Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

日経概観(9/2(日))

一週間に一回だけ新聞をまじめに読むためのコーナー。

希少クワガタ トルコで乱獲、激減/日本向けに高額取引(38面・社会)

取り上げられているのは、アクベシアヌスミヤマクワガタヤフオクで4万円で売りに出されているなど、専門家からもムシキング人気の弊害との声が寄せられている。
ということで、日本のマニアが地球環境に悪影響を与える事例。
ところで、この夏も各地で、世界の珍しい虫を集めた昆虫展などが開かれていたが、先日知ったところによれば、これらの輸入昆虫は、最終日にくじ引きで希望者にプレゼントされる例も多いという。つがいで渡されるわけでないため、生態系の破壊に繋がらないという判断なのかもしれないが、子どもにくじを引かせてネットオークションで一儲けしようとする父親の構図も透けて見え、非常に不快。さらに突っ込めば、国内での繁殖をもくろんでいるマニアもいるかもしれず、生態系への悪影響もゼロではないのではないか。
何より、「生き物」としての昆虫より、(他人との差別化のための)「アイテム」としての昆虫に目が行きすぎているのではないか、と思い、昆虫人気自体にも、やや疑問。

100円ショップに異変?/世界の環境規制が影響/「安全な」原材料費が上昇(29面:エコノ探偵団)

ダイソーなどの100円ショップで105円以外の商品が目立つようになった、もしくは品揃えが変わった原因について。
ここで挙げられているのは、以下の3つ。

  1. 原油高のためのプラスチック製品の原材料価格(+輸送費や梱包材の費用)の上昇
  2. 輸入元の中国での税制見直し(輸出企業の優遇が減った)のための仕入れ価格上昇
  3. EURoHS指令などの化学物質規制を受けた、中国での規制強化(特に再生品)

強調されているのは3つ目。RoHS指令は電化製品を対象としたものだが、廃プラスチックからの再生品は、さまざまな用途に用いられており、間接的に影響を受ける、とのこと。
今後、EUは新しい化学物質規制REACH(リーチ)を導入するなど一層厳しくなり、日本の輸出企業への影響も必至だという。
〜〜〜
EUの規制強化は、圏内の産業保護という意味もあるのだろう。関税以外の方法で産業が保護できることを考えると、日本の農業もBSE規制のように、輸入野菜に厳しい規制を入れてはどうか?・・・と考えると、あまりに厳しい規制は、産業保護というよりは、国際社会での孤立化を強める方向に進める可能性もあり、難しいのか?EUに可能なのは、一国ではなく、共同体による影響力の大きさ故なのだろうか。

何よりも急げ農業改革/製造業の世界展開に道を(28面・視点:中外時評)

タイトルからも分かるが、論理構造が面白い。
安倍改造内閣に必要な政策は、経済成長の促進
⇒製造業を大事にすべき
FTAと、それを軸にしたEPAが必須
⇒鍵を握るのは農産物の市場開放
ということで、遠回りして農業改革にたどり着く。
この改革について、今春から政府が始めた新補助金制度(4ha以上の農家に直接補助金を払う)は、耕地の集約という意図はわかるが「1、2年を争うEPAには時間がかかりすぎる」と指摘。もっともだ。
そこで掲げられた具体的な対策は以下のとおり。

  1. コメの生産調整はやめる(1770億円の費用削減)
  2. 農業土木を減らす(予算上の制約を弱める)
  3. 株式会社の農地確保を可能に
  4. 農協の見直し

で、ラストは「製造業」に戻り、(製造業に勤める)「兼業農家のためのEPA」という側面を忘れないように、と締める。
〜〜〜
印象からすると、簡単に述べられた「コメの生産調整をやめる」というのは、かなり大変なことなのではないだろうか?
農業については、興味・関心が深いのでもう少し勉強。

無言にて「主人在宅ストレス」のテレビ視ながら昼を摂る妻(27面・詩歌・教養)

かなり怖い投稿短歌。(575になってます)
・・・それを寂しく見守る私、と続く感じだろうか。
実話だったらと思うと・・・っていうか実話なんだろうなあ・・・。

フィルムに描く−映画監督・黒澤明(1)(20面・美の美)

黒澤明ゴッホの名画を映像で再現した『夢』第五話「鴉」についてのエピソード。
輪作パターンを破ってくれと農家に補償交渉をしてまで、イメージ通りの場所で、イメージ通りのビール大麦を育ててもらい、ゴミ処理場や産廃施設をまわって集めた鴉は250羽。黒澤明の周囲の人たちは、よほど黒澤の天才を信じていた人ばかりなのだろう。こんな指示は自分には受け入れられないだろう。
『天国と地獄』ハイライトの酒匂川の堤防シーンでの民家への依頼も凄まじい。

(堤防をふさぐ民家の屋根を案じて、製作の根津博が)
「一日で撮影は終わりますから一日だけ二階を取っ払わせてください」

こんな狂った依頼をさせるのだから、黒澤明の人間的な魅力というのは、とてつもないものがあったのだろう。

車“買わない”乗り方色々

かかる費用の少ない順に、カーシェアリング、レンタカー、リース、所有が比較されている。
ここで挙げられた目安は以下のとおり。

  • カーシェアリング<レンタカー:一回約6時間以上利用するならレンタカー
  • レンタカー<リース:一ヶ月におおむね8日以上ならリースの方がお得
  • リース<所有:同じ車におおむね5年以上乗り続けたいなら所有

勿論、駐車場代にもよるが、仙台から東京に転勤などということがあれば、車を手放すのは確実だろう。そして、そういったニーズに合わせて、レンタカーのマンション配送サービスや、カーシェアリングの拠点増加など、サービスが充実しているという。
自動車会社からすれば嫌な流れなのかもしれないが、CO2削減の観点からもいい方向。

趣味の茶漬け(13面・セカンドステージ:遠みち近みち)

「趣味の茶漬け」⇔「粗飯の代名詞」の二つの茶漬けが紹介される。
趣味の茶漬けとしては、

そのほか、粗飯の代名詞としては、小津安二郎『お茶漬けの味』が紹介され、最後に変り種として、森茉莉が、父・鴎外の好物として書いた「葬式饅頭茶漬け」が紹介されている。
さすがにこれは、どうかと思うが、試してみたくもある。

そこが知りたい−リケン社長 小泉年永氏(7面・企業)

中見出しは「中越沖地震自動車産業の教訓は?/応援1万人、復旧モデルに」。「カンバン方式」の弱点との指摘も多かったリケンの被災について。
興味を引いたのは復旧での自動車メーカーの協力

  • 自動車メーカー全12社を含め取引先30社以上から、延べ1万人以上の応援
  • 自力で復旧作業をしたら年内いっぱいでも無理だった
  • 米国であれば(減産を余儀なくされた)自動車メーカーから損害賠償を要求されるかもしれなかった

カンバン方式の今後については

  • 自動車メーカーが在庫を持って管理するのは非効率でカンバン方式に問題なし
  • 不測の事態に対応できるよう、米国、中国などに拠点をつくる必要
  • また、二週間程度の在庫を置く物流拠点を来年メドに設ける

ということで、日本の自動車業界の強さを改めて見たインタビューだった。

リコー 調達先にCO2削減目標/排出量算出ソフト提供 環境アピール(7面・企業)

見出しどおりの内容だが、興味を引いたのは以下の部分。

欧米では大手スーパーが商品ごとに製造・輸送段階でのCO2排出量を表示する動きが広がっている

消費者の、温暖化対策への関心の高まりの例として出されているが、日本で同様の取り組みが行われたときのことを想像すると、欧州での取り組みが上手く行っているとは信じがたい。というか、輸入原料が多い日本の食品では無理か?