点が無い場合でも、PMPの様な資格を持っていれば初対面の人でも話は進めやすく、ずっと効率的にプロジェクトを運営出来る気がする。むしろ、国境の垣根を越えて人材の流動化が進むこれからの時代において、標準化された知識を学ぶ重要性は更に高まる筈だし、その証の一つとしてPMPの資格が役に立つのではないかと思っている。

重要なことは、標準化された知識を体系的に学ぶということ。その対義語は、経験から学ぶということですが、これらはいずれか一方だけでは不十分であるということに気づかなくてはいけません。何よりも必要なことは、軸にそって議論ができることです。お互いに経験だけで実績を上げてきた人同士は、それぞれの議論がどうしてもかみ合わない場面が出てきます。
(中略)
しかしここで営業に関する理論的なフレームワークの知識があれば、互いの経験の違いを認識したうえで、現在着目すべき課題を明確にし、解決のための方向性を具体化するための議論ができるようになるのです。

たたき上げか、資格取得か 人生100年時代の分かれ道



PMP受験体験記〜受験編

厄介な監査の手続きも無事に完了し、試験勉強もほぼ終えて合格の目処がついたところで、実際の受験を申し込んだ。会場はプロメトリック中津(大阪)で、直近で都合の良い日を選び、時間帯は午前か午後を選択できたので午前(9時開始)を選択した。

試験当日は8時半に会場に入ったところ、受付は既に始まっており受験生が列を成していた。同じ会場へ、PMPとは別の試験を受けに来ている人が沢山いるらしい。身分証明書として持参したパスポートと受験番号を見せ、荷物をコインロッカーに預けたが、PMPの受験順はトップだったようで、待合室で待つ間もなく直ぐに名前を呼ばれた。試験室に入り、身体検査を受ける。たかがペーパー試験を受けるために、金属探知器によるチェックを受けるなんて人生初めての経験で、世界標準の受験方法もなかなか大変だと感じた。持ち物チェックは更に厳しく、ポケットの生地も全て裏返すように指示され、ハンカチの持ち込みは駄目と言われたのでコインロッカーまで戻って預ける羽目になった。本当に厳しいのだ。

そのまま試験ブースへ案内され、メモ用紙と鉛筆を渡される。画面操作に関する簡単なチュートリアルに続いて、PMPの試験が始まる。当然のことながら、初めて見る問題なので文章を読みつつアレコレと考えることになる。受験勉強では何度も見たことの有る問題ばかりを繰り返しやって来たので、新しい問題は少しだけ新鮮な感覚がしてしまう(変な話だけど)。

回答が怪しい問題はマークボタンを押下して印をつけておき、後で見直せるようにした。試験問題は特に難しくはなく、直球勝負の暗記問題と言うよりは応用力を考えさせるものが多くて、今さらだけどPMP試験とはこのような考え方が要求されるのかと納得する。問題文にて、一部の日本語(と漢字)は少々怪しいので、併記されている英語の文章を読んで意味を理解するようにした。

進捗状況(経過時間と回答数)を逐次メモ用紙へ記録しつつ、2時間半受けたところでトイレ休憩の為に試験室を一時退室する。試験室へ戻る際には、最初と同じ身体検査を再び受ける。厳重さは全く変わらないのだ。200問の問題は予定通り3時間半ほどで終了したので(1分1問ペースを目標にしていた)、残り時間はマーク付きの問題を幾つか見直して、規定の4時間にて試験を終えた。

ベストな回答とは言えないまでも、これ以上の回答は出来ないよなと思いつつ、採点ボタンを押下。アンケートに回答後、無事に"PASS"の表示を確認する。これにて長い学習が終わることになり、安堵のため息が出る。他の試験なら試験が終わったため息だけど、今回は試験どころが合格の結果も表示されているわけで、その意味ではため息の重さもやや異なる気がする。試験室の入り口にて合格結果のプリントをもらい、一連の受験は全て完了した。

翌々日、PMIのサイトにログインして、無事にPMPの証明書をPDFで取得する。本物の証明書は後日郵送で送付されてくるけれど、カラー印刷してしまえば殆ど同じものだ(エンボスの有無は異なるけど)。机の脇にプリントアウトした証明書を貼り付け、無事にPMPを取得したことに安堵するのであった。



PMP受験体験記〜監査編

受験申請は出したものの、監査に当たってしまったことは前回書いた。今回はその続き。監査に必要な書類を集めて郵送する必要があるので、まずはその手配から行った。

  • 卒業証明書のコピー
    卒業した大学へ英文の卒業証明書の送付を依頼した。指定の申込書に利用目的等の必要事項を記載して返信用封筒と共に送付すれば良く、1週間ほどで入手した。
  • 学習受講の証明書
    受講した35PDUの証明書のカラーコピーを送付した。証明書の入手方法は各講座の開催元に聞くしかないが、こちらで受講した翔泳社の場合は、講座終了時に配布されていた。(保管しておいて良かった)
  • プロジェクト管理経験の証明書
    PMIのサイトにて、受験申請時に入力した情報をPDFで取り出せるので、印刷して上司のサインを貰った。私の場合、該当プロジェクトは3つだったが、上司は全て同じだったのでサインは1箇所(1プロジェクト)のみとした。

詳しい手順については、下記の日本語資料が役に立った。(もちろんPMI本家の情報が最も重要)

以上の書類を揃えて、郵便局からEMSで発送した(費用は2000円)。EMSの場合、郵便局のサイトで配送状況を確認できるので、毎日確認したところ、3営業日でPMIに到着し(意外に早い)、翌日には監査書類を受領して確認を開始する旨のメールが到着し、その翌日には監査完了のメールが届いた。週末を挟んだので、結局1週間ほどの日数がかかったことになる。

書類の準備と送付の手間はかかるが、申請自体は既に提出済みなので、今さら内容を変更できる訳でもない。淡々と事務的に進めれば良いだけの話だと思う。監査の手続きは特に問題無く完了した。



PMP受験体験記〜試験申し込み編

参考書での学習がほぼ完了し、合格の目処がついた所でPMP試験の受験申請を行った。PMIのサイトにアクセスして、指定された項目を入力していけば良いだけの話だが、とにかく項目数が多い。名前や住所ならともかく、プロジェクト管理の経歴や経験時間を入力する箇所は、その場で考えて直ぐに記載できるものではないはずだ。(しかも英語だ)

そこで、厄介なところは別途文章や数字を作成しておき、コピーアンドペーストで適宜入力するようにした。これならじっくり考えておいた内容を入力できるし、記載ミスも防げる。申請内容に矛盾が有ったり、スペルミスが残っているのは少々恥ずかしい。このような長文の申請フォームに慣れていない場合には、充分な注意が必要だと思う。なお、入力項目はドラフト保存しておき、後で何度も加筆修正が可能なので、最後の申請前に何度も確認を繰り返したことは言うまでもない。

入力フォームを完成させ、申請を出すと、処理待ちの状態となる。申請から丁度1週間後に、申請が受領された旨のメールが届いたので、受験料$405をクレジットカードで支払った。支払いが完了し、やれやれ一段落と思っていたのだが、監査に選ばれたメールも届いてしまったので少々脱力してしまった。"Your application has been randomly selected for PMI's audit process"とのことなので、ランダムに選ばれた結果なのだろう。こればかりは、自分ではどうすることも出来ないので仕方ない。「プラスのリスクは発生しないが、マイナスのリスクは必ず発生する」というマーフィーの法則を思い出しつつ、監査に必要な手続きを確認するのであった。



PMP受験体験記〜参考書編

技術士二次試験を受けた時は参考書の数が少なくて困ったけれど、幸いなことにPMPはメジャーな試験なので(?)試験対策本が豊富だ。ここでは実際に自分が使った参考書を幾つか紹介したい。

まずは基本のPMBOKガイドが必要と言いたい所だけど、この百科事典のような書籍を読み通すのは苦痛だし、細部ばかりが気になってしまうので、本質的な内容を掴むのは難しいと思う。それよりも薄手のテキストを読んで基本的な概念を把握し、実際に問題を解いて出題の本質を理解するという方法が良いと思う。PMBOKガイドは参考用として使う程度で充分だし、実際、その程度の読み方しかやっていない。

私の場合、前回のエントリーで紹介したセミナのテキストをメインに参照しながら、下記の2つの書籍を利用した。双方のテキストを参照しつつ、不足点は互いに補いながら確実に理解して、問題は全て解けるまで何度も繰り返した。PMBOKで出てくる用語は抽象的なものや似ているものが多く理解するのが大変だけど、実際に問題にあたってみると初めて腑に落ちることが多いようだ。

この類の試験一般に言えることだけど、覚えるべきことは確実に覚えてしまうのが合格への近道だと思う。覚えていることが不十分だと「自分の知らない内容だから分からないのかも知れない」と考えることを止めてしまいがちだけど、充分な知識を持ち合わせていると「知識を組み合わせれば必ず解けるに違いない」と自信を持って考えることが出来る。まずは基礎知識を頭の中に叩き込むことが先決だと思う。PMP試験の場合、受験日は自分で任意に決めることが出来るが、その日付を決めたのは下記の参考書の内容を全て理解し「やるべきことをやり尽くした」と思えた時だった。

PMPパーフェクトマスター PMBOK第5版対応

PMPパーフェクトマスター PMBOK第5版対応

PMP試験合格虎の巻 第5版対応版 (PMP試験対策)

PMP試験合格虎の巻 第5版対応版 (PMP試験対策)

なお、本家のPMBOKガイドは既に第6版が出ている。

米PMI(Project Management Institute)は2017年9月6日(米国時間)、プロジェクトマネジメントの知識体系「PMBOK(Project Management Body Of Knowledge)ガイド」の改訂版である第6版を発行した。PMBOKガイドはエンタープライズ分野のシステム開発における事実上の標準。いわばプロマネの“教科書”というべき存在である。
 第6版の主な特徴は、アジャイル開発に適用する際に役立つ情報を取り込んだこと。最近のシステム開発プロジェクトにおいて、アジャイル開発の採用が増えていることを考慮した。

米PMIが知識体系の新版「PMBOKガイド 第6版」を発行、アジャイルを取り込む | 日経 xTECH(クロステック)

ペーパーバック版の登場はもう少し時間がかかるようだけど、有り難いことにPDFなら日本語版が出ている。今すぐに読むことが出来て、検索も容易に出来るPDF版はお勧めだ。740ページに渡る長大な内容なので読み解くのは大変だけど、今回は試験に追われることも無いので気楽に読み進めることが出来そうだ。

The PMBOK〓 Guide – Sixth Edition – PMI’s flagship publication has been updated to reflect the latest good practices in project management. New to the Sixth Edition, each knowledge area will contain a section entitled Approaches for Agile, Iterative and Adaptive Environments, describing how these practices integrate in project settings. It will also contain more emphasis on strategic and business knowledge―including discussion of project management business documents―and information on the PMI Talent Triangle〓 and the essential skills for success in today’s market.

A Guide to the Project Management Body of Knowledge ― Sixth Ed. JAPANESE

プロジェクトマネジメント知識体系ガイド PMBOKガイド 第6版(日本語)

プロジェクトマネジメント知識体系ガイド PMBOKガイド 第6版(日本語)




PMP受験体験記〜セミナー編

PMP受験資格として、35PDU(35時間)の研修を受講する必要がある。eラーニングで手っ取り早く済ませて数字を稼いでも良かったのだけど、どのような人がPMPを受験するのか気になったので、一般のセミナを受講してみることにした。選んだセミナは、翔泳社が開催しているもので、3日間に渡って行われるものだ。(但し、実際に受講したのは数年前)

会場は広くて立派だったけど、受講者は10名足らずと意外に少なかった。翔泳社独自のテキストに沿って説明が行われるもので、複数の講師の方が交代で壇上に上がっていた。講師はもちろん全員がPMP資格を持っていたけれど、話の上手さは関係ないようで、テキストの内容を噛み砕いて実に滑らかな説明をする方がいる一方で、受講生の居眠りを誘うかのようにテキストを棒読みする方もいた。複数の講師が担当するので仕方ないとは言え、少々当たり外れがあるようだ。

テキストの方は、PMBOKの知識を集約した内容でよく出来ており、この資料は受験直前まで参考資料として役立つことになった。PMBOKの本家の書籍である「プロジェクトマネジメント知識体系ガイド(PMBOKガイド)」は読む気が失せる百科事典の様なものだが、これは困ったときのリファレンスとして使うものであって、いきなり1ページ目から読み始めたら、いつまで経っても読了できないし知識も身につかないだろう。それよりは、エッセンスをまとめた簡潔な書籍でPMBOKの骨格を理解する方が良いと思う。

初日の講座終了後に簡単な懇親会が行われ、講師の方はもちろん受講生の方とも話を出来たのは良い経験だった。意外なほどにIT業界の方は少なく、なぜか製薬会社の方が多かった。これが普遍的な傾向なのか否か見当がつかないけれど、業界の垣根を超えて同じ勉強をして同じ資格取得を目指すのは不思議な縁だと感じた。もしかすると、昔はIT業界の人がもっと多かったのかも知れない。

演習を挟みつつ3日間の講義を受講し、21PDU獲得の証明書も貰ってセミナは修了した。3日間も拘束されるのは大変だが、必須なのだから仕方ない。高価なセミナから安価なものまで様々なセミナが存在するけれど、費用対効果という意味では悪くない内容だった。帰り道に受講証明書を眺めながら一人で充実感に浸っていたものの、実はこの証明書が後になって役立つことになるとは、この時はまだ知らないのであった。

プロジェクトマネジメント知識体系ガイド(PMBOKガイド)第5版 (A Guide to the Project Management Body of Knowledge)

プロジェクトマネジメント知識体系ガイド(PMBOKガイド)第5版 (A Guide to the Project Management Body of Knowledge)