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2006-05-26 Fri

[]桐野夏生『リアルワールド』★★

リアルワールド (集英社文庫(日本))

自分が思っていることを一番上手くあらわせるとしても、安易に使いたくない言葉がある。

例えば「リアル」という言葉がそうだ。

ちょっとした流行り言葉のようで、使ってしまうと気恥ずかしくなる。

例えば、木村カエラが「REAL LIFE REAL HEART」のことを「リルラリルハ」というタイトルで歌っているのも、直接「リアル」という言葉を使うのを避けたかったからなのだろう。

逆に、何らかの作品で「リアル」という言葉が用いられるときは、きっと「あえて」使う作者の決意表明のように受け取ってしまう。

井上雄彦『リアル』は、非現実的という意味で捉えられることも多い「漫画」だからこそ、あえて「リアル」というタイトルにしたのだろう。そのタイトルに込めた思いがわかる作品だからこそ、「恥ずかしさ」は感じない。

KAT-TUNへのスガシカオの提供曲『Real Face』についての違和感の理由は、「リアル」という安易な言葉を、よりによってスガシカオが使う意味がよくわからなかったことだ。「リアルを手に入れるんだ」という、あまりに恥ずかしすぎる歌詞。いや、別にKAT-TUNの人が作詞であれば、それはそれで「そういう年頃だからなあ」と納得できるんですよ。

でも、スガシカオの歌詞へのこだわりからすると到底考えられない。どうしてこうなるんだ?

 

さて、話は本題。

小説読みたいモードが高まっている中、web本の雑誌で、採点員6名のうち、3名が5点満点、残り3人が4点という高得点の作品を見つけた。

それが、桐野夏生『リアルワールド』。

売れっ子作家が、あえて「リアル」、しかも「ワールド」なんてタイトルをつけるからには、相当の自信作だろう。

桐野夏生も(映画も含めて)初めてだし、ちょうどよい。

読み始めると、4人の女子高生(ホリニンナ、ユウザン、キラリン、テラウチ)と、母親を殺した男子高校生(ミミズ)、登場人物それぞれの視点から物語が描写される、吉田修一『パレード』*1と同じ構成だし、全体的な雰囲気が、古谷実を想起させる。期待は高まるばかり。

 

で、だ。

よくわからなかった。

全く面白くないわけではない。

結局、登場人物の誰にも共感できなかった。直前に読んだ重松清『流星ワゴン』のシンクロ率が異常に高かったこともあるが、とても読みにくい小説だった。

唯一、夢中になって読めたのは、女子高生4人組のうちの一人「キラリン」の章。

これを書いて、分かり合える人がいるのか疑問に思うが、「キラリン」は、自分の中で、完全に、朝ドラ『純情きらり』の桜子(宮崎あおい)の友人・薫子(松本まりか)だ。それだけに、登場人物の中では群を抜いて生き生きしていた。

そして、母親殺しのダメ男は、同じく『純情きらり』出演中の松尾(村杉蝉之介)だ!グループ魂の「バイト君」だ!

このキャスティングは、自分の中で、かなりのヒットで、今後、朝ドラで薫子を見たら、「この子は、ぶりっ子しているが、実は遊んでいるんだ」とか、バイト君を見たら「軍隊オタクだ」と思うに違いない。

 

で、元に戻るが、作中でキーワード的に語られる「取り返しのつかないこと」もよくわからないし、テラウチの辿りついた「リアルワールド」にも共感できない。理解したいとも思わない。

結局、タイトルから期待されるような作品では全然なかった。

得るものも少なかった。

解説の斎藤環は「関係性」という言葉を使って、うまく作品の特徴を表現していると思うが、彼の説明する「リアルワールド」もまた、僕にはよくわからないのだ。

初めて読む作家の作品には「良い印象」を持ちたかったのに残念。

 

*1:大傑作!感想はこちら→http://d.hatena.ne.jp/rararapocari/20050118#parade

rockcandyrockcandy 2006/05/27 02:39 たまたま余所のサイトから飛んで「YouTube -スプーのえかきうた 」を観た後でこちらに来てみたら、話題に登っていてビックリ。今、盛り上がってるんですか!?ちなみに私が見ていたサイトでは絵の下手さではなく、子供の番組なのにペンの持ち方が・・・・という視点でした。しょうこお姉さんが宝塚出身とは知らなかったです。私は先代のりょうこお姉さんが好きだったので、しょうこお姉さんの高い声に馴れるまで少々時間が掛かりました。お兄さんの声量に合わせて結構抑えてる感じがしますよね。ゆうぞうお兄さんも最近は肩の力が抜けてきて、安心して見ていられるようになりました。ところで私はずっと「バカラット」って言ってたかも・・・(たぶんバケラッタとごっちゃに・・・)

rararapocarirararapocari 2006/05/28 01:19 ブログは、こういうネタの消費が早いので、あっという間に流行していきますね。▼それにしても「ぐーちょこらんたん」は何度見ても、「にこにこぷん(じゃじゃ丸ぴっころぽろり)」の方が数倍しっくり来ます。自分が2,3歳のときは、トラが主人公のものだったような気もしますが・・・。

atnbatnb 2006/05/30 00:56 この前の大掃除で売っちゃったけど「リアル」というキーワードは、いとうせいこうの「ノーライフキング」にありましたね。ファミコンがめちゃくちゃ流行った時代のお話。そのころからずいぶん経つけど、いろいろな形でまだこのテーマは生きているのか。▼エントリに書いてある「リアル」の一部は、「手ごたえ」と入れ替えられるものもあるかな?

rockcandyrockcandy 2006/05/30 09:07 またやって来ました。「リアル」っていうキーワードで真っ先に思い浮かぶのは佐野元春の「リアルな現実本気の現実」って曲です。流行り言葉という認識は全くなかったけど、私は結構気軽に使ってる言葉かも・・・(汗)

rararapocarirararapocari 2006/06/01 05:46 atnb、rockcandyさん>
いとうせいこうは一冊だけ読んだ記憶があり、『ノーライフキング』『 ワールズ・エンド・ガーデン 』のどちらかのはずなのだが、例によって内容については覚えなし。
なお、僕が「リアル」というキーワードで思い浮かぶのは「3DOリアル」かな(笑)佐野元春は、しっかり通っていないので「Someday」「アンジェリーナ」「約束の橋」しか知らないのが実情です。完全にツボに入る人だとは思っているのですが・・・
「リアル」については、次のエントリで少し説明を加えました。

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