『魔法少女リリカルなのはStrikerS THE COMIC』Episode-2「A’s to StrikerS」Phase-2

原作・都築真紀、作画・長谷川光司
メガミマガジン』Vol.79(2006年12月号、ASIN:B000JLPLTU)掲載。
連載第2回。
関連としてEpisode-1の感想


この緊張感。さらに拡がる世界観。
読んでいて疲れを感じたほどに。そして同時に、さまざまに想像を膨らませることのできる楽しさも。


ヴィータの回想の中のなのは。
一連の『なのは』の物語の中で、身体的に深く傷つくことの直接的な描写があっただろうか。
雪の戦場。流れる血液。ひどく損傷したバリアジャケット。

医療班っ!
なにやってんだよッ!
早くしてくれよ
コイツ死んじまうよっ!

!!!
悲痛に叫ぶヴィータ
シリアスで衝撃的な光景。まったく異なる作品に足を踏み入れてしまったのかと思った。

ごめん
ちょっと失敗した‥‥‥
ヴィータちゃんは大丈夫‥‥‥?

こんな時にまで、なのははなのはなままで、こんなにもなのはらしくあることをやめないとは。深手を負いつつも、ヴィータの身を案じ、涙をためながら、それでも笑顔をすら向けるなのは。この115ページの、痛々しいなのはの描かれた一コマを、いやその痛々しさゆえにそれでもじっと見続けてしまう、この不思議な感覚はなんだろう。いやいや、この1コマだけではなく、このページ全体の、かつてのなのはの笑顔、今ここで思いにふけるヴィータ、過去の傷ついたなのは、そしてまさに現在の、口元と左手に強い決意をにじませたヴィータという、4つのコマの展開の全体がつくる雰囲気は、見事としかいうほかない。
それにしても、この回想シーンの、吹雪の中に倒れたなのはを抱くヴィータという構図はあまりにもハマリすぎている。なのはとヴィータとの組み合わせ以外に、この局面は考えられない。かつて、なのはに反発を覚えていたヴィータが。あの6年の間にいかなることが二人の間にあったのか。自然、思いを馳せてしまう。
いやはや、今回のEpisode-2を見ていると、この回想や、その後のシグナムとのやりとりなどを見ていると、ヴィータのいちじるしい成長具合――騎士としての戦闘力も、より深さのある感情の獲得も――と、微笑ましい、相変わらずなまっすぐなままのところが感じられる。ヴィータが大変魅力的に描かれている。
頼れる将として風格漂うシグナムの危なげなさにはさらに磨きがかかっている。シャマルはきっちり守護騎士内の「うっかり担当」っぽい一面を見せているし、ザフィーラは相変わらずしぶい狼だ。
またクロノの指揮官ぶりも特筆しておきたいところ。少ない登場コマでありながら、地味にしかし重い存在感を示している。
前回のEpisode-1に示されたのは、なのは、フェイト、はやての成長ぶりだったと思うのだけれど、一方今回はヴォルケンリッターとクロノのその後だろうか。


そして、登場した新しいキャラクターたち。
第12世界、聖王教会、さらに教会騎士団。管理局とは違う、もうひとつの勢力か。管理局と協同しているようだけれど。
この聖王教会の存在で、管理局しか集団らしきものが見えなかった『なのは』の世界が大きく広がったように思う。服装や騎士に関する言及からすると、ベルカに関連した組織なのかしら。
クロノ提督、騎士はやての友人であるという騎士カリム・グラシアによれば、「危険な古代遺物の調査と保守は管理局と同じく聖王教会の使命」であると。さらに修道女のシャッハ・ヌエラ


予想を裏切る展開というか、決して飽きさせないというか。この先、単なる「導入」ではなく、すでに独立したひとつの完全な作品としてのストーリーすら見られるんじゃなかろうか。
間違いなく『なのは』の世界なんだけれど、そのベースの上で、今までになかった類のまた新たな物語が展開される予感がひしひしと。
もー! 続きが1ヶ月先というのは辛すぎる。


Episode-2についてとりあえず今日は大まかに。見所はまだまだあるので、詳細部分についてはもう1回くらい書いておきたいところ。