昨日より上京中。
せっかくなので、渋谷タワレコにて開催中のDMC(デトロイト・メタル・シティ)のイベントに立ち寄る。かなり盛大なイベントで驚く。「クラウザーさんって・・・」「クラウザーさんが・・・」と喋るカップルの声があちこちから漏れ聞こえてきて、さらに驚く。
入り口付近ではコスプレの人?の撮影会をやっていたが、カミュ(ドラム)が結構似ていた。
ちなみに、HMVもDMC3巻はレジ売りで、渋谷はDMCに占拠された感じデス。
伊藤潤二『ギョ』全2巻
- 作者: 伊藤潤二
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2002/02/28
- メディア: コミック
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- 作者: 伊藤潤二
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2002/05/30
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伊藤潤二作品は、映像化されているものが非常に多く、中でも数の多い「富江」シリーズが彼の代表作なのだろうし、自分もそう思っていたが、この漫画を読んだあとでは、意見が変えざるをえない。
伊藤潤二ものとしても、パニックものとしても最高級の傑作。
『ギョ』は、これまでの伊藤潤二作品の中でも、かなり映像的な作品で、絵としてのインパクトが強いものが多い。特に、家の中や路地、つまり陸の上で、体長4〜5mもあろうかというホオジロザメに主人公が襲われるシーン。怖いとか何とかというより、スタイリッシュ。このシーンを撮るだけのために、ハリウッドから声がかかったとしても全く不思議に思わない。奥浩哉『GANTZ』で、仁王像など仏像を相手に、街の中でドンパチするシーンがあるが、これにひけをとらない。
一方で、後半部の地獄絵図は映像化不可能。不可能というのは、グロすぎて無理、という意味。誰も演じたがらないし、誰も見たがらない、そういうストーリーだ。とはいえ、サメやカジキから小さな魚、タコまでが、ところ狭しと「走りまくる」前半部も、リアルに映像化が可能とはとても思えないのだが。
スタイリッシュな映像、伊藤潤二ならではのトリッキーな展開が、2巻という短い話の中で次々と立ち現れてくる。ここまで密度の高い漫画もほかにはないだろう。
なお、2巻の特別収録「阿彌殻断層の怪」もワンアイデアながら、伊藤潤二にしか出来ない素晴らしい短編。見る人によっては、笑ってしまうようなユーモラスな内容と映るかもしれないが、人間の根源的な恐怖の部分をしっかり掴んだ内容といえる。
2巻の表紙がダメな人はオススメしないが、伊藤潤二が気になる人、面白い漫画を読みたい人には大推薦の二冊。
幸村誠『プラネテス』(全4巻うち現在3巻)
- 作者: 幸村誠
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2001/01/20
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『プラネテス』の舞台は2070年代の宇宙空間。主人公たちは、宇宙を掃除してまわるデブリ回収業者。
宇宙空間には、使用済み衛星などの宇宙ゴミ=デブリが浮遊しており、それが、「現役」の衛星などにぶつかると害をもたらすため、除去する必要があるのだ。
実は、この漫画を読もうと思ったのは、コチラのニュース
中国の弾道ミサイルによる人工衛星破壊実験を受けて、米政府当局者らは22日、宇宙空間に破壊された衛星の破片によるスペースデブリ(宇宙ごみ)が大規模な「雲」を形成しており、各国の衛星のほか、国際宇宙ステーションにも衝突する恐れがあると警告した。ロイター通信が伝えた。
を扱った、木走日記のエントリ
がきっかけ。
「デブリ」の問題は、2070年代まであと60年もある現時点でも、憂慮すべき問題として、捉えられている話なのだ。
ところで、ストーリーとは直接関係しないが、主人公ハチマキの独白(第2話)が、地球環境の前途(特に、エネルギー資源の枯渇)に対して感じている漠然とした不安を明示していて、かなり痛い。
神様みたいなのがいるとしてさあ
たぶんそいつ、オレたち人間が嫌いなんだろうな
自分たちの星の資源をガツガツ食べつくしたあげく
こんな所まできて、レアメタルやらヘリウム3やら
てめえのものみたいな顔で掘り出して
おまけにクズ鉄(デブリ)の置き土産ときたもんだ
ロコツに「帰れ」って言われてんのに気づかない迷惑な客なんじゃないかな・・・オレたち。
これに対して同僚フィーは「シャキッとしろ」と一喝するのだが、
だいたい今さら宇宙資源なしで世の中回るわけないでしょ
という捨て台詞がさらに痛い。(そういう意味では、資源目当てで宇宙開発を進める中国の方向は、正しいともいえるのだ。)
それはさておき、そういう時代背景まで含めて、かなり作品全体の世界観が練られている秀逸のSF作品。最終巻のまとめ方が楽しみ。