Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

昨日は上京。
上野で、久しぶりに友人id:D16と食事。趣味に掟を設ける人と話すと和む。
さて、待ち時間に、ABABのHMVに行ったら10日ほど前に閉店したとのことで驚いた。
営業していたら、120%、くるりの新作『ワルツを踊れ』を買っていたに違いないので、ちょっと頭を冷やせ(レンタルできるものは買うな)という神の思し召しだろうと思う。

スガシカオ『フォノスコープ』

フォノスコープ (初回限定盤)(DVD付)

フォノスコープ (初回限定盤)(DVD付)

新曲は2曲ながらも4曲ともタイアップつきの豪華シングル。スガシカオ絶頂期を象徴するシングルだと思う。

フォノスコープ

先日、カラオケに行ったとき選曲したら、歌い終えたあと、画面に本人が登場したので驚いた。(機種はJOY)
「歌ってくれてありがとうございました。この曲は前半部はファンクに、サビの部分はポップに歌い上げるといいです。」などと、曲調をそのまま説明しただけ(笑)の歌唱指導をしてくれるのだが、まさにその通りのスガシカオの王道パターンの曲。
CMで流れているサビの部分がかなり明るい印象だが、全体を聴くと、「世の中に溢れる絶望や嘘から耳をふさいで、心地よい言葉を聴いていたい」という内容で、「言葉」の持つネガティブな部分に、むしろ焦点が当たっているのが、スガシカオっぽくて歌詞に説得力がある。

「フォノスコープとは、音や言葉を見る望遠鏡です。僕は人から言われた言葉を深読みしてしまうんですが、これを使えば深読みしない、本来の姿が見えるんです」「新しいテイストの歌詞を書きたいと思って書いてます。今までは歌詞が物語のようにとか、完結させてとか考えていたんですが、そうじゃなくて意味深な歌詞や語呂合わせのような言葉遊びの中に本当の意味があってもいいじゃないかと思うようになったんです」

と言うように、以前と比べて、全体のストーリーはあまり気にしないようになっているようだが・・・。

坂の途中<’07 SPRING VERSION>

スガシカオのアクロスを聴いている頃、エンディングがこの曲だったのを思い出す。
珍しい「がんばれ」ソングということになるか?

SPEED<Demo Track>

「生」と「死」が、これでもかと登場する割には、全体的に明るい歌。
SWITCH連載の同名小説(本人作)と対応しているようだ。小説はチェックしていないので、これを機に読みたいが、どこかにバックナンバー揃っているだろうか。
なお、今年はアルバムを出さないということもあるようだが、これを無理矢理にシングルに入れるサービス精神は素晴らしいと思う。

スガ: そう。「フォノスコープ」以外の2曲「坂の途中<’07 Spring Version>」と「Hop Step Dive」は既存曲だったから、もう1曲オリジナルを入れたいな、と。ただ、時間的に間に合うかどうかってところで、なんとか間に合ったって感じでしたね。

Hop Step Dive

アルバム『PARDE』からのシングルカットで、ご存知「マイナビ」のCM曲。
曲は悪くないのに、評価が辛くなってしまうのは、歌詞に馴染めない部分があるから。やはり自分は、他の人に比べると、かなり歌詞を気にして聴くタイプみたいだ。
歌詞といえば、安室奈美恵の新作を、Mステで見た*1のだが、歌詞がひどかった。折角、警官のコスプレして、ダンスもかっこいいのに、あの歌詞は勿体ない。

*1:チャットモンチー出演目当てで録画していた。チャットモンチーのシングルは「普通」でした。

『CD 藤沢周平を読む 隠し剣 鬼の爪』

松平定知による朗読CD。
藤沢周平は初体験。
剣の実力があり、何より誠実な宗蔵。その誠実な宗蔵の心の揺れ動きが、卑劣な家老・堀や、かつてのライバル・弥市郎との対比の中で、印象的に描かれる。
そして女性。同居する手伝いで、素朴な農民娘・きえ、そして、肉感的な弥市郎の妻の二人の対比もよい。二人とも魅力に溢れているし、濡れ場もある。
短い話ながら、ダメ上司、ライバル、不倫、剣、多くの要素が詰まった内容で大満足だった。
文庫本では、連作短編のような形式をとっているようで、こちらにも手を伸ばしたい。

新装版 隠し剣孤影抄 (文春文庫)

新装版 隠し剣孤影抄 (文春文庫)

なお、映画版のストーリーを見ると、内容が微妙に異なるように見えるのは、映画版が表題作と「雪明かり」の二つの短編をもとに作成されているからのようだ。
キャストは、弥市郎の妻=高島礼子に納得、堀=緒方拳に驚き。

『CD 藤沢周平を読む 女難剣雷切り』

醜男にもそれなりの女難あり。
主人公は、バツ3で、女中にも次々と逃げられ、周囲から笑われる中年男、しかし剣豪。「隠し剣 鬼の爪」とは異なり、人間的にアンバランスな部分を持つ主人公なので先が読みにくく、そういう意味で、お約束的な流れにならずに読める。
秘剣・雷切りで、一件落着のように見せつつ、「気をつけろ、と自分を戒めた」で終わる、ラストシーンが面白い。
それにしても松平定知、ただのアナウンサーかと思ったら、非常に上手。登場人物がさほど多くなく、地の文が多いとはいえ、しっかり演じ分けができている。このシリーズは、あともう少し、図書館にあったので、そちらも楽しみ。
収録文庫本は、上で紹介した本の続編にあたるようで、これは2冊まとめて読みたいなあ。

新装版 隠し剣秋風抄 (文春文庫)

新装版 隠し剣秋風抄 (文春文庫)