2008-04-25 7年前の下着泥で柏レイソル選手を逮捕
新リース会計基準
ラフティング GOーGO!です。
2008年4月以降開始事業年度から適用される新しいリース会計基準。財務指標や利益にどのような影響があるか、ご存知ですか?
いよいよ、2008年4月以降に開始する事業年度から、新しいリース会計基準が適用されます。
従来の基準では、一定の要件を満たせば、リースにより調達した資産やそれに伴う債務を貸借対照表に計上せず、支払ったリース料を損益計算書に計上するだけの処理方法(=「賃貸借処理」)も認められていました。
しかし新基準では、オペレーティングリースや金額が少額のものを除いて、原則としてリース資産やリース債務はすべて貸借対照表に計上した上、購入により取得した固定資産と同様、減価償却を行う方法(=「売買処理」)しか認められなくなりました。
新基準の適用は、冒頭でも申し上げたとおり、2008年4月以降開始事業年度からです。ただし、これを前倒しで行うことも可能です。実際、2007年9月中間期に、富士通<6702>やNTTデータ<9613>などが前倒し適用を行いました。
富士通は、従来よりリース取引について売買処理を行っていましたので、新基準適用による影響はありませんでした。一方、NTTデータは、新基準適用による影響額として、従来の基準によった場合に比べ、営業利益が1,047百万円の増加、逆に税金等調整前中間純利益が17,809百万円の減少となりました(両社とも連結ベース)。
新基準導入で財務諸表に与える影響は?
新基準の導入により、資産と負債が膨張し、自己資本比率や総資本利益率(=ROA)といった、財務指標の悪化が懸念されていました。しかし、総資産に占めるリース資産の割合がそんなに大きくない限り、財務指標による影響は限定的となりそうです。
それよりも、2007年9月中間期のNTTデータの新基準適用による影響額をみると、財務指標による影響より、損益計算書に及ぼす影響のほうがインパクトは大きいものといえます。
NTTデータは、リース取引の新基準適用により、2007年9月中間期に18,857百万円の特別損失を計上しましたが、これは過年度の費用計上額を従来基準の賃貸借処理によって計上した場合と、新基準の売買処理によって計上した場合とで生じる差額です。
従来の賃貸借処理の方法では、毎年一定額のリース料を費用として計上していました。しかし売買処理の方法では、購入した固定資産と同様に、減価償却費を費用として計上することになります(この他に、リース料に含まれる利息相当額を支払利息として計上します)。
定率法って?定額法って?
減価償却の主な方法として、定額法と定率法があります。定額法は、毎期一定額を減価償却費とする方法で、定率法は、帳簿価額に、耐用年数に応じた一定割合を乗じたものを減価償却費とする方法です。
NTTデータは、リース資産の減価償却を、定率法にて行っています。定率法は、定額法に比べて償却期間の初期には多くの減価償却費が計上され、償却期間が進むにつれ減価償却費の額が減少する、という特徴があります。
従来の賃貸借処理の方法は、毎年一定額のリース料を費用としますので、言うなれば定額法による減価償却費の計上と同じような費用計上の形になります。
賃貸借処理の方法より、売買処理、かつ定率法で減価償却を行う方法のほうが、リース期間の初期の費用計上額が多いため、その差額が18,857百万円の特別損失の発生要因となったのです。
他方で、営業利益が1,047百万円増加しているのは、リース期間の後期は、定率法による減価償却費の額と利息相当額が、従来の賃貸借処理の方法によるリース料の額よりも少なくなることに起因しています。
このことから、リース資産の減価償却を定率法により行う企業では、特別損失が発生する一方で、営業利益が従来の基準によった場合に比べて増加するケースが多くなることが予想されます。
一方、リース資産の減価償却方法を定額法にした企業は、特別損失の額もあまり発生せず、営業利益の増額という効果もないことになります。なぜなら、従来の賃貸借処理と、定額法によるリース資産の減価償却とでは、毎年の費用処理額に大きな違いがないからです。
上記より、リース資産の減価償却の方法を定率法にした企業は、定額法にした企業に比べ、新基準適用初年度(多くの3月決算会社の場合は2009年3月期)には多額の特別損失が発生しやすいものの、適用初年度および以後数年間は、相対的に営業利益が増加するケースが多くなります。
一般に、特別損失の発生は、特殊な要因による損失ととらえられ、株価への影響は限定的なことが多いです。一方、営業利益の増加は、株価にとってはプラス要因となります。
ところが、この営業利益の増加は、新基準適用による、テクニカルな要因のものであり、決して企業業績の改善などによるものではないことに注意する必要があります。
ですから、各企業の業績を分析する際は、決算短信の注記事項などで、新基準適用による影響額を確かめて、もし新基準適用に伴う営業利益の上乗せなどがあるのであれば、その分は割り引いて評価するべきでしょう。
財務指標の観点からは?
新基準の導入により、財務指標という面からは、自己資本比率やROAの悪化という影響が懸念されます。また、損益計算書の利益にも一定の影響を与えることになります。
しかしながら、忘れてはならないのは、変わったのはあくまでも「会計基準」なのであって、各企業の実態はなにも変わっていないということです。
ただ、現実問題として、自己資本比率、ROAといった財務指標や、企業の営業利益の変動がどのような原因であれ、株価に影響が出るのは確かです。過去の例をみると、平成19年4月に税務上の減価償却方法の取り扱いが変更され、その影響で減益の決算見通しを発表した各企業の株価が大きく下落したこともあります。
われわれ個人投資家としては、リース会計の新基準導入により、財務指標が悪化したり、逆に利益の額が増加したりしても、実態は何も変わっていないのですから、冷静な判断を行うことが重要です。仮に、自身が保有している株式の株価の下落が、リース会計の新基準導入に起因すると思われるのであれば、あわてて狼狽売りをしないようにしたいものです。
見方を変えれば、投資先候補の企業が、リース会計の新基準導入に伴い、多額の特別損失計上による赤字転落や、財務指標の悪化により株価が大きく下落するようなことがあれば、投資しようとしていた企業の株式を安く手に入れることができるのです。
もうすぐ2008年3月決算の発表がピークを迎えます。その際、多くの企業は2009年3月期の見通しもあわせて発表します。企業の業績見通しが発表されたら、増益または減益予測である理由が何であるのか、本業の業績の伸び悩みなのか、リース取引など会計基準の変更により生じたものであるのか、まずは把握することが重要です。
2008年04月24日
http://money.jp.msn.com/investor/stock/columns/columnarticle.aspx?ac=fp2008042400&cc=02&nt=02
